アインシュタインが計算ミスしたメモが15億円で買い取られる

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  • author Isaac Schultz - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
アインシュタインが計算ミスしたメモが15億円で買い取られる

天才にも計算ミスってあるんだね。

20世紀きっての天才と言えばアルベルト・アインシュタイン。特殊相対性理論と一般相対性理論を打ち立て、ブラックホールと重力波の存在を数学的に導き出し、現代物理学の礎を築いたのがアインシュタイン博士でした。

その博士直筆の計算メモがこのたびオークションにかけられ、日本円にしておよそ15億円(13,383,000ユーロ)のお値段で落札されたそうです。

一般相対性理論の素地

文書は1913〜1914年の間に書かれたもので、ぜんぶで54ページ。うち26ページはアイシュタイン自身が書いたもの、25ページは同僚で旧友のミケーレ・ベッソ氏によるもので、残りの3ページはアインシュタインとベッソが一緒に書いたものだそうです。

アインシュタインはベッソと10年以上前にコンサートで知り合って意気投合し、1904年には当時働いていた特許事務所でベッソも職を得られるように取り計らったのだとか。アインシュタインの「奇跡の年」と呼ばれる1905年に発表された重要な論文(あの有名なE=mc2も含まれている特殊相対性理論や光量子仮説など)の執筆にもベッソが関わっていたそうです。

Photo: Christie’s Images LTD. 2021 via Gizmodo US

アインシュタインの筆跡はご覧のとおり緻密で丁寧です。計算と計算を区切るための横棒まできちんと引かれていました。その反面、あくまでメモ用紙だったんだな〜と思わせる特徴もあって、一部の計算にはバツ印が書かれていたり、メモ用紙そのものがちぎり取られている箇所も。ABC Newsによれば、回転運動の相対性を正確に記した式の横には「Stimmt!」(ドイツ語で「合ってる!」の意)とのコメントが添えられていたそうです。

この文書の全容はこちらで公開されています。競主は匿名で、電話参加だったとのこと。一体どんな思い入れがあって購入を決意したのでしょうか。

完璧じゃないからこそ価値がある

アインシュタインがノーベル物理学賞を受賞したのは100年も前のことでしたが、今でも計算メモに15億円の値札がつくほどの人気っぷりです。存命中にもカルト的な人気を誇っていたため、アインシュタインにまつわるありとあらゆるモノが廃棄を免れ、結果として今回のような非公式な文書も残されました。最近では鳥とハチについて熟考した未発表の書簡が話題になったりもしましたよね。

ところで、今回競り落とされた計算メモ。実は計算ミスが含まれていました。

太陽の質量を誤って記入した箇所があり、そこから派生した誤差がほかの計算にも引き継がれてしまっていたそうです。今となってはもちろん是正されていますが、それでも最初のミスが仇となって計算を狂わせてしまった行程が見受けられるそうです。天才も時には間違えるんだ…!

もしかしたら、ミスがあったからこそこの計算メモの価値が高まったのかもしれないですね。アインシュタインが取り組んだ物理学の問題は決して単純なものではありませんでした。メモ用紙にしたためられた何十ページにも及ぶ考察から、ある時花火のようにひらめきが打ち上がる。その花火の美しさだけについ見とれてしまいがちですけど、花火を作り出した火薬の調合まで詳しく知りたい人にとって、このメモ用紙はまさにプライスレスなんじゃないでしょうか。

Reference: ABC News

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