自動運転で「交通事故ゼロ」は実現できる? AIとIoT保険の専門家に聞いてみた

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  • author 小暮ひさのり
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自動運転で「交通事故ゼロ」は実現できる? AIとIoT保険の専門家に聞いてみた
Photo: Daisuke Ishizaka

夢物語みたいに語られるその世界。実現の可能性は?

2011年は 69万2,084件、2021年は30万5,245件。これ、日本における交通事故の発生件数です。日本の交通事故の件数は年々下がりつつあります

交通安全教育の推進や交通環境の整備など、理由はいくつかあると思うんですけど...やはり「クルマ自体の進化」の影響が大きいみたいです。自動ブレーキなどのシステムを搭載した先進安全自動車(ASV)も普及していますし、センサーやカメラ等を通して得られた車線や物体のデータをAIが解析して運転をサポートする時代になっています。

ではここで疑問。AI技術が進化して自動運転が広まれば交通事故はなくなるの?

…う〜ん、理屈からしたらそうなんですけど、僕の中でやっぱりなにか腑に落ちないところがあるんですよね。でも、うまく言語化できないので、今回はその道の専門家にお話を伺いました。

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山元浩平さん(左):機械学習技術を手掛けるスタートアップ企業、株式会社コーピー代表取締役。自動車メーカーと連携し、自動運転AI向けの学習システムや、車載カメラの認識システムの研究開発を行なっている。

広瀬直人さん(右):イーデザイン損害保険株式会社、商品開発部長。IoTセンサーでクルマの挙動を把握し、ドライバーに安全運転を促したり、事故対応をサポートする自動車保険「&e(アンディー)」を開発。

一方は、AIや機械学習での自動化による安全な走行を目指すアプローチ。一方はIoTセンサーを活用して、人の意識を変えることでの交通安全へのアプローチ。この異なる2つの視点はどういった未来を見ているのでしょうか? そして、交通事故のない世界は実現可能なのでしょうか?

開発が進む自動運転。AIはどう学習し、進化していくのか

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Image: Shutterstock

── 現在でもAIを使った自動運転技術はありますが、今後AIテクノロジーはどのようにクルマと関わってくるのでしょうか。

山元ひとことに自動運転と言っても、その実態はさまざまです。高速道路や空港の中など限定された場所なら、もう自動運転は実現できていますよね。でも、普通の道路や街中のパーキングなど、さまざまな変化が発生する環境下でも問題なくクルマを動かせるか?がいまの機械学習の課題で、私たちが取り組んでいる内容です。

広瀬クルマをとりまく環境はほんとにバラバラですよね。晴れているときもあれば、雨が降ったり風が吹いたり雪が積もっていたりするときもある。路面の状況を見ても、雪が溶けているのか凍っているのかでも運転の仕方は変わってくると思いますし、クルマや人が急に飛び出してくることもある。AIを開発するために、そういったデータのバリエーションを増やしたり、レアケースのデータを集めるのって大変そうですね。

山元はい、画像認識においては道路のコンディションが変化すると、やはり認識は難しくなりますね。そうした現実世界の環境変化をすべて実データで集めるのは大変なので、CGやコンピュテーショナルフォトグラフィー、GAN(敵対的生成ネットワーク)などでさまざまな環境変化を人工的に生成して、AIの学習や検証を行なっているんです。もちろん、人工的なデータと現実のデータとのギャップを埋める技術も並行して開発しています。

広瀬なるほど。人やクルマのような物体はAIも認識しやすいと思うんですが、そうしたものの認識精度を含め、将来的には人間の認知と同じレベルでクルマを取り巻く環境を判断できるようになるんですか?

山元そうですね。未来予言みたいになっちゃいますが、認識精度は日々上がってきてますので、確実にそういう状況へ向かっていると考えています。

──いまのAIはどういうふうに判断してクルマを運転しているんでしょうか?

山元基本的には「こういう状況ではこういう行動を取る」という、「ルールベース」と呼ばれるアプローチで構築されていることが多いと思います。

広瀬なるほど。たとえば、黄色信号だけど、今アクセルをふかせばこの信号を渡れそうだぞ。っていうのは人間だとありがちな行動ですが、AIはたぶん黄色だったら止まるところですよね。でも、こうした誤った判断をきっかけに事故が起こってしまうことがあるような気がします。

AIが得意な領域と人間が必要な領域

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株式会社コーピー代表取締役 山元浩平さん

広瀬事故が起こらないようにするため、AIが得意な領域ってどこにあるのでしょう? おそらく状況によっては人間の方が優秀だったり、逆にAIの方が優秀だったりするんだと思うんですが。

山元画像認識や音声認識など、「認識」系のタスクはAIの方が得意だと思います。たとえば、私たちは医療分野において、MRI画像のような医用画像から病変を検出するAIを開発しています。放射線科医の先生方は、1日あたり5,000枚以上の画像を見て診断を行なっていたりしますが、5,000枚以上の画像の中から1つも病変を見逃さないって相当大変なことだとイメージできると思います。でも、AIからすれば、5,000枚だろうが1万枚だろうが別に関係ありませんし、学習する量が増えるにつれて精度も向上していくわけです。こうした「疲れずに高速かつ大量に認識できる」ところはAIの優れているところですね。

──認識においてはAIにぜんぶ委ねた方がいいということでしょうか?

山元いえ、完全自動運転に移行するまでは、人とAIがいかに協調するかが重要ですね。その上で、AIに求められているのは、自信がない時にちゃんと「自信がない」と言えることです。AIが失敗しそうなときに「失敗しそうだ」と言えなくて、自信満々で予測しちゃうというのが一番危ない。ちょっと予測に自信がない時や、外挿(学習した際に含まれていないデータ)が入ってきた時は、他の処理にバトンタッチすることが大事です。

──バトンタッチする先は人間?

山元そうですね。「迷っている」って言われたときに人間が対処するとか、自動的にブレーキがかかるとか。バトンタッチ先がちゃんと動けるようにしておくことが大事です。

ドライバーの意識から安全運転へとつなげる「&e(アンディー)」

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「&e(アンディー)」で提供されるIoTセンサー。クルマに貼り付けることでその挙動データを収集する。
Image: &e

──「&e(アンディー)」の場合は、人間(ドライバー)へのアプローチで交通事故を減らそうという取り組みを行なっています。実際、どのようにしてドライバーを安全運転に導くのでしょうか?

広瀬「&e」は指でつまめるサイズの小型のIoTセンサーとアプリを合わせて使うことで、お客さまに安全運転してもらうのがコンセプトです。

山元IoTセンサーでは具体的にどんなデータを取得しているんですか?

広瀬クルマの挙動や、走った場所や時間、また、万一の事故の際はぶつかった時の方向と衝撃などですね。事故の際はこれらのデータから、事故が起こった状況を再現しています。急加速や急停止など、事故に至らない危険挙動も取得しているので、運転の履歴を振り返っていただくと、どういう危険挙動がどこであったのかや、ご自身の安全度のスコアがどう変化しているのか、などを確認できます。

山元なるほど。自分の運転の可視化とスコア化をしているんですね。私は出張した時くらいしか運転しないんですが、こういった仕組みがあれば、自然と背筋は伸びそうですね。それまで気に留めなかったところですけど、可視化されるとなると、ちゃんと運転しようって気持ちが生まれるキッカケになります。結果、安全運転につながっていきそうですね。

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イーデザイン損害保険株式会社 商品開発部長 広瀬直人さん

広瀬安全運転を支援するアプリとしてこだわったのは、楽しく運転してほしい、ってところです。「あなたのスコアが悪いですよ」って言うだけだと全然面白くもないし、アプリを使うことすら嫌になっちゃいますよね。私たちとしては、安全運転を振り返ってもらう機会にしてほしいんです。安全運転につながるテーマを設けて、実行できていたらポイントが貰えるといったアプローチで、楽しんで運転してもらえればと思っています

自動車の進化だけで交通事故がなくなるわけではない

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株式会社コーピー代表取締役 山元浩平さん

──近年の自動車はアシスト機能が充実していますが、将来的にAIは人間と同じような認知を得られ、交通事故をゼロにできるのでしょうか?

山元限りなくゼロに近くはなると思います。しかし、交通事故を減らすという観点を主として見ると、環境を整え人の意識をどう変えていくか?への取り組みのほうが、事故数はより減っていくでしょうね。現状でも危険予防装置がかなりワークしていると思いますが、人が制御する限り、人の意識の方が重要です

広瀬なるほど。でも、道路以外でも自動車事故って意外と多いんです。たとえば、駐車場の事故ですね。自宅でこすっちゃいましたとか、施設駐車場で同時に動いていてぶつかった。とかですね。こうしたシーンではAIの危険予防機能がかなり貢献するジャンルだと思うんですが、どうでしょう?

山元そうですね。現状でもそうした状況が限定されている場所だと、AIはかなり信頼できます。

広瀬センサーやカメラで障害物や急発進をお知らせしたり、安全停止したりするクルマも増えてきていますし、ボタンひとつで駐車してくれるインテリジェント パーキングアシストみたいな機能もありますよね。あれらも事故を減らすAIや自動化の良い技術ですよね。

──環境の整備だと、「&e」は自治体とも共創して、安全運転を広める取り組みを提案していますよね。

広瀬はい、イーデザイン損保として、刈谷市とデンソーさんと協力して「刈谷市 yuriCargo(ゆりかご) プロジェクト」を進めています。デンソーさんの「yuriCargo」アプリは「&e」同様に危険挙動などを確認できるので、危険挙動が多く発生している交差点などを抽出して、実際に対策を進めていただいています。

──ドライバーの意識を変えると同時に、環境面からも多角的に事故の真因を取り除こうとしているんですね。

自動運転と「&e」は今後どう発展していくのか?

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イーデザイン損害保険株式会社 商品開発部長 広瀬直人さん

──これから実現しうる安全運転への取り組みはありますか?

広瀬「&e」は、Apple Watchで取得可能なヘルスケアデータを安全運転に結び付けられないかと実験を行なっています。やはりクルマの事故って平常心ではない時が多いと思っています。疲れていたり急いでいたりする時、怒っている時もですね。こういうときって人はせっかちになってしまうので、心拍数に応じてアプリから「こういうところに気をつけた方がいいよ」とか「大丈夫?」って声をかけてあげる。これだけで、ちょっと冷静になれると思うんですよね。

&e(アンディー)×Apple Watchはドライバーのナイスパートナーになれる可能性あり

「ちょっとあんた!疲れてない?運転大丈夫なん?」なんてさ。察してくれるって、ちょっと嬉しいしありがたいよね。でも、こういう役目って今や近しい人だけでなく、スマ...

https://www.gizmodo.jp/2022/02/and-e-apple-watch.html

──それはすごいですね。まだ実験段階のプロジェクトなんでしょうか?

広瀬はい。ヘルスケアデータと運転データを溜めて、どういうモデルが作れるのか、分析ができるのかという研究をスタートしたところです。

山元データを溜めてモデルを作るというのはディープラーニングと同じようなアプローチですか?

広瀬現状はまだ、仮説を立てるための分析をしている段階ですね。仮説を立てられたら、検証を進めていく。実際にアラートとして出せるようにする仕組みは、さらにその次のステップとして進めていきたいと思っています。

──広瀬さんの中で「&e」をこうしていきたいという未来図を教えて下さい。

広瀬近年、クルマ同士の事故は減りつつあるのですが、実は歩行者や自転車とクルマの事故はクルマ同士の事故ほど減っていないんです。「&e」では、現在ドライバーに対していろいろな取り組みを検討していますが、歩行者、とくに子供に対する働きかけや、高齢者に対してのサポートなど、ドライバー以外の領域も何か手が打てないかなと考えています。

山元エッジケース(極端すぎてAIが対応できないケース)そのものを減らすような取り組みですね。「&e」のデータは常に蓄積していってるのでしょうか?

広瀬はい、事故が起きなかったものも含めて蓄積しています。契約が増えてくれば、正常な値だけでなく、例外となるケースのデータもより多く集まってくるので、次のサービスへつながるといいなと考えています。

山元それは価値があることだと思いますね。AIを活用した自動運転に関しても、どんどんデータが溜まっていかないと、稀有なエッジケースをカバーしていくところへ絶対たどり着けません。もちろん、仮想的に作って対処できることもあるかもしれませんが、最終的には現実の世界のデータをいかに集めてくるかがすごく大事なんです。

広瀬そういう意味では、保険会社は事故を取り扱っていますので、エッジケースのデータ標本って多いと思いますよ。

山元AIが予測や行動する時の正解みたいなものを「アノテーション」っていう形でラベル付けしていくんですが、そうしたアノテーション付きのデータが蓄積されていくと、いろいろなことが実現できそうですね!

広瀬ありがとうございます。1回うちのデータで研究してみます?

楽しく、安全に運転するために。「交通事故のない世界」を目指して

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今回、お2人の対談を通じてそれぞれのアプローチの方向性がよく伝わりました。同時にAI技術の進化だけで交通事故を完全に防ぐのは、まだまだ、もうちょっと先になりそうだということも、納得ができましたね。

つまり、AIもドライバーも、環境も。あらゆるデータを集め、精度を高めて、判断材料を増やし、多角的な視点から交通事故を減らし続けていくことで、ゴールが見えてくる。

そこに至る日は、明日や1年後ではなく、かなり先の未来でしょう。しかし、もし僕らが「&e」のIoTセンサーを付けて運転すれば、少しでもより多くデータが集まれば、その日が少しだけ早くやってくる可能性もあるわけです。

目的地は「交通事故のない世界」。移動手段はマイカー

イーデザイン損保の新しい自動車保険であり、最先端のIoTテクノロジー「&e(アンディー)」と共に、未来への安全運転を楽しんでいきましょう!

Source: &e(アンディー)