イギリスで巨大な「魚竜」の化石が発見される

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
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イギリスで巨大な「魚竜」の化石が発見される
ラトランド・ウォーターで見つかった魚竜の化石の隣でポーズをとる古生物学者 Image: Matthew Power Photography

1億8000万年前の、海棲爬虫類「魚竜」の化石でした。

イギリスのある自然保護区で池の水抜きとメンテナンスという定例作業を行なっていた男性が、英国史上最大かつもっとも完全な骨格を持つ魚竜の化石を見つけたと報じられています。なお、この種の魚竜が英国で発見されたのは今回が初めてです。

分布域を見直すことになる、希有な発見

マンチェスター大学のプレスリリースによると、Leicestershire and Rutland Wildlife Trustで自然保護チームのリーダーを務めるJoe Davis氏が、2021年1月にこの化石を見つけたそう。発見場所は、水道会社Anglian Water社が所有・運営するラトランド・ウォーター自然保護区内でした。イングランドにおける魚竜発掘地のほとんどが海岸沿い、もしくは採石と新たな道路建設の現場なので、内陸のラトランドというのは思いがけない場所になります。

発掘作業のリーダーを務めたマンチェスター大学の古生物学者Dean Lomax氏は「英国の古生物学界だと、この発見はアメリカのバッドランズ国立公園で完全なティラノサウルスを見つけるようなもの、ただこのジュラ紀の巨大生物はよりによってラトランドの自然保護区で見つかったのです」とプレスリリースの中で述べていました。「本当に類を見ない発掘で、英国の古生物学史上、最高の発見の1つです」とのこと。

この化石は確かに全長10メートルと、これまでに英国で発掘された魚竜で最大規模です。先端から尾びれまで骨は化石化しており、同国内で発掘されたもっとも完全な魚竜の化石でもあります。英国でTemnodontosaurus trigonodon種が発見されたのは今回が初めてであり、既知の地理的な分布域を拡大することになります。

徹底的な分析はこれから

魚竜は約2億5000万年前に出現し、1億6000万年間も生息したのちに消滅した(恐竜ではなく)海棲爬虫類です。この生き物は収斂進化の代表的な例でイルカと似ており、体長は1~25メートルほど。ジュラ紀のラトランドは浅い海で、イングランドで約200年前に初めて発掘されて以降、科学者たちは魚竜の骨を発掘してきたのです。

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アーティストが描いた魚竜
Image: The University of Manchester

この標本を覆っていたジュラ紀の土は1億8150万年~1億8200万年前のものでした。化石の頭蓋骨の長さは2メートルで重さは1トンほど。発掘調査では何百ものイカのような生き物、腹足類、甲殻類や、他の魚竜の椎骨なども見つかりました。

この発掘と分析にはホーニマン博物館やバーミンガム大学などから専門家が集い、ピーターバラの地質学と古生物学グループといったボランティアらが協力しています。発掘作業は2021年の8月から9月にかけて行なわれ、フォトグラメトリーを用いて魚竜の3Dモデルを作るために何千枚もの写真も撮られたとか。

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魚竜の化石と立ち並ぶ古生物学者たち
Photo: Anglian Water

巨大な魚竜の骨々は、保護するための石膏で覆われてから安全な場所に輸送されました。そして骨格から石膏をはがしてクリーニングを行ない、もっと徹底的な分析に向けて標本を準備する過程には18カ月かかると想定されています。それは必要な資金を調達できればの話。プレスリリースによれば、Anglian Water社は現在、化石を保護して「レガシーを市民と分かち合えるラトランドに残せるようにするためにも」財政支援を求めているとのこと。

ちなみにラトランドでの発掘作業の様子は、現地時間の1月11日に放映されたBBCの番組『Digging for Britain』で取り上げられたそうですよ。

Source: The University of Manchester,

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