すでに認知症の傾向にあったとしても、運動は認知機能に良い影響をもたらすとの研究

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すでに認知症の傾向にあったとしても、運動は認知機能に良い影響をもたらすとの研究

定期的な運動と認知機能の関連性についての新たな研究が発表されました。

この研究では、運動をしていなかった高齢者と比べて、定期的に運動をしていた高齢者は脳の健康に不可欠なタンパク質のレベルが高かったことが明らかになっています。この差は認知症と思われる兆候が脳に現れていた人々においても明白で、認知機能の衰退の進行を運動で遅らせることができると示唆しています

この研究を実施したアメリカ、カナダとスペインの科学者たちは、米イリノイ州ラッシュ大学のMemory and Aging Projectという既存の高齢者の研究プロジェクトからのデータを分析。このプロジェクトの参加者は年に1回、身体活動量の測定などの医学検査を受け、死後はさらなる研究のために脳を含む臓器を提供することに同意しています。

研究チームは70代と80代の被験者400名以上の、トラッキングしていた晩年の運動量といったデータや、死後に提供した脳を調べることに。アルツハイマー病のような神経変性疾患の兆候を確認することに加え、シナプスを介して脳細胞間の情報伝達を高めることで知られるタンパク質のレベルを見ようと脳組織も調べました。

その結果、運動量の多い高齢者の方が、前述のタンパク質レベルが高い傾向にあったと判明したのです。脳にアルツハイマー病のマーカーや、プラークやもつれといった認知症の他の特徴があった人でさえ、この関連は見られました。研究の成果は今月の『Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Association』に掲載されています。

研究の著者で、カリフォルニア大学サンフランシスコ校Memory and Aging Centerで神経学の助教授を務めるKaitlin Casaletto氏は「身体活動が多いほど、脳組織内のシナプスのタンパク質レベルが高くなる。これは脳の健康のこととなると、運動のひとつひとつが大事だと示している」とCNNに語っていました。

このような研究は運動と脳の健康との関連を表すのみで、因果関係を明示するわけではありません。しかし、中年期から高齢期での定期的な運動は、認識機能の低下の症状を抑えたり遅らせたりできると提案していた研究も存在します。チームの研究成果は、年を取ってもシナプスの機能を一定に保たせるという点で運動が役立つことを示しているかもしれないとCasaletto助教授は述べていました。

最適な運動量は少なくとも週に150分だと言われています。しかし、この研究とまた別の研究は、定期的に行われるのならどんな量の身体活動も老化する脳には良い影響があると考えているようです。

Source: Rush University, Alzheimer’s Association, CNN, Alzheimer's Society

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