世界で最も重要な気候変動会議「COP26」について知っておくべきすべてのこと

  • author Molly Taft - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
世界で最も重要な気候変動会議「COP26」について知っておくべきすべてのこと
Image: rafapress / Shutterstock.com

具体的な気候変動対策が決められないCOPは、まるで超高価な空っぽのコップのよう。

COP26キホンのキ

「COP」ってなに?

「国連気候変動枠組条約締約国会議」です。COPは「Conference of Parties」の略で、直訳すると「締約国会議」になるのですが、それでは意味がわからないので「国連気候変動枠組条約締約国会議」と表現しています。

COP26はいつやってるの?

2021年10月31日から11月12日まで開催されています。

どこでやってるの?

英スコットランドのグラスゴーで開催されています。

COP26ってなに?

COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)」は、UNFCCC(気候変動に関する国際連合枠組条約。United Nations Framework Convention on Climate Changeの略)締約国が一堂に会して毎年開催される気候変動会議「Conference of Parties」の略称で、国際的な気候変動アクションや政策を協議します。「COP」の後ろに通算回数を続けて表記します。今年は26回目なのでCOP26。パリ協定が合意に至ったのは2015年のCOP21でした。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開催できず、今年に延期されました。なお、2022年のCOP27はエジプトのシャルム・エル・シェイク、23年のCOP28はアラブ首長国連邦での開催が決まっています。

COP26には誰が参加しているの?

COP26では、パリ協定に署名した192カ国の代表団が交渉を重ねています。参加者は国家首脳120人を含めて約2万人。……多すぎですね。アメリカはジョー・バイデン大統領を筆頭に閣僚13人と、バイデン政権の気候変動アドバイザーでもある元環境保護庁長官のジーナ・マッカーシー大統領補佐官と、オバマ政権で国務長官を務めてパリ協定締結に貢献したジョン・ケリー気候問題担当大統領特使も現地入りしています。

下の動画は11月1日にCOP26のイベントとして開催された「世界リーダー会議」の様子です。開催国イギリスのボリス・ジョンソン首相やバイデン大統領、もはや生きる伝説の英博物学者デビッド・アッテンボロー氏、国家首脳や気候アクティビストがスピーチを行ないました。

Image: COP26/YouTube

26ってことは、これまでにCOPは25回あったの?

ピンポーン、正解です! UNFCCCは、1992年に154カ国が署名して誕生した気候変動に関する条約で、1994年に発効しました。記念すべき第1回のCOPは1995年にドイツのベルリンで開催され、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受けて延期された2020年を除いて毎年開催されています。京都議定書は1997年のCOP3で採択されました。

そんなに開催してるのに、どうして気候変動は止まらないの?

いい質問です。そもそも気候変動が地球規模のとんでもなくデカい問題だっていうのもありますが、国連の手続きがまたえらく複雑なんです。COPではいつもさまざまな国連のルールに基づいて、細かい技術的な議論に多くの時間を費やします。ある特定の問題の細部を詰めるためにほとんどの時間をかけることもあるようです。

交渉の中には大量排出国の賠償責任や、開発途上国が受け取るべき経済支援、やらなければいけない気候変動対策が数多くあるのに各国政府は現実的にはここまでしか対策できない……など、大きな問題が数多く含まれています。

自国を優先する200カ国近くが集まれば、問題の大小を問わず、なにを決めるにしてもコンセンサスを得るのは大変。そこに市民団体化石燃料企業まで加わって真逆のゴールを目指すため、さらに交渉はカオスに。おまけに世界のリーダーたちは気候変動の影響を受ける市民よりも、気候変動の原因をつくってきた化石燃料産業の声に耳を傾けるという不運な展開が繰り広げられる始末。

「COP26」なのに「グラスゴー会議」って呼ぶのはなぜ?

イギリスが議長国を務めるCOP26の開催地名をとって「グラスゴー会議」と呼ばれています。COPの開催地は、議長国が決めることになっています。COP25の議長国だったチリが、国内情勢の影響によってスペインのマドリードに開催地を変更した例もありますが、自国開催が基本路線です。ちなみに、そのチリはブラジルのボルソナロ大統領が議長国を拒否したためにホスト国になってしまったという経緯があります。気候変動対策の前途多難ぶりを象徴しているかのようです。

開催都市名がそのまま協定の通称の一部になります。パリ協定はフランスのパリで、京都議定書は京都で開催されたのが、そのまま協定と議定書の名前に起用されました。京都で開催されたCOP3は「京都会議」や「地球温暖化防止京都会議」とも呼ばれていますよね。

「パリ協定」ってなに?

パリ協定は、2015年にパリで開催されたCOP21で、192カ国が合意して採択されました。2100年までの気温上昇を産業革命前比で2度未満に抑えるために、世界が化石燃料時代の終わりを決めたはずでした。パリ協定には、海抜が低く海面上昇の影響を受ける島しょ国を含む開発途上国の強い要望もあって、2度を大きく下回る1. 5度を目指すという努力目標が加えられました。同協定には、各国が自主的な排出量削減目標の詳細を定期的に提出する義務も設けられています。

「そんなことたいしたことないじゃん」って感じる人もいるかもしれませんが、国連のような巨大な国際組織の複雑な手続きを経て200カ国近くが合意に至るのは、歴史的な出来事なんです。オバマ大統領が意気揚々と乗り込んで「コペンハーゲン協定」の合意が期待された2009年のCOP15でさえも交渉は決裂しています。世界規模の合意は本当に難しいんですね。

「パリ協定」に合意したのに、どうしてまだ同じことを話し合ってるの?

パリ協定は国際的な気候変動対策の完成形じゃないんです。むしろ設計図に近いというか、温室効果ガスをできるだけ抑えるために必要な最低限のチェックリストのような感じです。ただ、署名国は削減目標をどんどん野心的にしていくことになっているんですが、思うように機能していないのが現実です。

おまけに国際的な法的拘束力もないので、トランプ前大統領のように協定から簡単に離脱したり、バイデン現大統領のように復帰したりできます。自主的な努力目標の変更も、なんでもないかのようにできちゃいます。トランプ氏が次期大統領選で再当選でもした日には、再離脱なんてこともあるかもしれません。オン/オフできる電気のスイッチみたい。気候変動会議をリードしているのは、そんな国です。

COP26ではなにをやってるの?

各国の交渉担当者は、さまざまな過程を経て排出量削減目標を決定する各国のプロセスがスムーズに進むように共通の期限を設定し、参加国間の信頼関係を強くするために進捗状況の透明性を確保する役割を果たしています。また、気候変動への適応が必要な開発途上国に対して、約束した拠出金の提供が行なわれていない大量排出国とどのように約束を果たすかについて議論を重ねています。

交渉状況は公開されていませんが、会議場の外ではいろいろなことが起こっています。交渉の場に直接参加できない民間非営利団体や若者の団体が、企業や政策団体などと並んで少しでも交渉に影響を与えようと、オブザーバーとして状況をチェックしています。

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Image: Alexandros Michailidis / Shutterstock.com

これらのグループは、セレブや世界的なリーダーと一緒に抗議活動やディスカッションなどのイベントを行なうためニュースになりやすく、現場でなにが起こっているかを伝えるレポーターのような存在になっています。独自のイベントを開催している各国代表団も、交渉の中での優先事項なんかも教えてくれるみたいですよ。

どうしてCOP26はそんなに重要なの?

今回のCOPではパリ協定の合意内容の中でも鍵になる事項が交渉されているため、一筋縄ではいかない場面も出てきそうです。

また、交渉事項と同じくらい重要なこととして、一刻も早く気候変動対策を実行する必要があることの証拠となる科学的事実が明らかになっています。たとえば、IEA(国際エネルギー機関)は今年初め、気温上昇を1.5度未満に抑えるためには、2022年末までに化石燃料の新規開発を禁止する必要があると発表しました。8月に国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した第一作業部会による第6次報告書には、気候変動がどれだけ深刻化しているかと、このままなにもしなければどんなことになるかが詰まっていました。COP開催前の気候変動対策をめぐる世界的な緊張感は、これまでになく高まっていたと言えます。

COP26でなにか変わりそう?人類は気候変動を止められそう?

大げさでもなんでもなく、今回のCOPには人類と生態系の未来がかかっています。もしも国連が交渉決裂を断固拒否して世界をひとつにまとめることができれば排出量削減につながる強い枠組みを今後数年のうちにつくれるはずです。

でも、もしも万が一これまで通りを選んでしまったら……みんなで幸運を祈りましょう。


訳者は環境学科の学生として2009年のCOP15の結末を呆然と迎えました。世界は、その6年後にほぼ同じ内容をパリ協定として合意したんです。あれからなにも進まないままでまた6年たちました。それでは全然足りないのですが、せめて12年前から一歩でも進んでくれることを願っています。今回こそ空っぽのコップのままで終わりませんように。

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