クランクを回して遊ぶPlaydate、可愛いしポテンシャル大!

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  • author Andrew Liszewski - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
クランクを回して遊ぶPlaydate、可愛いしポテンシャル大!
Image: Andrew Liszewski - Gizmodo US

ムダにプレゼントしたくなる。

クランクをぐるぐる回してプレイする小さなゲーム機「Playdate」がついに発売されました。179ドル(約2万3000円)とわりと高価ですが、すでに初回生産分が完売して2023年出荷分のプレオーダーが始まってます。数々の変わり種ゲーム機を見てきた米GizmodoのAndrew Liszewski記者がレビューしてますので、以下どうぞ!


最近モバイルゲーム機の発売延期が続いてましたが、バッテリーに問題があって2022年にリリースが延びていたPlaydateが、ついに登場しました。レトロとモダンをミックスしたクランク付きモバイルゲーム端末は万人向けじゃないですが、ポテンシャルは大きいです。スペックよりも楽しさ、独自の体験重視のハードウェアに対し、デベロッパーが何を打ち出してくるのかが楽しみです。

The Playdate Is Unique, Charming and Full of Potential

After a long two year wait, the handheld gaming device is finally crankingRead m...

https://www.youtube.com/watch?v=TXF9WXkjsVQ

でも、最初に断っておかなきゃいけません。僕はギミッキーなデバイス、とくにその手のゲーム機が苦手です。

ギミックが上手な会社はただひとつ、任天堂しかないと思ってます。そんな任天堂でさえ、モーションコントロールのWiiとかポータブルなSwitchといった成功例もありながら、バーチャルボーイみたいな失敗もしてます。

折りたたみ式クランクとモノクロ画面を載せたPlaydateをPanicが初めて発表したとき、僕はそのすべてを拒絶しました。風変わりな見た目に寄り過ぎてる気がしたんです。それでも、PanicのUntitled Goose Gameを楽しくプレイし、Teenage Engineeringのデザインのファンでもある僕は、Playdateに向けてウォームアップしてきました。Playdateを実際数週間使ってみた今、その楽しいポテンシャルがわかったんですが、同時にその設計には大きな問題点もあると思ってます。

Panic Playdate

クラシックな液晶モバイルゲーム機をモダンに表現したPlaydateはポテンシャルが大きく、そのクランクをうまく活用したゲームもいくつか出ています。でもこのモノクロ画面にはバックライトなどがないので、画角がやたら狭いという問題を抱えてます。

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これは何?:白黒画面と折りたたみ式クランクの付いた携帯ゲーム機。毎週2本ずつ、最初のシーズンで計24本の新ゲームをプレイできるサブスクサービスが込み。

価格:179ドル(約2万3000円)

好きなところ:クランクでユニークなゲームプレイができ、それを活用したタイトルも多い。

好きじゃないところ:画面には内蔵ライトがないので、つねに角度を調整してなきゃいけないこと。


ハードウェアの新鮮さ

携帯ゲーム機を革新するのは簡単じゃありません。任天堂の初代ゲームボーイのタテ型デザインとゲームボーイアドバンスのヨコ型デザインで、携帯ゲームの形状はもう何十年も定義されていました。どちらも名デバイスであり、追随されるのは良いことでもありますが、それでもPanicやTeenage Engineeringといった会社が新しいものにトライしてるのはナイスです。

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Playdateは驚くほど小さく、スマホよりもポケットに入れやすいくらい。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

Playdateの第一印象は、やけに黄色くて楽しげで、思ったより小さくて軽いってことで、良い感じだらけです。

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初代ゲームボーイと同サイズのアナログポケットも、Playdateと並べると巨大な印象に。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

スマホも携帯ゲーム機も大型化傾向にある今、Playdateのコンパクトさ、薄さ、軽さはすごく良いと思います。素材はほぼ全体にプラスチックながら、すごくしっかりと頑丈な感じがします。僕はいつもスマホの扱いにはやたらめったら慎重なんですが、Playdateは多少荒っぽい扱いでも耐えられそうで、そのうちちょっと傷が付いたりはするんでしょうけど、それくらいはまあいいかなと。

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アナログヘッドホンジャックがない説もありましたが実際はちゃんとありました。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

Playdateにはヘッドホンジャックがしっかりあります。本体下部(やっぱここですよね)の、充電・同期用のUSB-Cポートの隣です。本体上部には電源・ロックボタンがあり、そこにはLEDが付いててゲームが届くと点滅します。ただこのライト、とある深夜に気づいたんですが、すごく明るいうえに、設定でオフにすることもできません。

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十字キーはすごく良いってものでもありませんが、カジュアルゲームには問題ありません。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

Playdate前面には携帯ゲーム機の標準的なボタン、つまり四方向の十字キーと、ゲームボーイとか古いゲーム&ウオッチみたいなAとBのアクションボタンがあります。

十字キーの押し心地は任天堂のものと同じくらい良いかっていうと、個人的にはややクリック感が強すぎるんですが、Playdateでターゲットとしてるようなカジュアルゲームにはちょうどいいんでしょうね。つまり、ストリートファイターみたいに複数ボタンをコンボで連打するタイプのゲームは、Playdateには期待しないほうがいいみたいです。

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クランクはすごく安定してて、回し具合を微調整するときに必要な、ほどよい抵抗感も。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

Playdateの一番ユニークな機能は折りたたみ式のクランクで、この部分は金属でできてます。ヒンジがしっかりしてガンガン回しても大丈夫そうな安定感があり、ユーザーがこの部分をかなり酷使する想定なんだろうって感じがするし、十分な抵抗感があって細かい調整もできます。Wii向けにワラワラ出てきた、チープな釣り用リールアクセサリーとはわけが違います。PanicもTeenage Engineeringも、この部分をPlaydateの目玉としてしっかり考えて作ったのでしょう。

このクランクはPlaydate用ゲームの多くのものの中で重要な役割を果たしますが、UIの操作でも一部使えます。安定して使える程度の大きさがありつつ、使ってないときは本体の横に小さくたためます

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音量調整の専用ボタンはありませんが、ゲーム内メニューまたは他のボタンの組み合わせで簡単に調整できます。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

Playdateには専用の音量ボタンがないのが不思議なんですが、小さいながらも音量のあるスピーカーの上、画面の隣にメニューボタンがあります。ここからいつでもホーム画面、本体設定、今プレイしてるゲームのオプション、スクリーンショット、そして音量スライダーにアクセスできます。もしくは、このメニューボタンを押しながら十字キー上下でも音量調整できますが、ゲームをプレイしてるときにこれをやると、音量のための十字キーの動きがゲームにも反映されちゃいます。

Playdateは可愛いだけじゃなく、作りもしっかりしてて、素晴らしいゲームプラットフォームだと思います。ただ画面に関しては問題が…のちほど詳しく書きます。

ローンチタイトルは十分

ValveのSteam Deckとかアナログポケットとかは最初からゲーマーのみんなが大好きなタイトルを含む巨大なライブラリにアクセスできたんですが、Playdateは完全に新しいプラットフォームです。Playdateのゲームライブラリはサブスク制で(サブスク費用は179ドル≒2万3000円の本体代金に込み)、充電・起動してWi-Fiにつなげるとまず2タイトルがダウンロードされます。その後は毎週2タイトルずつ追加されていき、最終的にファーストシーズンには24タイトルがそろうことになってます。Panicはこれを「バンドル」と呼んでます。

ファーストシーズンにはほぼすべてのカジュアルなゲーマーに好まれそうな幅広いジャンルのゲームが入ってますが、ユーザーの好みによって当たり外れがありそうです。宇宙もののシューティングゲームからRPGやターンベースの戦略ゲーム、横スクロールものやパズルゲームまで、ファーストシーズンの顔ぶれは多彩です。

でも、いろいろあるってことは、実際プレイしたいゲームは好み次第でもっと少ないってことにもなりえます。ただ、追加のタイトルをサイドロードするのもかなり簡単で、Panicはゲームメーカー(アマチュアにも)に対し、Playdate用の開発ツールを提供してます。ただローンチ時点では、追加できるゲームはすごく少ないです。

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Playdateのゲームの見栄えは、白黒のArduboyのライブラリに似てます。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

Playdateそのものと同様、Playdateのゲームタイトルの多くも見栄えが独特で、Zach Gage(『Ridiculous Fishing』)とかBennet Foddy(『Getting Over It with Bennet Foddy』)みたいなインディーズの伝説的デベロッパーのものも多いです。白黒ディスプレイだし、独立系デベロッパーの開発を支援してるという意味で、Kevin BatesのArduboyをほうふつとさせるところがあります。

ただArduboyと違ってPlaydateにはもっと馬力があり、CPUは180MHzのCortex M7、RAMは16MB入ってます。って、それだけ?と思われるかもしれませんが、僕はほんとにPlaydateのグラフィックスの滑らかさと複雑さ、アニメーション表現に驚きました。Playdateはゲーム&ウオッチみたいなレトロゲーム機に見えるかもしれませんが、中のゲームは完全にモダンです。

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Nels Anderson・Christina “castpixel”Neofotistouによる『Forrest Byrnes: Up in Smoke』(Image: Panic)

で、Playdateのクランクを使ったゲームプレイはどんなんでしょうか? これもわりと当たり外れがあります。ゲームの中にはクランクをほとんど使わないものもあれば、横スクロールの『Forrest Byrnes: Up in Smoke』みたいに特定のタスクでたまに使うというものもあります。たとえば、井戸からバケツを巻き上げて人を救出する、みたいなことです。

PanicはPlaydateのプロモーションで『塊魂』の高橋慶太氏の『Crankin’s Time Travel Adventure』を大きくフィーチャーしてたんですが、それは高橋氏がツボを心得てたからなんでしょうね。

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Uvula(高橋慶太氏、Ryan Mohler氏)、MatthewGrimm氏、Shaun Inman氏による『Crankin’s Time Travel Adventure』(Image: Panic)

『Crankin’s Time Travel Adventure』ではプレイヤーがクランクを使って時間を操作し、ロボットの主人公を別のロボットとのデートに向かわせます。花の匂いをかぐ、といったイベントをリプレイすることで、時間の流れの外にある障害物を避けていきます。Playdateのクランクはこのゲームにぴったりハマってるし、ゲーム自体も楽しいだけじゃなくてパッと見より難しく、難易度が上がっていきます。Playdateならではのゲームだと感じられるし、このゲームだけでもPlaydateのコストがほぼ回収できるような気がしてしまいます。「ほぼ」ですが。

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Chuhai Labs(Giles Goddard氏、Mark Lentz氏、Peter Traylor氏、Hero Liao氏、Remy Thor氏、Charlie March氏、Kensaku Nakata氏、Zach Aikman氏、Mihoko Terao氏、Kinsey Burke氏)の『Whitewater Wipeout』(Image: Panic)

『Whitewater Wipeout』もクランクをうまく使っていて、こちらは大波に乗るサーファーの動きをコントロールします。なかなか難しく、クランクのインターフェースになじむまでに試行錯誤が必要かもしれませんが、一度マスターすればすごく楽しめます。Playdateのクランクが単なるギミックではないことを示すさらなる事例でもあります。

ローンチ時点でプレイできる24タイトルは、Playdateをヒットさせるのに十分かというと、僕は完全には納得してません。でもこれだけでも新たなプラットフォームの可能性は示せているし、これからもっと多くの人がどんなゲームを作り出していくのか、本当に楽しみです。

画面にはがっかり

新たなことに挑戦する会社は応援したいし、Playdateのクランクは楽しいイノベーションだとも思います。でも、Pebbleのバッテリーライフを可能にしたのと同じ、SHARP(シャープ)製白黒メモリ液晶を使うという判断は残念でした。理論上、この画面のおかげで電子ペーパー並みのバッテリーライフを実現しつつ、ゲームに必要なリフレッシュレートも得られているようです。とはいえ、実装上では大きな問題がふたつあります。

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Playdateの小さな画面だと、文字など細かい部分が読みにくいことも。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

Playdateの画面の400 x 240という解像度は一見低いんですが、そのわりに驚くほど細かいグラフィックスを表示できます(ギザギザだけど)。ただサイズが小さいので細かい部分の判別が難しいことも多く、とくにごく小さな文字なんかは読み取りにくいです。僕は(今のところ)メガネをかけてないですが、ときどきPlaydateを顔に近づけて細かいメッセージを読んだり、ゲーム内のオブジェクトの意味を解読したりしなきゃいけませんでした。

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画面にライティングが何もないので、真上から直射日光があたってるとき以外は読みにくいです。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

でももっと問題なのは、Playdateの画面にはバックライト等が内蔵されてないので、読み取るには何らかの光源が必要になることです。太陽がさんさんと降り注ぐ公園のベンチでゲームするならいいんですが、それ以外の場所だとつねに反射を気にしながら光を捉えるべく苦労することになります。

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ちょっと持ち方を変えるだけで(クランクを回すのでも)画面が動いて、ちょうどいいライティングの範囲から出たり入ったり。(Image: Andrew Liszewski – Gizmodo US)

僕は夜、ベッドの上でPlaydateを試そうとしましたが読書灯では暗すぎて不可能で、ハイキング用のヘッドランプを使うことになりました。画角の問題は、ゲームによってはさらに顕著になります。クランクを回すと画面がグラグラして、ちょうどよく見える角度から出たり入ったりするんです。

Playdateの他の部分、インターフェースやローンチタイトルは洗練されてるのに、この画面で発売しちゃったことには正直びっくりしてます。

新ゲーム機として、心の居場所をあげてもいい?

ローンチタイトル24本プラス、その後も追加されるとしても、179ドルという価格はけっこうキツイです。だってあと20ドル足せばSwitch Liteが買えて、そこにはあらゆるゲーマーに響く巨大なゲームライブラリがあるわけで。とはいえPlaydateのゲームは数時間でクリアできるものが多く、つまりターゲットはカジュアルなゲーマー、またはゲームの世界で真に新しい何かを求めてる人です。Playdateはそれを実現してるとは思います。

Playdateのローンチタイトルはそのポテンシャルをしっかりと示していて、それこそが僕にとって最大の魅力です。Arduboyが比較的シンプルなシステムの中でいろんなゲームを創造するデベロッパーの巨大コミュニティを生み出した以上に、Playdateのコミュニティも成長し、より面白いタイトルが生まれていくと思います。

ただ、いつかそうなるだろうって期待だけで高価なデバイスを買うかっていうと、厳しいです。とくに画面見えにくい問題は、それで全部台無しとまでは言いませんが、バックライト搭載のPlaydate 2を待つ人がいてもしょうがないでしょうね…。

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