カメラの解像度がいきなり4倍に。量子ドットセンサー技術に期待しかない

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
カメラの解像度がいきなり4倍に。量子ドットセンサー技術に期待しかない
Image: Chung-Ang University

TVだけじゃない、量子ドットの可能性。

量子ドットはディスプレイパネルの色再現とか電力効率を高めるってことで、研究レベルではもう何十年も注目されてきたし、実際それを使ったTVも何年か前から商品として出ています。さらに韓国の中央(チュンアン)大学の研究チームによれば、量子ドットはデジタル写真技術にも役立っていきそうです。

量子ドットとはごく小さな半導体のナノ結晶で、光でアクティベートされると特定の色を発し、従来より明るく鮮やか、正確で自然な色を表現できます。最近では量子ドットと有機EL技術の組み合わせにより、明るく鮮やかな色と深い黒を表現しつつ、エネルギー効率も高いディスプレイが実現しました。TVメーカーがCESなどの場で量子ドットを煽りすぎた感もありますが、この技術のポテンシャル、そして新たな使い方が常に探究されていることを考えると、期待されるのは仕方ないです。

量子ドットの重ね合わせで解像度4倍

その量子ドットをカメラに利用するメリットは、色再現性の高さや製造のしやすさ、イメージセンサーにした場合の薄さなどいくつか挙げられてますが、今回の研究では、量子ドットを重ね合わせることで画素の密度を高める手法を編み出しました。デジカメの画素数は今数千万画素が当たり前になり、これ以上多くの画素を詰め込む必要ある?と思われるかもしれません。でも、たとえば自動運転車が周囲の状況を検知するためのセンサーなど、カメラの用途が広がっている今、従来のイメージセンサーと違う技術が進化していくことにはすごく意味があります。

一般的なデジカメに使われているCMOSセンサーを顕微鏡で見ると、グリッド状のフォトダイオードにカラーフィルターが載っていて、それによって色の情報を捉えられるようになってます。でも、それぞれのフォトダイオードはひとつの色の情報しか受け取れません。なのでフルカラーの情報を捉えるには、1画素を作るために緑がふたつ+赤と青ひとつずつ、4つの正方形が必要になります。なのでもしその4つの正方形それぞれが単体で4色捉えるようになれば、センサーの密度は4倍、つまり同じサイズのセンサーであれば解像度が4倍になります。そこで量子ドットが役立ちます。

最近の学術誌「Advanced Materials」に掲載された韓国の中央大学の研究チームの論文によれば、彼らは量子ドットを特殊なサイズと構成にすることで、特定の色の光にだけ反応するようにカスタマイズを可能にしました。それによって量子ドットはイメージセンサーのフォトダイオードと同じように機能でき、カラーフィルターが不要になるというわけです。さらに赤、青、緑の光に反応すべく作られた量子ドットを重ね合わせることもでき、上の層で吸収されない光子は下の層へと透過していくので、一番下の層でも上の層と同じように有効に機能できる仕組みです。

CMOSセンサーの代替になるかも

こうして作った量子ドットをグリッド状に並べてセンサーとして機能させると、各要素がそれぞれの色の情報を集めます。量子ドットのサイズは10nm以下と小さく、この研究では、1cm四方に5,500画素を詰め込んだ受光素子アレイを作りました。5,500画素という数字だけ見るとそんなに大きい感じはしませんが、この種の技術では今まで最高が1,600画素だったので、一挙に4倍近くになったわけです。かつてのCMOSセンサーのように技術の向上でだんだんと細かくなっているようです。また研究チームでは画素数だけでなく、色や光への感度の高さ、製造の容易さ、省電力性、耐久性といった利点を挙げています。

今後イメージセンサーとしての量子ドットの研究が進めば、今あるカメラやセンサーより小さなものを、画素数を犠牲にせずに設計可能になるかもしれません。たとえば今あちこちで実験中の自動運転車にはいろんなセンサーやカメラが満載されてますが、それが今よりずっと小さくなって、車体に融合しやすくなるとか、そんな使い方がありそうです。

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