さらにフィルムに。さらにデジタルに。
2017年に発売されたデジタルレンジファインダーカメラ「ライカM10」から、初のメジャーアップデートとなる新製品「ライカM11」が発表されました。
パッと見は「M10と何が違う?」といった印象ですが、ディテールをよく見ていくと、フィルムカメラ時代のM型と同等の薄さを実現した「M10」をベースに、よりフラットでモダンなデザインに仕上がっています。

そしてデザインと使い勝手の面で大きな影響がありそうなのが、フィルム時代から続く底面カバー「ベースプレート」の廃止。ライカSLシリーズやライカQ2で採用されていたロック式のバッテリー機構が採用され、USB Type-C端子が備えられました。
SDカードやバッテリーを取り出すためにベースプレートを外す行為自体は、撮影データを「データ」以上のものとして扱う儀式めいた感覚があって悪くありませんでした。しかし、やはり非効率であることに間違いなかったので、このアップデートには大賛成です。
さらにこの変更のおかげでバッテリーが大型化でき、従来よりも容量が64%アップしているそう。M10のバッテリー持ちは一日中撮影するには心もとない感じだったので、これもうれしいアップデートですね。

なおブラックペイントはトップカバー素材を従来の真鍮からアルミニウムに変更することで100gの軽量化。フィルム時代のM6に近い重量を実現しているとのことで、ベースプレートこそないものの、よりM型の伝統に近づいた新機種だと言えそうです。

そしてやはり気になるのはセンサーですよね。フルサイズの裏面照射型CMOSセンサーという点に目新しさはありませんが、ライカ独自の「トリプルレゾリューション」と呼ばれるテクノロジーが採用された点が大きな目玉となっています。
これはJPEGだけでなくRAWデータでも解像度を6030万画素、3650万画素、1840万画素の3つから選ぶことができる技術なのですが、撮影後にデータをダウンサイズするのではなく、複数ピクセルをまとめて一つのピクセルとして撮影する仕組みとなっているそう。
ライカ社のステファン・ダニエル氏は発表イベントで「画素数を落とすとダイナミックレンジが向上する」旨の発言していましたが、この説明通りであれば低画素設定では高感度撮影時にノイズが少なくなることも期待できます。
つまり、ソニーの高解像度なα7Rシリーズ、ベーシックなα7シリーズ、低画素ゆえに高感度撮影が得意なα7Sシリーズを一台で切り替えられるような仕組みだと考えられますね。
また、ステファン氏は、現代レンズほどの解像感を得られないオールドレンズでの撮影時には低画素との組み合わせがおすすめだと話していました。
他にも、SDカードなしで撮影可能な64GBの内蔵メモリー、ベース感度をISO 64とする新たな感度設定、1/16000まで対応する電子シャッターの搭載など、使ってみたい新機能多数。
総じて、見た目やカタログスペック上は前モデル「M10」から驚くほどの進歩はないように見えますが、使い勝手は大きく向上していそうな機種という印象です。
そんな「ライカM11」は1月21日発売。価格は税込118万8,000円です。
Source: Leica