マイクロソフト、DNAに超大容量データを保管する技術で大躍進

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  • author Phillip Tracy - Gizmodo US
  • [原文]
  • Rina Fukazu
マイクロソフト、DNAに超大容量データを保管する技術で大躍進
Image: PublicDomainPictures - DNA/Wikimedia Commons

"膨大なデータ"のゆくえ。

世界中で日々250万ギガバイトのデータが生まれ、毎年その量は飛躍的に伸びています。そうこうしているうちに問題となってくるのが、データの保管先がなくなってくること。

もしも私たちが閲覧したすべてのYouTube動画や、スマホで撮影したすべての写真、保存したすべてのドキュメントをフラッシュメモリに保存しようとしたら、2040年までに予想されているシリコンの供給量の10〜100倍を消費することになるだろうとNature誌は予測しています。

では、今後データの新たな保管先が必要になることは明らかだとすれば、一体どのような方法があり得るのでしょうか。これまでのデータがサッカー場サイズのデータセンターに保管されているのであれば、これからは小型の乗り物くらいのサイズ感にぎっしり詰まった状態をイメージすべきだとか。もちろん、データを保管するだけでなく、素早く安全に転送できることが条件となります。

そんな場所がどこにあろうかというと、なんと私たちのDNAでした。ハードドライブが0/1を使うのに対し、DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基で記憶します。AとT、GとCというようにペアでねじれたはしごのような形をした二重らせんで構成されている4種類の塩基と0/1を変換することで、複雑なデータを保管することが可能だということがわかっています。

そんなDNAストレージのパイオニア的存在であるのがMicrosoft(マイクロソフト)。ワシントン大学のMISL(Molecular Information Systems Laboratory)と協働し、先日新たな研究でナノスケールのDNAストレージライターについて発表しました。それによると、1平方センチメートルあたり25×10^6シーケンス、もしくは3桁(これまでの1,000倍)濃密のスケールが可能だと予測されています。しかも、DNAストレージに必要な書き込み速度の最低ラインを初めてクリアしてみせたというので注目が高まっています。

クラウドストレージの最大手のひとつでもあるマイクロソフトは、DNAストレージ技術の圧倒的な密度、持続可能性、保存可能な期間を活かして競合と差別化しようとしているようです。DNAは1平方インチあたり1エクサバイト(100京バイト)保存できるほど高密度で、これは今のところ最大とされてきたLTO(Linear Tape-Open) テープストレージをはるかに上回るスケールとなります。

2024年には、データストレージの需要が9ゼタバイト(=9兆ギガバイト)に達すると予測されています。Windows 11が150億台のデバイスにダウンロードされても、使用ストレージはたった1ゼタバイトだとマイクロソフトはいいます。こうしたデータは、現時点では何百ものテープカートリッジに保管されることになりますが、もしDNAストレージを活用すれば、9ゼタバイトの情報が冷蔵庫サイズのスペースに保管できるのだとか。ちなみにですが、研究者によれば、これまでにリリースされた映画は角砂糖サイズのスペースで十分なのだそうです。その上DNAに保管されたデータは数千年保存可能だとされていて、30年ほどでデータ消失が起き得るSSDやHDDとは桁違いの差となっています。

ただし、そんなDNAストレージですが、まだまだ書き込み速度を向上させる必要があること、そしてコストという課題が残っているようです。今回書き込み速度を改善してみせたマイクロソフトは、TechRadarの取材に「次のステップは、チップにデジタルロジックを組み込み、百万とある電極スポットの個々のコントロールを可能にし、毎秒キロバイトのデータをDNAに書き込むこと」だと語っています。これにより、コスト、性能ともにテープに近づけるとの考えを示しています。

そうなると気になるのが、DNAストレージが実装される日はいつごろやってくるのか…ですが、技術の複雑さはもちろん、膨大なコストがかかる(数メガバイトで数十万円)ことが予想されていることから、まだまだ年月がかかるといえそうです。

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