トラヴィス・スコットのメタバースをリアルでやるとこうなります

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  • author satomi
トラヴィス・スコットのメタバースをリアルでやるとこうなります
Image: Alex Bierens de Haan/GettyImages

死者8名、300人が野営で手当を受ける野戦さながらのカオス…。

11月5日、米ラッパーのトラヴィス・スコットが主催する音楽フェス「Astroworld」がテキサス州ヒューストンで2年ぶりに開かれて、生トラヴィス・スコットのステージをひと目見ようと5万人が参集。トラヴィス登場で興奮が最高潮に達した5日午後9時を回った辺りで前へ押せ押せとなって「人間ジェンガのように」(参加者証言)人が倒れはじめ、逃げようとするファンが前に行こうとするファンに阻まれて退路を断たれて酸欠パニックが発生。少なくとも8名が死亡したほか、大勢の負傷者を出す惨事となりました。

被害規模としては米音楽史上最悪とも言われています。

VIPゲートが破られる

会場のNRGパークに詰めかけた参加者は約5万人。会場周辺にテントをはって野宿でトラヴィスの到着を待ちわびていたファンもいて、午後2時ごろABC13ニュース取材班が現着したときにはもうご覧のようにVIPセキュリティゲートがもろくも突破され、『World War Z』のような状態になっていました。

丸腰の警備員がアメフトのガードみたいに構えて、女子スタッフが足を引っ掛けて転ばせたり、騎馬隊が馬で止めようとしてますが、多勢に無勢で、数百名が会場になだれ込んでいるのがわかります。事件はこんな異様な空気のなかで発生しました。

翌日に予定されていたイベントの2日目は急きょ中止となり、トラヴィスは6日、次のような声明を発表

「昨晩はこのようなことになり悲しみに暮れています。ご遺族ならびに関係者のみなさまには心からのお悔やみを申し上げます。くわしい死亡の原因については現在ヒューストン署が調べているところです。捜査には全面的に協力していきます。治療やサポートを必要とするご家族のみなさまにはヒューストンの地元と連携しながら支援してまいります。ヒューストン署と消防、NRGパークの迅速な対応とサポートに感謝します。Love You All」

事後報告の映像も公開しました。

Video: KHOU 11/YouTube
傷心のラッパー

Astroworldはトラヴィスが生まれ故郷ヒューストンで2018年からやっているイベントですけど、去年はコロナで休止でした。その反動もあって弾けてしまったんでしょうか…。ただ2019年にもAstroworldでは開場直前にバリケードが突破されて3人が脚をけがして病院に運ばれていますので(以下は2年前の動画です)、トラヴィスにも「想定外では済まされない」と非難の矛先が向いていますよ…。

会場では「意識不明の人を搬送するパトカーに飛び乗るファン」というキャプション付きの映像も残っていることから、警察ではドラッグの線でも捜査を進めています。

メタバースは9分だけど…

Video: Travis Scott/YouTube

コロナの春に『フォートナイト』が主催したオールデジタルのAstronomicalショーは空前絶後の1200万人超という動員数を記録し、トラヴィスはマーチャンダイズを含めて2000万ドル(約23億7000万円)もの興行収入を手にしました(Forbes調べ)。

デジタル空間のメタバースならステージは9分で終わるし人身事故も起こりようがないけど、音楽フェスは徹夜組もいるほか、会場に入ってからも何時間も総立ちですからね…。体力的な消耗が激しいところに圧迫、酸欠、転倒、パニックが加わってしまったかたちです。

テレビのニュースでは、生き残った人たちからこんな生々しい証言が集まっています。

「ぜんぜん前が見えなくて。見えないどころか、顔を上に向けないと息もできなかった」

「まじでヤバいと思って出ようとしたけど、まったく身動きとれなくて…」

「セキュリティもバリケード崩れると押してくるだけで数が全然足りてなかった」

「水で溺れてるみたい。ありえない声で叫んでた」

「全方位的に押されまくって、足が宙に浮いてた」

「どこにも逃げ場がないんだ。自分たちはたまたま通りがかりの人に助けられたけど。地獄のコンサートだった」

メタバースの夢のような楽しいイメージのまま参加すると、暴徒化したファンがパトカー飛び乗って叫んでる地獄絵というわけで、その辺はわかって参加しないと…怖いですね…。トラヴィスも等身大なので、フォートナイトみたいに、1,000倍のダイダラボッチのように登場して、みんなでピョンピョン最前列に飛べるわけでもないという理解で。

トラヴィスが事件当日リリースしたニューシングルは『Escape Plan』。こんな偶然があるんですね…。

Source: Twitter(1, 2), ABC13(1, 2), Forbes, YouTube(1, 2, 3)

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