温暖化のせいでおしどり夫婦で有名なアホウドリの離婚率が上昇中。オス同士のカップルも出現

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  • author Kenji P. Miyajima
温暖化のせいでおしどり夫婦で有名なアホウドリの離婚率が上昇中。オス同士のカップルも出現
Image: Francesco Ventura / University Lisbon

エサの切れ目が縁の切れ目。鳥の世界も世知辛い。

温暖化のせいでおしどり夫婦で知られるアホウドリの離婚率が上昇中なんだそうですよ。

アホウドリ夫婦の絆は強い

一夫一妻を忠実に守るアホウドリは、50年から60年の寿命のほとんどを同じパートナーと過ごします。成鳥になって巣立ったオスは、誘惑ダンスに磨きをかけつつシャイな思春期を過ごしながら、一生のパートナーを探します。そして一度パートナーを決めれば、めったに別れることはありません。エサを探しに出かけたオスが久しぶりに巣に戻れば、メスは大きな声で鳴いて喜ぶのだとか。ヒトとは違うのだよ、ヒトとは!

アホウドリがどんな鳥でどんな風に生きているのか、ナショナルジオグラフィックの動画でザックリとつかめます。動画に出てくるアホウドリは、エサをとりに往復8000キロを2週間で飛ぶそうですよ。

Image: National Geographic / YouTube

アホウドリの強い絆を引き裂く温暖化

ところが、そんなアツアツのアホウドリの絆を温暖化が引き裂き始めているという研究結果をニュージーランド王立協会が発表しました。温暖化、またお前か。

ニュージーランドのフォークランド島に生息する1万5500組のマユグロアホウドリを2004年から2019年まで観察した研究チームによると、通常は1%から3%しかパートナーとの関係を解消しないはずのアホウドリの「離婚率」が、最も低い時で0.8%(2015年)だったのに対し、最高時には7.7%(2017年)まで上昇。平均離婚率は3.7%だったのだとか。え、でもそんなに高くないことない?だって人間の離婚率はもっ…いや、なんでもない。

ちなみに、この研究では「両方ともに生きているカップルのどちらかがパートナーを変えたとき」に「離婚」としてカウントしたそうです。

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Image: Ventura et al. 2021 / The Royal Society

研究論文のグラフを確認すると、離婚率が0.8%で最も低かった2015年は海水温も最も低く、逆に離婚率が最高の7.7%に達した2015年の海水温は観察期間で最も高くなっていたことがわかりますね。

離婚率上昇の原因は、温暖化によって海水温も上昇するため、エサになる魚が減って、生息環境も悪化、ひなは育ちにくくなり、ストレスレベルも上昇の一途をたどってしまうんだそうです。温暖化のせいでパートナー関係は冷え込んでしまい、最後にはエサを持って帰らないオスに愛想を尽かしたメスが三くだり半を突きつけておしまい。繁殖の失敗が離婚のきっかけになることが多いものの、環境の悪化が大きな原因とのこと。

研究チームは、メスが環境の悪化やエサの減少、繁殖の失敗をオスのせいにしているのではないかという仮説を立てているそう。また、エサをとりに出かけたオスが繁殖期になっても戻らない場合に、他のオスをパートナーに選ぶケースもあるみたい。持ち帰ったエサをやけ食いするしかなさそう。現実はとてもシビアだわ…。

生息数も減少中。そして同性カップル増加中。

温暖化によってエサが減って繁殖がうまくいかないのが主な原因になって、マユグロアホウドリの生息数も減ってきています。最近では、マグロ漁の漁網に引っかかって死ぬ個体もいるようです。研究チームは、2005年以降に個体数が毎年5%から10%減少しているといいます。

今回の研究とは関係ありませんが、ニュージーランドのアンティポディーズ諸島では、生息数の減少によってこれまで見られなかった現象が起こっているそうです。なんでも、オス同士のカップルが数パーセントいるんですって。メスを見つけられないオス同士がパートナーになっているのではないかと考えられています。

今のところ、フォークランド島のマユグロアホウドリの繁殖状況はそこまで悪くないみたいですが、少なくとも温暖化がこれから数十年続くことを考えると、将来の見通しはまったく良くありません。気候変動とマグロ漁の問題に国際的な取り組みを行なわなければ、離婚の危機ではすまなくなります。


私は空腹と寒さと重さでイラッとすることがあるので、比べものにならないほどレベチとはいえ、なんとなくアホウドリの気持ちがわかる気もします。ところで、温暖化は人間の離婚率にも影響を与えているのでしょうか。研究結果をお待ちしております。

Reference: The Guardian, The Royal Society

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