出店するも地獄、しないも地獄。Amazon税じわじわ34%に上昇、手数料収入がAWS売上の倍に

  • 57,738

  • author satomi
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …
出店するも地獄、しないも地獄。Amazon税じわじわ34%に上昇、手数料収入がAWS売上の倍に
2014年には19%だったのが梱包・配送料や上位表示の広告料が加わって今は34%

儲けが残るのか心配。

Amazon(アマゾン)最大の収入源はAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)と思いきや。いつのまにか出店手数料に主役が交代していることが米国のNPO「Institute for Local Self-Reliance(ILSR)」の最新調査でわかりました。

手数料収入が2年で倍増

上のグラフは、Amazonがセラー(販売店)から徴収する手数料の伸びを示したものです。ご覧のように、2014年には19%だったものが、2018年には30%、今年は34%に急騰しているのがわかります

ここ数年は手数料収入がAmazonのほかのどの事業部門よりも急速な伸びを示しており、2年で倍に膨れ上がっていて、今年はAWS部門の売上のなんと2倍にも達しているんです!

手数料の名目も増加

名目も増えるいっぽうで、今ある名目をざっと並べてみただけでもこんなにあります。

・出品手数料

・基本成約料

・販売手数料

・配送・保管にかかる手数料

・上位表示にかかる広告料

それやこれやで、せっかく商品を売っても、売上の平均34%はAmazonの懐へ...

出店をやめると、Webで存在をやめるに等しい

でも、いくら薄利でもセラーは出店をやめるわけにはいきません。アメリカではネットで物を買うときGoogleではなくAmazonで検索する国民が6割以上もいます。主要商品カテゴリ23種中15種で、Amazonはオンライン取引の7割以上を独占中。消費者の6割、取引の7割を牛耳るマーケットプレイスともなると、そこに商品を出さないという選択肢はないも同然ですからね。

こういう独占的立場を利用してAmazonはせっせと値上げに励み、小売業者の競争力を削いでいるのではないかと報告書は問題提起していますよ。

なぜ手数料はこんなに上がったの?

ILSRの昨年版の報告書をもとに昨年アメリカの国会で「市場の独占的立場を利用して手数料を釣り上げているのではないか」と問われた際、ジェフ・ベゾスCEO(当時)は「決してそんなことはない。単に弊社のサービスをご利用いただく機会が増えただけだ」と答弁しましたが、ILSRの最新調査では、販売成立時にAmazonが受け取る手数料自体の利率も上がっていることがわかっています。

上位表示はスポンサー商品だらけ

これ、ほんの数年前までは売上の15%を払えばOKで、あとはレビューで高い評価がつけば検索結果の1ページ目に商品は自動的に表示されていました。

ところが最近はそういうオーガニック検索はめっきり影を潜めてしまい、Amazonブランドの商品がドーンと上にきて、次にスポンサー広告の商品が並び、本当に人気のある商品は下手するとずーーーーーっと下までスクロールしないと見えなくなっています。

広告料を支払わないと商品が埋もれるため、みな広告料を別途支払って上位表示のスペースを確保しているんですが、そうなるとそうなったで、2016年には商品販売価格の1.1%だった広告料が2020年には3.4%、今年は平均4.6%に上昇。「こんなのはサービスでもなんでもない。ただの料金吊り上げだ」とILSRは指摘しています。

FBAを使う出品者が優遇されるアルゴリズム

Amazonは商品保管から配送までを一手に請け負う「フルフィルメント by Amazon(FBA)」というサービスを展開しているわけですけど、このFBAを利用する出品者を優先的に表示するアルゴリズムも同時に採用。そのため、ほかの配送サービスを利用していた出品者も続々とAmazonに乗り換え、米国ではAmazonの扱う物流ボリュームが郵便サービスと並ぶまでに成長中です。もちろんこちらの前線でも、保管・配送手数料が値上がり中です。

出品者は外部ECサイトで値下げできない(日本は除く)

もっと手数料の安いECサイトに商品をもっと安く掲載すればセラーもAmazonのライバルもWIN-WINじゃん!と思ってしまいますけど、Amazonには「フェアプライシングポリシー」なるものが存在し、出品の際、他社でAmazon出品価格より安くしません!という規定に同意を求められるんだそうな

これに違反して値引きすると、アルゴリズムがAmazonの検索結果に当該商品の表示を止めるなどの制裁を下して売上が止まってしまうので、恐ろしくてそれもできないのだといいます(この価格拘束については、独禁法違反の疑いで日本の公正取引委員会の調査が入り、Amazonジャパンが2017年に自主撤廃しています)。米国で商品探すと、どこもかしこもAmazonより高い値段に設定されているのはこれが理由だったのか…。

自社ブランドの処理は出品者からの手数料でカバー

人気商品そっくりな商品がAmazonブランド(とわからないブランド名)で売りに出されて、もっと目立つ位置に表示されることも増えました。値段は元の人気商品より少し安かったりしますけど、そりゃそうです。自社ブランドなら売上の3分の1をAmazonにとられることもなし。ほかの出品者から巻き上げた莫大な手数料をあてれば、自社ブランドアイテムは受注から梱包・発送まですべての費用をほぼカバーできるという話もあります。

こうして読んでくると、消費者として中小出品者さんたちのためにできることは本当に限られてくるなあ…と改めて感じますね。スポンサー広告の商品だって、最近はクリック単価が吊り上がって火の車らしいし‥。どこをどうクリックしたらセラーは救われるんだろう…。