ジンベイザメは船舶との衝突事故で個体数が減っている

  • author Angely Mercado - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
ジンベイザメは船舶との衝突事故で個体数が減っている
Image: Shutterstock.com

優しい巨人と呼ばれるジンベエザメたちが…。

魚類では世界最大のジンベイザメが近年、人間の行動によって数が減ってきています。ジンベイザメはその大きさと姿、そして「サメ」という名前から獰猛で怖いと思ってしまう人も多いかと思いますが、実は真反対。穏やかでゆったりとした性格。食べ物は魚を追いかけたりもせず、口を開けて入ってくるプランクトンなど。体長は成長すると10〜12メートルに達します。

船との衝突事故で個体数が減少

そんなジンベイザメですが、海外からのコンテナを積む大きな船に比べると小さいものです。米国科学アカデミー紀要が発表した報告によると、大型船舶の運航が理由で世界中のジンベイザメの数が大きく減っているとのこと。過去75年で50%も減少してしまったことがわかりました。

ジンベイザメが減っている理由を解明するために、50人の研究者たちが世界中から協力し、船とジンベイザメを追跡し、その両者が海で衝突事故を起こす可能性を分析。2005年から2019年の期間で、300頭のジンベイザメとインド洋、太平洋、大西洋を運行する船舶の動きを分析したところ、ジンベイザメは残念なことにその航路を泳いでいることがとても多く、約90%のジンベイザメの活動が航路の近くで行われているということがわかりました。ジンベイザメに取り付けている追跡タグが、船が多く運航する海域で動かなくなっていることが多かったそうです。すなわちそこで船にぶつかって死んでしまっているということですね。

追跡タグには、ジンベイザメが泳いで海面近くにいる船の水深まで上がり、その後ゆっくり何百メートルも下がっていく様子を記録しているものもありました。船と衝突して、息絶えて沈んでいっていることが伺えます。研究者のひとり、サウサンプトン大学のDavid Sims氏は、「船のせいで世界中でこの素晴らしい生き物が命を落としていること、そして私たちではどうすることもできないことを考えると悲しい気持ちになりますね」と話しています。

泳ぎがゆったりで逃げられない

ジンベイザメは海面近くにいることが多く、そのせいで船体の底か側面と衝突する危険性が増えてしまいます。さらにゆっくり泳ぐ魚なので、さっと方向を変えて衝突を避けるようなことが難しいため、衝突率が上がってしまうそうです。ジンベイザメの死体が見つからないのは、死ぬと海の底に沈んでいってしまうから。こうしてジンベイザメが減っていくことで、海洋にも影響が出ます。ジンベイザメはプランクトンを主食としているので、ジンベイザメが減るとプランクトンが増殖して、海面が緑色になってしまうアオコが発生してしまうのです。

サメを釣ることに関する条約がありますが、コンテナを運ぶ大型船とジンベイザメの衝突を防ぐための条約は存在しません。論文を報告した海洋生物学協会はジンベイザメを救うため、政府に「手遅れになる前に」と強調して一部の大型船の運航ルートを変更できないかと掛け合っているようですが、何か動きがあるといいですね。衝突事故だけでなく、環境問題や気候変動の問題にも及ぶので、本当に手遅れになる前に動き出さないといけません。

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