温暖化で花粉シーズンは長く、花粉量は倍増するって

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  • author Kenji P. Miyajima
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温暖化で花粉シーズンは長く、花粉量は倍増するって
Image: shutterstock
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くしゃみをしすぎて腹筋が割れそうな未来なんていらない。

全米2400万42.5%の日本の人たちにとって、鼻と目がむずがゆくなるニュースです。

地球温暖化と大気に含まれる二酸化炭素の増加が、いまよりも花粉症シーズンを長く厳しいものにする可能性があるという研究結果がNature Communications誌に発表されました。

最悪の場合、花粉シーズンが60日長く、花粉量は2倍に

米ミシガン大学の研究チームは、コンピュータモデルを用いて、過去(1995年~2014年)の観測値と2つの気候シナリオ(2081年~2100年までに「2~3度上昇」した場合と「4~6度上昇」した場合)で、15種の植物を対象に米国内における花粉量と花粉シーズンを比較しました。

結果は、目と鼻を塞ぎたくなるようなものでした。後者のシナリオだと、花粉量は最大2倍に、花粉シーズンは最長40日早く始まって19日遅く終わる可能性があるんだそうですよ。前者のシナリオの場合、量もシーズンもだいたい半分くらいになります。花粉量やシーズンの期間は、植物の種類や地域によって違うとのこと。

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Image: Zhang and Steiner, 2022

この図は、上からスズカケノキ、カバノキ、ブタクサの花粉シーズン期間について、これまで(左)と、今世紀末(右:4~6度上昇)の違いを比較したものです。カバノキのシーズン期間は米本土どこでも同じですが、スズカケノキとブタクサは地域によって長さが違います。同じように、今世紀末には南部でより花粉シーズンが長くなっちゃいそうなのがわかります。花粉症持ちの訳者はどうしてテキサスなんかに住んでいるのか…。

Video: The Conversation/YouTube

この動画は、同研究から米本土で1年を通じた花粉の飛散量をビジュアル化したものです。左上から時計回りで落葉樹、常緑樹、ブタクサ、草本(背の低い草)になります。おおむね南部から北上して、北部から減っていく感じですが、将来的には気温上昇幅が大きくなる北部で花粉量が増えるそうです。

花粉増とシーズン延長の原因は温暖化とCO2

研究者によると、花粉量の増加と花粉シーズン長期化の原因は、気候変動による気温上昇と、二酸化炭素量増加の両方なのだとか。植物が育てば育つほど、花粉の量も増えるんですね。気温が上昇すれば、多くの地域で植物の成長期間が長くなります。つまり、気温が上がることで、花粉を飛ばせる期間が延びるというわけです。

でも、植物の成長に気温以上の影響を与えるのが、二酸化炭素なんだそうです。二酸化炭素は、植物の光合成に欠かせません。二酸化炭素が増えると、植物がより大きく成長するため、よりたくさんの花粉をばらまけるようになっちゃうと。今回の研究では、気温上昇よりも二酸化炭素量増加の方が、花粉量の増加につながるという結論に至ったそうです。

ただ、アメリカには花粉の量を観測できる施設が100カ所もないらしくて、今回の研究結果も少ない観測データと衛星によって割り出した植物分布からの推測なので、不確かな部分が多いとのこと。でも、不確かな点を減らして気象情報と組み合わせることで、花粉予想をリアルタイムで出せるようになるそうですよ。実現すると呼吸器系疾患を持っている人は、行動の目安にできそうですね。

花粉シーズンはすでに長くなっている

今回の研究は、今世紀末の花粉量と花粉シーズンに関する予測でしたが、北米ではすでに花粉シーズンが20日長くなって、花粉濃度も21%上昇しているという研究結果も出ています。

また、花粉症を持っていると生産性が落ちるという研究結果もあります。わかります。目はかすむし、鼻水は止まらないしで、目と鼻を外して洗いたくなりますもん。生産性どころか気分まで落ちちゃいます。世界規模で労働者の生産性が下がると、経済損失はとんでもないことになるんじゃ…。

あと、花粉はぜん息の症状が出るトリガーになったり、ぜん息を悪化させたりすることがあるので、こういう研究結果はちょっと歓迎できませんね。アメリカの場合だと、特に南部はいまでも貧困層にぜん息患者が多いので、花粉が増えるのは心配です。

Source: 米ぜん息アレルギー財団, 環境省, Nature CommunicationsThe Conversation, PNAS, National Library of Medicine (1, 2