核戦争への懸念から欧米でヨウ素剤が10倍の価格で転売。でも早まってはいけない...。

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核戦争への懸念から欧米でヨウ素剤が10倍の価格で転売。でも早まってはいけない...。
eBayではヨウ素剤の相場が10倍に
Image: ebay

ロシアによる原子力発電所への攻撃や核兵器の使用を警戒して、欧米では早くもヨウ素剤のパニック買いが進行中です。

今月4日のザポリジエ原発火災、14日のチェルノブイリ原発送電線破壊で緊張が高まったこともあって、「iodine pills for nuclear attack(核攻撃時のヨウ素剤) 」のGoogle検索数が90%もアップ。

米国では食品医薬品局(FDA)認可の安定ヨウ素剤4種のうちiOSATを開発するAnbex社が「完売、月末再入荷待ち」となり、 ThyroSafe開発元も新規受注にストップをかけて既受注分の配送作業に追われています。

eBayでは通常1,500円程度の錠剤が1万5000円以上の高値で取り引きされていますし、しかもそんな非正規転売ルート以外では手に入りにくい状況です。

欧州各国の反応

ヨウ素剤を買い求める動きは、ウクライナに近い欧州諸国でひと足先に表面化していました。

プーチンが戦略核運用部隊に特別態勢に入るよう命じたことを明らかにすると、東欧諸国は蜂の巣を突いたような騒ぎになり、ブルガリアでは1年分の安定ヨウ素剤が6日で完売しました。全国民にヨウ素剤を無償配布する政策を2018年から進めているベルギーでは、チェルノブイリ軍事衝突の翌日だけで3万人近くが薬局に殺到し、政府が「まだ服用しなくても大丈夫です!」と止めるので精いっぱい。

ほかにも4日付けのReutersには次のような報告が各国から集まっています。

・フィンランド:キエフからの距離がベルリンとだいたい同じ。ヨウ素剤の需要が100倍以上に急騰。

・ノルウェー:全土の薬局でほぼ完売。

・ルクセンブルク:需要高騰を受け、政府がいつ何錠飲むかのガイダンスを発表するとともに、当局の指示が出るまで服用を控えるよう警告。薬局に行っても在庫がないので手ぶらで帰るほかない。


イタリアやオーストリア、ドイツなどでもヨウ素剤無償配布の動きは広まっていて、「いざというとき、何錠飲めばいいの⁉」という問い合わせが、医師や薬局に殺到しているそうです。

ヨウ素剤の効果は?

このような状況ではあるのですが、万一核戦争となれば「とてもヨウ素剤だけで防げるようなものではない」というのが専門家の共通見解です。ヨウ素剤は放射性ヨウ素の吸収を防いで甲状腺がんを予防することはできますが、ほかにもいろんな放射性降下物が雨あられと降り注いできますからね…。

ヨウ素剤は飲み過ぎてもいけなくて、過剰摂取で死んでしまうこともあると米CDCは警告を発しています(同様の警告は、3.11福島原発事故のときにも米高級スーパーWhole Foodsのヨウ素剤の棚などに掲示されました)。

私達にできることは、ローレンスリバモア国立研究所による初動アドバイス(外出は半日~1日置いてから)を読んで、いざというとき逃げ込めるバンカー(地下道、地下室、分厚い壁や本棚に囲まれた場所など)を家族で話し合っておくことくらい。ヨウ素剤の出番がないことを祈りながら…。

Source: ebay, Today, U.S.Food & Drug, The Brussels Times, Bloomberg
Refernce: Wikipedia