Apple Studio Displayは買い? 1週間使い倒して考えました

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  • author Phillip Tracy - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
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Apple Studio Displayは買い? 1週間使い倒して考えました
Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

有機ELでもHDRでも高リフレッシュレートでもないけど、どうなの?

先日のApple(アップル)イベントで、Mac Studioと一緒に外付けディスプレイ「Apple Studio Display」が発表されました。アップル純正でバカ高くはない価格帯のディスプレイは久しぶりで、気になる方も多いんじゃないかと思われます。米GizmodoのPhillip Tracy記者が1週間ほど使ってレビューしてますので、以下どうぞ!


ここ数年のアップルの商品リリース戦略はちょっとわかりにくく、僕はときにはイラッと来ちゃってました。プロ市場を取りに行こうと躍起になるあまり、コアなアップルファンを置き去りにしてたと思います。超プレミアムな分、ありえないくらい高額なMac ProとかPro Display XDRみたいなプロダクトを頑張ってましたが、「最高より一段安いやつ」にすると、ものすごく妥協しなきゃいけない…そんなラインアップになってました。ほどよくプレミアムなデスクトップを求める層には頼りないMac miniしかなく、5,000ドル(日本国内価格58万2780円〜)のPro Display XDRに躊躇する者にはサードパーティの選択肢しかありませんでした。

でも、変化は突然やってきます。

先日の「Peek Performance」イベントで、アップルは正にMac ProとMac miniの間にしっくり収まるMac Studioを発表しました。一緒に発表されたディスプレイがStudio Displayです。Studio Displayは、2011年にリリースされ2016年にディスコンになったものの好評だったモニター「Thunderbolt Display」の後継的な存在で、アップルとしては久々に5,000ドルを切るモニターとなります。

Apple Studio Display

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

Apple Studio Displayは27インチの美麗5Kディスプレイで、パワフルなスピーカーとエレガントなデザインは、アップルファンにもクリエイティブ職の人にも喜ばしいものです。

Studio Displayって何?:27インチの5Kモニター。

価格:標準ガラス版が1,599ドル(日本国内価格:19万9800円)、Nano-textureガラス版が1,899ドル(同:24万2800円)、高さ調整可能スタンドを付けるとプラス400ドル(同:4万4000円)。

好きなところ:明るく鮮やか、すごくシャープ、色再現性の高さ、エレガントなデザイン、パワフルなスピーカー。

好きじゃないところ:HDR非対応、最大リフレッシュレートが60Hzしかない、高さ調整スタンドが別売、ポートがUSB-Cのみ、ちょっとお高い。




Pro Display XDRよりだいぶ安いものの、Studio Displayはお手ごろ品では全然なくて、ツヤのある標準ガラスモデルは1,599ドル(日本国内税込価格19万9800円)、Nano-textureガラスモデルが1,899ドル(同24万2800円)もします。高さ調整できるスタンドが欲しければ、さらに400ドル(同4万4000円)かかります(高さ調整なしのスタンドは、さすがに付いてきますけど)。なのでStudio Displayは、メインストリーム市場のプレミアムカテゴリという位置付けになり、リファレンスカラーモードとかHDRが必要なプロ向けのPro Display XDRとは違います。だから画質は違うんですが、Studio Displayはいろんな意味で、普通のワークフローに合ってます。

Studio Displayのメインはもちろん27インチ/5Kのパネルですが、もれなく付いてくる機能も他のモニターでは得難いものです。たとえばパワフルな6スピーカーシステム、1200万画素でセンターフレーム機能が使えるWebカム、搭載のA13プロセッサが可能にするソフトウェア機能といったものです。多少改善してほしい部分もあって、最たるものは価格ですが、HDRやProMotion、高さ調整できるスタンドといったものがないのも問題です。あとパネル自体は普通の液晶なので、画質の上限は他のもっとニュータイプのパネルより低いです。

シュッとしたデザイン、融通はちょっと効かない

Studio Displayはアップルのミニマリストなデザイン言語に忠実で、Pro Display XDRのときと同じようなシルバーのアルミひとつでできたL字のスタンドが付属します。スタンドはモニターの中心部に丸いヒンジで接続します。モニター背面はPro Display XDRのチーズおろし風味よりずっとベーシックで、大きなアップルロゴが滑らかなシルバーの中にボンとある感じです。上部には受動空冷用の穴が空いてて、テスト中に背面パネルが温かくなることもありましたが、心配になるほど熱くなることはありませんでした。ディスプレイを囲むベゼルは細めながら、1200万画素のWebカメラが入るゆとりはあります。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

Studio Displayは、単体では高さ調整ができません。高さを変えるにはプラス400ドルのスタンドが必要です。つまりアップルは、高さ調整機能が必要ない人もいると考えてるみたいなんですが、やっぱり高さ調整スタンドはベース価格に込みであるべきじゃないでしょうか? しかもスタンドオプションは買うときに選ばなきゃいけなくて、後から買って簡単に付け替えるといったことができません。

標準のスタンドでできるのは、ディスプレイ角度をマイナス5度からプラス25度まで動かすことだけです。たしかにこれでも意外とちょうどいい角度が見つかります。とはいえ、僕みたいに1日の間に割と動き回って、その都度ディスプレイの位置や角度を微調整したい人は、もうちょっとお金を足してVESAマウントを使ったほうがいいです。

Studio Displayはプラグアンドプレイです。デフォルトで高さ調整できないことには不満を書きましたが、一応(Pro Display XDRと違って)スタンドが付いてはくるし、長さ1mのナイロンのUSB-Cケーブルも付属します。全部が最初からできあがってるので、組立作業は不要です。ボタンすらありません。ひとつもないんです。Studio Displayは完全にソフトウェアで動きます。USB-CをMacなりPCにつなぐと、それを検知して自動で電源が入ります。Studio Displayの重量は、高さ調整可能スタンド付きでも17ポンド(約7.7kg)と比較的軽く、オフィスの配置を変えるときに持ち運ぶのも簡単です。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

Mac Studioもそうですが、Studio Displayのゴム足は、僕の木の机の上では本体を固定させる役割は果たしませんでした。背面の入出力ポートにケーブルを抜き差しするたびに滑ってしまいます。ポートといえば、Thunderbolt 3入力がひとつと96Wh充電ポートがあり、僕のMacBook Air M1や、レビュー中のWindows PCいくつかを充電するのに十分でした。Thunderboltアイコンのない標準のUSB-C入力も3つあり、転送速度は10GB/sあります。

ただ、ビデオ出力はUSB-C経由だけで、HDMIやDisplayPortは使えません。パソコンにないポートを補完するという意味では、Studio DisplayにあるのはUSB-Cポートのみです。Mac Studioとか最新のMacBook Proを使ってる人なら問題ないと思いますが、MacBook Airみたいな超薄デバイスと一緒に使うなら、USB Type-Aもあったら助かったことと思います。

(足りないものもあるけど)美麗なパネル

27インチ5K(5,120 × 2,880)のRetinaディスプレイは、良いパネルに求める特性をすべて備えています。文字はシャープで、絵やアイコンはリッチな色で、明るさは十分以上です。「Pro Display XDRの1,600ニトに比べたら、600ニトなんて」と思うかもしれません。でも、Studio Displayは他社の多くのディスプレイよりも明るくて、ものすごく明るい職場で働いてる人じゃない限り、これ以上の輝度は必要ないと思います。僕は照明暗めのオフィスで、Studio Displayは85%くらいの明るさで使ってました。それ以上明るくすると、目を細めたくなります。カラーメーターで測ると、パネルの中央が603ニトでしたが、端の方では少し下がってピークが520ニトでした。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

キャリブレーションはうまくできていて、ホワイトバランスと色は最初から正確に見えます。とにかく目がうれしい感じがします。僕は家電量販店でよく流れてるような4Kの自然環境動画をずっと見てたんですが、シャープなディテールと鮮やかな色が素晴らしかったです。視野角も広く、サイズ的にもこの27インチは仕事・娯楽のどちらにも快適に使える絶妙なポイントだと思います。

ただ注意点は、Studio Displayのパネルは普通のIPSパネルなので、有機ELみたいな完璧な黒もないし、HDR対応ディスプレイの深いコントラストもないことです。HP Spectre x360 16の有機ELディスプレイをStudio Displayと並べてみたんですが、自然とHP Spectreのほうに目が惹かれました。Studio Displayに映る黒は相対的にダークグレーに見え、色もHP Spectreの塗りたてのペンキみたいな鮮やかさじゃありません。それからリフレッシュレートは最大60Hzしかないので、僕ならゲームにはStudio Displayを使いません。60Hzはこの解像度なら普通ですが、僕の中にはProMotionが入らないかなっていう淡い期待がありました。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

Studio Displayには9種類のリファレンスモードがあり、ユーザーの使い方に合わせたカラープロファイルを選ぶ手助けになっています。デフォルトの「Apple Display」はP3色域をカバーし、600ニトの明るさが可能です。このモードは家でもオフィスでもベストで、日々のオペレーション向きです。「Internet & Web」モードではsRGBを使い、64ルクスに固定されてます。他のモードについても、詳しくはこちらに解説があります。こういうモードがあることで、Studio Displayの色と明るさをいろいろな要件に合わせられて、アーティストやフォトグラファー、ビデオグラファーといった人たちが、自分が制作するコンテンツに合わせた環境を作れるわけです。

プラスαが盛りだくさん

Studio Displayは、4つのウーファーに2つのツイーターによる6スピーカーシステムを内蔵してます。音質は、僕が聴いたことのあるどんなモニター内蔵スピーカーより素晴らしいです。ティム・アトラスの『Tangeline』では、一瞬で低音の深さに引き込まれました。強いて言えば、一番低い部分が艶やかなボーカルやシンプルな楽器の音ににじんできて、中音が若干ぼやけます。とはいえ、これならBluetoothスピーカーとかブックシェルフスピーカーを別途買う必要ないと思います。大きな音でも歪みはないし、低音も効いてるし、Spatial AudioとDolby Atmosの組み合わせで音の分離もうまくできてます。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

もうひとつ大きな内蔵機能は1200万画素のWebカムで、F値は2.4、視野角は122度の超広角です。まあ、そんな素晴らしいってほどでもないです。スタジオ照明で部屋を明るくしてセルフィーを撮ったところ、僕のバラ色の肌とベージュのシャツは正確に捉えられ、顔の部分は均一に照らされてました。

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Image: Phillip Tracy - Gizmodo US

ただ、僕のMacBook Airで見てみても、僕の肌が滑らかすぎ、全体にノイズが多くなりました。でもZoomのときは、自分の持ってるLogitech C920じゃなく、Studio Display内蔵のWebカムを使うと思います。画質的にはLogitech C920のほうがいいんですが、わざわざ外付けするほどの違いじゃないからです。あ、あとStudio DisplayのWebカムでは、ビデオ会議参加者をフレームの中心で捉え続けるセンターフレーム機能が使えます

こうしたソフトウェア機能を可能にしてるのは内蔵のA13 Bionicチップ。iPhone 11と同じものです。これのおかげでSiriの入ってないアップルのデスクトップマシンでもSiriが使えます。欲を言えば、これだけパワフルなチップをもっとうまく使って、Face IDでの簡単ログインとかができてたらいいな、と思ってます。

買うべき?

僕はこの1週間ほど、Studio Displayを隅々まで楽しみました。27インチの5Kパネルはシャープで明るく鮮やかで、エレガントなデザインも魅力です。ベーシックなものに、1200万画素Webカムや高音質スピーカーといったプラスαの機能があります。

これで価格が正当化できるかっていうと、最初はこれに1,599ドルは高すぎじゃないか?って思いました。HDR非対応液晶モニターでリフレッシュレートも低いし、スタンドの高さも変えられません。

でも、Studio Displayにはあまり競合がいないんです。5Kモニターは今市場にあまりないし、あったとしてもやたら大きいか、やたら高いか、その両方かです。一番近いのはLGの27インチUltrasharp(先日までApple Storeにもあったんですが消えました)ですが、Studio Displayとの価格差は300ドル(約3万6000円)しかなく、明るさも見た目のきれいさもStudio Displayに及ばず、macOSの機能もありません。予算をちょっと追加できるなら、Studio Displayのほうがベターです。

Studio Displayは、シャープでカラフルで作りがしっかりしたモニターを求めるアップルファンやクリエイティブ職の人を満足させることでしょう。ハイレゾ素材をいじるクリエイティブ職でない人には、Studio Displayよりも4Kモニターをお勧めしたいです。もっと安いし、ディスプレイ技術としてももっと良いもの、たとえばAlienwareの新しい34インチQD-OLED(AW3423DW)みたいなのがあります。

でも、必ずしもクリエイティブのプロじゃない人がStudio Displayを選んでも、全然ありだと思います。Studio Displayは、長く空いていたThunderbolt Displayの穴を、しっかりと埋めてくれているのです。

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