NASAの小惑星探査機「ルーシー」、ソーラーパネルの展開が不完全だった理由が判明

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • たもり
NASAの小惑星探査機「ルーシー」、ソーラーパネルの展開が不完全だった理由が判明
木星のトロヤ群を訪れる探査機「ルーシー」のイラスト。黒とオレンジの円盤がソーラーパネル。

宇宙を旅して3カ月以上になる小惑星探査機「ルーシー」は、発射直後に完全展開に失敗したソーラーパネルを除けば正常に動作しています。このミッションの専門家たちは問題を特定できたと言うものの、それを解決できるかどうかはまだ分かっていません。

パネルをひっぱるストラップが故障、でも問題ない

サウスウエスト研究所でルーシー・ミッションの主任調査官を務めるHal Levison氏は、1月25日に開かれたNASAのSmall Bodies Assessment Group会議で、この探査機に2つある円形のソーラーパネル列のうち、1つが完全な360度ではなく現在は347度で止まっていると説明しました。Levison氏のチームは、パネルを完全な展開ポジションへと引っ張り損ねたストラップに問題があると突き止めたのです。

Levison氏は「何らかの原因不明なプロセスによって、展開中にストラップが引っ張られていない時があった」と述べていたとSpace.comは報じています。「その結果、ストラップはスプール(糸巻き)から外れた。引っ張り込まれるべきストラップは約76センチ(30インチ)ほど残っていると考えている」んだそう。

ただし、少なくとも現段階では、これはピンチということではないようです。

NASAが先月上旬のミッションアップデートで説明していたように、ルーシーのシステムは正常に稼働していて、2基のパネルはそのうち1基が理想的な形状にないとしても、充分な量を発電しています。

NASAは現在、もう一度問題のパネル展開を試みるのが安全かつ効果的か、もしくはこの状況下においては何もしないままの方が最良のアプローチとなるのか判断するためにテストを実施しているところです。

待機時間の間に解決できるかも?

ルーシーは、2021年10月16日にフロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。

9億8100万ドル(約1123億円)の探査機は12年かけて木星のトロヤ群小惑星を探索するミッションに当たっています。木星のトロヤ群とは、木星の軌道上で巨大ガス惑星の前方と後方の2つに分かれて集まっている小惑星群のこと。このような小惑星は何十億年もの間あまり変化していないことから、惑星形成の“化石”と表現されています。NASAによれば、ルーシーは現在「アウトバウンド・クルーズ」モードに入っていて、木星系に向かう前の1年ほどは地球の軌道に留まるとのこと。

ソーラーパネル列のうち1基が完全には展開されず固定されないという問題は、打ち上げからほどなくして起きました。ルーシーのソーラーパネルは扇子のような形状で、直径7.3メートル(24フィート)になる円形です。開発したのはNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)社で、洗濯機を回すのと同程度の500ワットの電力を供給します。大量の電力ではありませんが、太陽から8億万キロメートル(5億万マイル)も離れているため、パネルは十分な大きさが必要なのです。

Levison氏らは現時点で2つの案を検討しています。動作のおかしいストラップを引っ張るためにルーシーのモーターを使うか、何もしないかです。彼は「しばらくはメインエンジンをかける予定もなく巡行中」で「まだ時間は十分にある」ため、「時間をかけて慎重に選択肢を検討している」と語っていました。会議では、アレイが予想発電量の92%から93%を生み出しているので今現在ルーシーにとって電力は問題ではないと述べていたとSpace.comは報じています。

研究所では、プライマリーモーターと予備モーターの両方を同時に作動させることで、アレイの展開と固定を完了するのに十分な力を加えられるかを判断するテストを進行中。実行するのであれば、NASAは現時点では4月に行う予定です。

そして何もしない場合ですが、影響がないわけではありません。確かにルーシーは十分な電力を得ていますが「問題はメインエンジン燃焼時のパネルの構造的な完全性」だとLevison氏は語っていました。「パネルにかかるエネルギーとトルクは、特に探査機とつながっているとなれば設計時とは変わる」というわけで、簡単に判断できることではないのです。

今回の技術的な問題にかかわらず、ルーシーのミッションは計画通りに進んでいます。現在技術者たちは、時期が来たらルーシーが正しい方角を指し示せるよう探査機の誘導と航法システムを調整中。木星のトロヤ群には、2027年に到達予定です。

Source: Space.com, NASA(1, 2),

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