ライフハッカー[日本版]2021年11月5日掲載の記事より転載
Androidのバックグラウンドで動作するアプリを定期的に消したほうが、スマホのパフォーマンスが向上すると思っている人は多いかもしれません。
このような誤解は、初期のAndroidにはある程度有効でしたが、その後状況は変わってきています。
実際には、Androidデバイスで定期的にアプリを終了すると、メリットよりもデメリットの方が多くなることがあります。今回は、アプリを終了した方が良くないことが起こる理由を見ていきましょう。
Androidデバイスでアプリを終了する
詳しい話の前に、まずはアプリを終了するとはどういうことか、認識をきちんと合わせておきましょう。
持っているスマホやAndroidのバージョンにもよりますが、以下のどちらかの方法で、スマホのアプリスイッチャーから開いているアプリを確認することができます。
・画面を半分スワイプアップしたままの状態にする。
・画面下部にある四角のナビゲーションボタンをタップする。
これでアプリスイッチャーが開いた状態になるので、バックグラウンドで実行しているアプリをすべて見ることができますよ。

アプリを終了する主な方法は2つあります。
終了したいアプリをひとつずつスワイプアップするか、実行中のアプリをすべて一度に終了する「すべてクリア」をタップするかです(これは通常リストの最後に表示されます)。
必要であれば、アプリの管理メニューに行き(設定 > アプリケーション > 実行中のサービス)、そこでアプリを強制終了できます。

Androidでアプリを終了しないほうがいい理由
Androidでアプリを定期的に終了すると、逆に生産性が下がる理由はたくさんあります。その要因を詳しく見ていきながら、パフォーマンスに関する誤解を解いていきましょう。
1. Androidのアプリを終了してもスマホのバッテリー寿命は伸びない
バックグラウンドのアプリは、スマホのバッテリーを使用し続けていると考えるのは自然なことです。
しかし、バックグラウンドのアプリはバッテリーを消耗する原因にはならず、こまめに終了してもバッテリー寿命は伸びません。
Androidは、長年の間に進化しており、Dozeのようなバッテリー管理の優れた機能が、バックグラウンドアプリがバッテリー寿命に悪影響を及ぼさないようにしています。
このような機能によって、バックグラウンドアプリは冬眠しているような休眠状態になり、各アプリのCPUやインターネット使用量は最小限になります。
2. アクティブなアプリが速くなるわけではない

バックグラウンドのアプリを終了すると、アクティブなアプリの動作が速くなるという誤解もあります。残念ながら、これは事実ではありません。
Androidは、メモリの範囲内で複数のアプリを回すよう賢くRAMを管理しているので、バックグラウンドのアプリが他のアプリのパフォーマンスに悪影響を及ぼしませんよ。
また、AndroidがRAMを使用しているバックグラウンドのアプリをもう一度開く時に、すでにメモリが割り当てられているのですぐに開きます。
ですから、バックグラウンドでアプリを実行している方が、スマホの反応が良いと感じるのです。常にアプリを終了していると、そのアプリを再度開く時に数秒遅くなるので意味がありません。
3. アプリを終了するのにCPUがさらに消耗する
アプリを終了して再度開くというのを繰り返していると、そのコマンドを処理するのに、スマホのCPUは毎回エネルギーを使わなければなりません。
アプリにメモリを割り当てたままのほうが、CPUの処理能力を無駄遣いせずに済みます。
それに、多くのアプリは、メインのアプリが終了した後でも、バックグラウンドの処理を再起動します。そのため、何度もアプリを終了しようとするのは意味がありません。
4. アプリを何度も終了して再起動するとバッテリーをさらに消耗する
アプリを起動し、終了するというコマンドを繰り返すなど、スマホに余計なエネルギーを使って処理させていると、間違いなくより多くのバッテリーを消耗します。
バックグラウンドアプリを終了する目的がバッテリーの節約であれば、代わりに画面の明るさを下げる、通知をオフにする、省電力モードに切り替えるなど、他にバッテリーが節約できることをやった方がいいです。
そのような方法は、実際にバッテリーが節約できます。
5. バックグラウンドアプリはモバイルデータにそこまで影響しない
特定のAndroidアプリのバックグラウンドデータを制限することで、モバイルデータの節約ができます。それに、休眠しているバックグラウンドアプリは、そこまでモバイルデータを使用しません。
前述したのと同じ「設定 > アプリケーション > 実行中のサービス」メニューに、アプリが使用するデータや通知、バッテリーを制限するオプションがあります。このオプションの設定をした方が今後も安心です。
6. Androidは不要なアプリを自動的に終了する

Androidは、どのアプリはキープしておいて、どのアプリは終了した方がいいかを理解できるくらい賢くなっています。そのようなメモリ管理アルゴリズムが機能し、RAMがいっぱいになった場合は、使用していないアプリを終了しますよ。
つまり、Androidは自動的に自分の面倒を見ているということ。
デバイスの性能を上げるために、アプリを繰り返し終了する必要がないのです。最近のバージョンのAndroidは、どのアプリはいつも使っていて、どのアプリは優先順位が低いかがわかるくらい賢いですね。
Androidでアプリを終了させたほうがいいのはどういう時?
当然ながら、Androidでアプリを終了させた方がいい、例外のケースもあります。
一番大きな例外は、アプリが1つ、もしくはいくつかクラッシュしたり、フリーズしたりした時です。そのような場合は、そのアプリを終了するのが手っ取り早い解決方法ですよ。
念のためにはっきりさせておきますが、フリーズしたアプリを終了するのは、これまで上記で述べたことと矛盾はしません。
フリーズしたアプリを終了して再起動することで、アプリを回復させるのが目的だからです。
アプリを終了したほうがいいもうひとつの状況は、アプリを使い終わった時です。
ゲームはナビゲーションアプリのように、バックグラウンドでも少し実行するような“重たい”アプリの場合は特にそうですね。
これは単純なことですが、上記で述べてきたことに埋もれないようするために書きました。
また、アプリスイッチャーをごちゃごちゃさせないために、必要のないアプリを終了するのもいいでしょう。
アプリスイッチャーにアプリがたくさんあり過ぎると、アプリを管理したり、探したりするのが大変になります。
Androidスマホを効率よく使用するにはアプリを終了しないようにする
Androidでは、アプリをできるだけ頻繁に終了しない方がいいというのが大方の意見です。上記であげたような状況でのみ、アプリを終了するのがいいでしょう。
さらに言えば、バックグラウンドアプリを終了するのは、バッテリー寿命やパフォーマンス全体に悪影響があります。
バックグラウンドアプリを終了することで得られるメリットは、Androidのしっかりとした設定を利用すれば簡単に得られますよ。
Androidは、バックグラウンドで実行中のアプリのことがよくわかっている素晴らしいOSです。この機能についてよく知らなかった人は、まだまだAndroidに関する発見がたくさんあるかもしれません。
Original Article: Why You Shouldn't Always Close Apps on Your Android Phone by MakeUseOf