メープルシロップやらクリームチーズやら、小さな幸せにもサプライチェーン危機

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  • author 福田ミホ
メープルシロップやらクリームチーズやら、小さな幸せにもサプライチェーン危機
Image: Shutterstock.com

なんでもないようなことが幸せだったと思う。

半導体とかワクチンとか、いろんなものが不足しがちな昨今。でも、そこまで緊急じゃないけどないと困る…みたいなものも、あちこち足りなくなってるみたいです。

メープルシロップの備蓄放出

BBCによれば、今メープルシロップが足りなくなってます。メープルシロップってちょっと高いよね…と思いながらもここ10年くらい常備している拙宅には聞き捨てならない問題ですが、不足の原因のひとつはまさにこれ、消費量の増加です。「メープルシロップのOPEC」と呼ばれるカナダ・ケベック州のメープルシロップ生産者団体Quebec Maple Syrup Producers(QMSP)によれば、2021年のメープルシロップの売上は対前年比約37%増加しています。これは長期的な傾向で、2004年と2020年の比較では売上が倍以上に増えているそうです。

でも、幸いQMSPは供給不足を想定したメープルシロップの備蓄(!)を持っていて、今回そのうち2万2000トンの放出を決定しました。ただ、2021年の世界のメープルシロップ生産量は8万3000トン(うち6万トンがケベック産)とのことなので、来年も同じ調子だと先々が心配です。

メープルシロップはサトウカエデの樹液を煮詰めて作るんですが、樹液の採取には日中が摂氏0度以上かつ夜間が氷点下という微妙な気候条件が必要なので、採取時期は2月末ごろから5月初旬ごろの間の8〜10週間に限られ、暖冬などでその期間が短くなれば収穫が減ってしまいます。メープルシロップ用の木を育てるにも数年かかるので、今足りないから急に増やすということも難しいです。備蓄が持つといいですね…。

余談ですがメープルシロップの備蓄と聞いて、巨大なプールみたいなものにメープルシロップが入ってて、それをぶわっと放出する図を想像したわけですが、実際はこんな感じで意外と淡々としてました。

ニューヨーク名物も在庫ギリギリ

一方ニューヨークでは、クリームチーズが不足しています。ニューヨークといえばベーグル、ベーグルといえばクリームチーズですが、New York Timesによれば、Zabar’sやPick-a-Bagelといった有名店でもクリームチーズの確保に軒並み苦労していて、在庫が残り数日分しかなかったりするとのこと。

クリームチーズの場合は生モノでもあり、備蓄ってわけにもいかないんでしょうね。なのでベーグル店は、みんなふだん取引のない業者に片っ端から問い合わせしたり、通常よりも小さな個装のクリームチーズを買ったりして急場を凌いでるそうです。

クリームチーズ不足の原因も、需要の増加だと見られています。「Philadelphia」ブランドのクリームチーズを製造するKraft Heinz CompanyのスポークスパーソンはNew York Timesに対し、新型コロナの影響を説明しています。つまり自宅で食事をする機会が増え、パンに塗ったり、簡単なデザートを作ったりといった用途でクリームチーズがより多く使われてるってことですね。

メープルシロップもクリームチーズも、他の食材で代替できないわけじゃないし、代替できなければ別のものを食べればいいだけだし、薬が足りないとかに比べたら大したことないかもしれません。でも、不安要素がなかなか消え去らない、パーッと楽しいこともしにくい時期だからこそ、小さな幸せがありがたいです。食べる側としてできることがあるとしたら、手に入ったものは大事にする、手に入らない場合は代わりのもの探しを楽しむ、みたいなことでしょうか。

Source: Producteurs et productrices acéricoles du Québec, Acéricole Qc (Twitter), New York Times, Substitute Cooking

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