インテルの独立型GPU「Arc3」がいよいよ来る。今わかってることすべて

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インテルの独立型GPU「Arc3」がいよいよ来る。今わかってることすべて
Image: Intel

NvidiaとAMDの二強体制もこれで終わりを告げるのか?

Intel(インテル)最新の独立型GPU「Arc」がロールアウト開始になりましたね!

まずは薄型ノートのゲーミングを快適にする下位モデル「Arc 3」が今月リリース。上位モデルの「Arc 5」「Arc7」はもう少し後に出る予定です。

超薄型ノートのゲーム環境が改善

第一弾のArc 3は統合型Intel Iris Xeを独立型に進化させたもので、Samsung(サムスン)Galaxy Book2 Proなどに搭載となります。型番(SKU)は「A350M」と「A370M」。どちらも薄型ノートでゲームを1080pで楽しむ環境をブーストするGPUですので、NvidiaやAMDからトップの座を奪うような上位モデルではありません。

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CPUに統合されているタイプのIris Xeグラフィックスと比べると、およそ2倍の処理性能を誇り、市場に出回るエントリーレベルのカードに十分対抗しうるものと言われています。二強のAMD/Nvidiaと比べたベンチマークは、インテルから未提供…。上位機種のArc 5とArc 7が出揃うころには、明らかになるのではないでしょうか。

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Arc Aシリーズ5つのラインナップ
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現時点で公開されている表はこちらです。Arc 3 A350MはXeコア6基、レイトレーシング(RT)ユニット6基、基本動作クロック1.15GHz、GDDR6をサポートしており、メモリ容量4GB、消費電力25~35W。

Arc 3 A370Mは電力が最大50W必要ですが、Xeコア8基、レイトレーシングユニット8基、基本動作クロック1.55GHzとひと回りパワフル。

夏リリースの中位モデルのArc 5(A550M)は16コア、RTユニット16基、動作クロック900MHz、GDDR6対応、メモリ容量8GB、消費電力60~80W。

同じく夏リリースの上位モデルのArc 7は「A730M」と「A770M」のふたつで、前者は24コア、RTユニット24基、動作クロック1.1GHz、メモリ容量12GB、消費電力80~120Wで、最上位の後者は32コア、RTユニット32基、動作クロック1.65GHz、GDDR6対応でメモリ16GB、消費電力120~150W、メモリーバス256bitとなっています。

テクニカルなお話を少々

どれもインテルのマイクロアーキテクチャ「Xe HPG( High-performance gaming)」採用です。これはレンダースライス最大8基で構成されるもので、低消費電力ソリューションからゲーマー用リグまで幅広くGPUの構成を調整できるのが特徴です。各スライス内に計算エンジンのXeコアがあり、コアごとにグラフィックス&演算処理高速化用の256bitのベクトルエンジン、AI高速化用の1024bitマトリクスエンジン(XMX)、192KBの共有ローカルメモリ(SLM、L1キャッシュとしても使える)がセットで配されています。

独立型GPUはインテルも初めて(ひさびさ)ですので、一部の人に期待されていたほどの性能向上とは感じないかもしれませんが、今のゲーミング機能は結構あれもこれもサポートしています。 Arc GPUは全部DirectX 12 Ultimateフル対応。ほかにもハードウェアアクセラレーションレイトレーシング、可変レートシェーディング、メッシュシェーディング、サンプラーフィードバックといった、最新のグラフィックカードに求められるテクノロジーはひと通り押さえています。

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Image: Intel

さらにNvidiaのDLSSに対抗してインテルは、低解像度イメージの画質をAIで改善する「Xe Super Sampling(XeSS)」も投入してきました。なので、1080pの高リフレッシュレートでも4Kに近い解像度でゲームが楽しめちゃいます。XeSSでエンハンスした未公開タイトル「Dolmen」をデモで見ましたが、未処理のものより明らかにシャープで、Zoom中も違いは歴然でした。AMDやNvidiaと比べてどうかはわかりませんし、その点についてはインテルも正直に、まだ生まれたての技術なのでこれから何年もかけて精度を高めていくと言ってました。

Arcが標準で対応している映像出力インターフェースはHDMI 2.0bです。最新のHDMI 2.1には対応していません。インテル曰く、Arc AシリーズはDisplayPort 1.4/2.0経由で120Hzの4K視聴が可能で、HDMI 2.1 PCON付き一部プロセッサーではHDMI経由で120Hzの4K視聴が可能だし、オプションパーツ「DisplayPort To HDMI Protocol Converter(PCON) 」も用意したので、メーカーが希望すればそれをノートPCに入れることで、HDMI 2.1準拠出力端子の装備もできるということでした。

数あるグラフィックス性能でも最後に紹介したいのは、ティアリングやカクつきを減らす3つのテクノロジー。まずひとつ目は、おなじみの「Adaptive Sync」です。これは画面のリフレッシュレートをGPUのフレーム出力に合わせることでティアリングやカクつきを抑えるもの。それを最適化するのが「Speed Sync」で、最新フレームを高速化して遅延を低減します。また、「Smooth Sync」ではティアリングで生じるずれをぼかすことで、極力目立たなくできます。

AV1サポートが復活

独立型GPUは何もゲーム専用というわけではありません。動画や写真の編集といった作業でも威力を発揮します。

そこでインテルは、非ゲーマー層も引き寄せられるようにいろんな動画コーデックをサポートしました。VP9、AVC、HEVCも使えるし、忘れちゃならないのがAV1。インテルによると、AV1形式のエンコード/デコードをハードウェアアクセラレーションでできるチップはこれが最初ということでした。

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Image: Intel

AV1はオープンソースのロイヤルティフリーな動画圧縮形式で、世界を代表するテック各社に支持されています。

Netflix、YouTubeもすでにサポート済み。今一番広く使われているH.264より50%、H.265より30%効率が高いと言われています。つまり、より少ないデータを使って、同等以上の映像クオリティを再現できるということですね。

インテルの話では、Handbrake、Adobe Premiere Pro、DaVinci Resolveなどの人気アプリで試してみたけど、ハードウェアアクセラレーションの効果は絶大で、Arc GPUの圧縮は50倍も高速だったそうです。

Arcのソフトウェアと搭載ノート

Arcグラフィックス搭載のノートとデスクトップPCには、インテル独自のArc Controlソフトウェアが無料で付属します。最新の専用ドライバはこれでダウンロードできますね。ほかにもパソコンの処理性能を目で確かめたり、設定を変えたり、ゲームライブラリにアクセスしたりできます。

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Image: Intel

プログラムは「Alt + I 」のショートカットで起動でき、オーバーレイで表示されるので、ゲームが中断される心配もありません。Arc Controlはこんな風に「ゲームドライバ、性能チューニング、Creator Studio、グローバル設定、Unified Software、ゲームライブラリ」という6つのメニューに分かれています。それ以上の詳細には触れませんが、注目なのは、ハードウェアの統計がテレメトリオーバーレイで見れることと、サードパーティーのプラットフォームにも配信できること、内蔵Webカメラで背景ブラーなんかのAI機能が使える辺りかと。

Arc 3搭載ノートはサムスン Galaxy Book2 Pro(日本発売未定)を筆頭に、その後も続々登場予定です。最初に採用されるのは、 Intel Evo認証付きのもの。つまり、軽量薄型でバッテリーが最低9時間持つ製品(インテル独自のテスト方法に基づく数値)から…ですね。

米Gizmodo編集部でもArc 3が届き次第テストしてみます。インテルとNvidia&AMDの直接対決を待ってるゲーマーとコンテンツクリエイターは、夏のArc 5/Arc 7発売まで今しばらくお待ちを…!

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