再エネや電気自動車に使用されるコバルトやリチウムが新しい『石油』に。米中が争奪戦開始

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  • author Mack DeGeurin - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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再エネや電気自動車に使用されるコバルトやリチウムが新しい『石油』に。米中が争奪戦開始
Image: Shutterstock

資源がある限り獲得競争は続くよどこまでも。

摩擦が続くアメリカと中国が再エネや電気自動車(EV)に使われている希少な資源をめぐって衝突しているらしいです。いいんですけどね、そのとばっちりを開発途上国が受けさえしなければ。

コバルトをめぐる米中争奪戦が勃発

大国同士の資源獲得競争といえば、石油や天然ガスが思い浮かぶかもしれませんが、再エネ技術やEVのような未来の鍵を握る金属や鉱物をめぐって新たな資奪戦が繰り広げられています。

過去の機密外交文書や3大陸にまたがる100人以上の聞き取り調査を元に、ニューヨーク・タイムズ紙がコンゴ共和国南西部に位置するキサンフ地域に焦点を当てて、コバルト争奪戦の実態を明らかにしました。コバルト埋蔵量が世界最大級のコンゴは、世界全体のコバルト供給量の70%を生産しているとのこと。

ニューヨーク・タイムズによると、2016年以降に中国の企業がコバルト埋蔵量の多い鉱山を買いあさって、サプライチェーンを支配しているそうです。コバルトを産出する19の鉱山のうち、15カ所を所有している中国企業は国家機関から120億ドル(1兆3500億円)の投融資を受けていて、最大手5社の融資枠合計は1240億ドル(14兆円)にものぼります。一方、アメリカは完全に後手に回っているようです。競争になってなくないですか。

資源獲得競争に巻き込まれる労働者と住民

そんな大国によって繰り広げられる未来のエネルギーをめぐる資源争奪戦に、コンゴ政府や労働者、住民たちが巻き込まれています。コンゴ政府は、同政府への支払いを中国企業が留保していると非難しています。また、鉱山の労働者と請負業者は、買収後に中国企業がコバルト生産量の増加を急いだことによる安全性の低下が、負傷者の増加につながったにもかかわらず、そのことが経営陣に報告されていないと訴えています。

伸び悩む米EV市場と資源供給不足

バイデン大統領は、2035年までの送電網の脱炭素化や、2030年までに新車販売台数の半分をEVにするという目標を掲げ、連邦上院がそのための法案の採決を準備していますが、2021年のEVのシェアは4%を下回ると予想されています。理想と現実のギャップよ…。

また、専門家は昨今の世界的な半導体不足と同様に、EV用バッテリーの供給不足が起こると警告しています。テスラに続いてゼネラルモーターズやフォードもEVの生産拡大に舵を切っており、今後数年間でコバルトやリチウムの需要が急増すると考えられています。ただでも不安定な供給がさらに逼迫(ひっぱく)してしまう可能性があるのだとか。

ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス社が発表したレポートによると、自動車用バッテリー本体はもちろん、原材料であるリチウム価格の上昇も予想されていて、すでにその影響が出始めているそうです。国際エネルギー機関(IEA)は、世界各国がパリ協定の目標を達成するための対策を行なった場合、既存の鉱山によるコバルトとリチウムの供給では、2030年までに必要な量の半分しか満たせない可能性があると指摘しています。つまり、2度未満や1.5度未満を達成できないくらい低い各国の目標を満たすために必要な量の半分しか供給できないと。やる前から全然リソース足りてない…。こんな状況なのにCOP26でグラスゴー気候合意とかよく採択できたもんだ。

バイデン大統領はこんな状況の中でも、中国との天然資源争奪戦の激化にやる気満々だそう。

犠牲になるのは環境や生態系、地域住民

結局、再エネやEV普及のために必要な技術を後押しするために、ほんの一握りの大企業が世界狭しと奪いあう対象が石油からコバルトやリチウムに変わっただけで、採掘地の環境や生態系、コミュニティーや住民のことなんて、相変わらずなんにも考えちゃいないんですよね。