イタリアの洞窟で見つかった1万年前のお墓には、女の赤ちゃんが埋葬されていた

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イタリアの洞窟で見つかった1万年前のお墓には、女の赤ちゃんが埋葬されていた
発掘された洞窟内の墓と調査チームの面々
Photo: Jamie Hodgkins, PhD, CU Denver

おそらく大切にされていた赤ちゃん。

考古学者たちがイタリアにある洞窟で発見した中石器時代の墓には、興味深い点がありました。それは墓に施されていた装飾ではなく、埋葬されていたのが40~50日しか生きられなかった女の赤ちゃんだったこと。この1万年前の墓は当時の乳児の弔い方や、先史時代の人間たちがどう死を扱っていたかの認識を変えました。Scientific Reportsには、考古学者たちの研究成果が掲載されています。

この論文の著者でコロラド大学デンバー校の古人類学者Jamie Hodgkins氏は大学のプレスリリースの中で、「今のところ、欧州で最古の女の子の乳児の墓です」と語っています。「早くそうでなくなればいいと思います。考古学的なレポートは男性の話と役割に焦点を合わせる傾向にあったため、そうすることでたくさんの人を物語から除外してきました。タンパク質とDNA解析のおかげで、私たちは過去の人類の個性と身分の多様性についての理解を深められます。DNA解析がなかったら、この乳児の墓は男児のものだと推定された可能性があります」とのこと。

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墓で見つかった貝殻
Image: Hodgkins et al., Scientific Reports 2021

調査チームは2017年、イタリア北西部にある洞窟で他の埋蔵品とともに遺骨を発見し、埋葬されていた乳児を「Neve」と命名しました。Neveを発見する前の発掘調査2シーズンではネアンデルタール人に結び付く氷河時代の道具の発掘しています。さらに、洞窟のかつての住人たちが摂っていた食事と思われるイノシシとヘラジカの加工された骨も見つけたのでした。

彼らは洞窟の奥で貝殻のビーズを、その数日後には赤ちゃんの墓を発見しました。その遺骨は、穴の開いた貝殻のビーズやペンダント、ワシミミズクの爪に覆われていたとか。発掘場所にあった道具のいくつかは埋葬の数千年前からあったものの、貝殻が墓を飾るために置かれたのは明らかだと調査チームは考えています。

彼らは残されたDNAとタンパク質の解析、そして彼女の歯の顕微鏡検査を用いて、Neveの遺伝子の系統と性別、そして生後2カ月という死亡時の年齢を特定。放射性炭素年代測定法で、約1万年前に亡くなったと確認されました。

Hodgkins氏は「1万4000年前ごろの人間の埋葬については、十分な記録があります」として、「しかし後期旧石器時代の末期と中石器時代の初期の埋葬の習慣についてはあまり知られていません。乳児の埋葬は特に珍しいので、Neveはこの空白を埋める重要な情報を加えてくれます」とのこと。

Neveは装飾された乳児の墓の最古の例ではありません。アラスカ州で1万1500年前の赤ちゃんの2人の遺骨が見つかっており、埋葬した人々にとって乳児たちが大事な存在だったと副葬品が物語っています。

Source: Scientific Reports, EurekAlert, PNAS

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