ネットを切断されても負けない。BBCがウクライナとロシアにむけて短波ラジオ開始

  • 8,662

  • author 福田ミホ
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …
ネットを切断されても負けない。BBCがウクライナとロシアにむけて短波ラジオ開始
image:shutterstock
Amazonブラックフライデーセール開催中!<いますぐ会場へ>

昔ながらの技術が強みを発揮。

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、ロシア国内では情報統制が進み、報道内容も厳しく検閲されるようになっています。そこでBBCは短波ラジオを使うことで、ロシアやウクライナに情報を届けようとしています。

ネットが遮断された代替手段

ロシア通信規制当局は3月4日、英国BBCのロシア語サービスや米国系ラジオなどへのアクセスを制限すると発表しました。The Guardianによれば、ロシアからBBCのWebサイトへのアクセスは、すでに通常の17%程度しか見られなくなっていました。ロシア政府は自国民に対し、ウクライナに対する侵攻は「ウクライナの非武装化・非ナチス化のための特別軍事作戦」だと正当化して報道してます。要はロシアの中では「ロシア=善、ウクライナ=悪、プーチンはウクライナの救世主」っていうストーリーが広められて、普通の人がロシア政府を支持するよう操作されてしまっているとのことなんですね…。

今までロシアの報道は完全に政府にコントロールされていたわけではなく、BBCにもモスクワ支局があり、現地の独立系報道機関もありました。でも3月4日には「ロシア軍に関するフェイクニュース」を禁止する新法も成立 し、違反すると最高15年の禁錮刑が課されるようになってしまったんです。これを受けてBBCはロシアでの報道活動を停止、独立系新聞やWebサイトも報道自粛を発表しました。

ロシアの人たちもみんなが政府の情報を鵜呑みにしているわけではなく、むしろ国外の中立な情報へのニーズは高まっています。BBCの発表によれば、BBCのロシア語Webサイトへのアクセスはウクライナ侵攻が始まった週に前年同期比3倍以上となっていました。ですがネット上のどこかが遮断されれば、Webサイトへのアクセスは不可能になってしまいます。

そのためBBCは、短波ラジオでの放送を開始しました。ウクライナ時間14時〜16時に15735kHzで、22時〜24時に5875kHzで、合計1日4時間、キエフとロシアの一部で英語のBBCニュースが聞けます。

ロシアはウクライナのTV塔を爆撃するなど、ウクライナでの情報の流れも混乱させています。ウクライナのオレクシー・レズニコウ氏はTwitterで、ロシアはウクライナの通信を遮断し、「ウクライナ上層部が降伏した」などのフェイクニュースを流そうとしていると注意喚起しています。

短波ラジオは長距離に伝達でき、小型端末で受信できる特性から、ヨーロッパでは第二次世界大戦中によく使われていました。The Guardianによれば、その利用のピークは東西冷戦時代だったそうです。

使えるものはなんでも使って正確な情報を届けようとする努力に頭が下がる一方で、そんな努力が必要ない世の中に早くなってほしいと祈るばかりです。

Source: AFPBB、BBC(123)、ReutersThe Guardian