かっこいい…。
ずっとあのフォルムが気に入っていたファンには刺さらないかもしれないけど、肝心要の音質、アクティブノイキャン性能は抜群ですので、競合からの鞍替え・旧モデルからの買い替えも復活しそう。
2017年のWH-1000XM2発売時には「出張のお供として長らく君臨してきたBoseをも上回るベストなノイズキャンセリングヘッドフォン」と自信をもって宣言した米GIZMODO。WH-1000XM3とWH-1000XM4(350ドル[日本価格4万円])でも王位は不動だったけど、去年は549ドル (日本価格6万1800円) とお値段高めなApple AirPods Maxに目移りしてしまってました(なんせ9つのマイクが衝撃すぎた)。しかしWH-1000XM5ではモダンなデザインとアクティブノイキャンでSONY復活です。
Sony WH-1000XM5

これは何?:Sony最上位のワイヤレスヘッドフォン。業界随一のアクティブノイズキャンセリング性能を誇る
価格:400ドル(日本市場は4万9500円)
好きなところ:Apple AirPods Maxさえも目じゃない、いま買える最高のアクティブノイズキャンセリング
好きじゃないところ:前ほどコンパクトに畳めないのでケースがかさばること
まったく違うデザイン
新作は見た目を変えるとよく売れますが、SONYのこれまでのアプローチは違いました。 WH-1000XMは、そう言われないとWH-1000XM4との違いがわからないほど。別に悪くないというか、もともと装着すると消えるかのような快適なフォルムだったので、あえて変える必要もありませんでした。

それに比べ、 WH-1000XM5はひと目で新作とわかるデザイン。無駄なくぼみやラインがすっきり消えてノイズレスに。WH-1000XM4が元祖「スターウォーズ」なら、新型WH-1000XM5は「新スタートレック」というくらいの違いがあります。

新作のほうがヘッドバンドは丸みを帯びていますが、クッションは同程度入っているので、頭にすっとなじみます。頭がデカい人は長さを調整すると、前のWH-1000XM4はバンドが分割されて、伸ばしたのがひと目でわかる構造でしたが(カッコ悪いと言ってるわけじゃない)、新しいWH-1000XM5はイヤーカップとの接合部で調整するので、見た目は絶対こっちがいいと認めざるをえません。

イヤーカップ内はサイズアップで、耳にこすれにくくなってます。また、新開発のレザーとパディングがめちゃソフト。最新技術満載なのに重さはたったの250gで、 WH-1000XM4より4g減ってるの。
頭につけて4g軽くなったー!とわかるわけじゃないけど、 AirPods Maxなんて384gもありますから、1時間もつけて外したときの解放感は雲泥の差。WH-1000XM5は着けているのを忘れてしまうこともあって、競合と比べると、SONYの軽さへのこだわりが際立ちます。
あら探しするならば…

新型 WH-1000MX5を見てると、ついAirPods Maxと比べてしまいますよね。SONYはAppleのデザインを少々参考にしたようにも見えるから。Appleはデザインが得意なので悪いことじゃないのですが、WH-1000MX5はたためないところまでAirPods Maxに右倣えしてるのが自分的には一番残念な点でした。

カップが180度くるんと回ってケースにすぽっと収まるシステムなので、WH-1000MX5はケースがどうしてもMX4より大きくなってしまうんです。

もちろん、これだけで買うのやめようって思うほどじゃありませんけどね。折り紙みたいな折り目がついてて折りたためるので、イヤホン入れてないときはぺしゃんこになりますし。
ただ毎度毎度ケースに入れるのが面倒で、ただ畳んでかばんに放り込んでる自分みたいなずぼらな人間にとっては、折りたたみをやめるヘッドフォンメーカーが増えるのはちょっとなあ…と。こんなこと言っても、おっさんの独り言だけど。
ANCマイク王位争い
ワイヤレスのオーバーイヤーヘッドフォンに切り替える大きな理由は、邪魔なケーブルがないのはもちろんのこと、ほかでは得られないノイズキャンセリング性能が魅力だから。耳をすっぽり覆って外音を完全に遮断できるのみならず、アクティブノイズキャンセリング(ANC)では内蔵マイクで周囲の音を拾い、それを無にする音波を内部で生成します。四方八方にマイクを張り巡らせて周辺の音を拾えば拾うほど効果は高まるので、ANC性能に関しては、まだ耳の穴に突っ込むちいさなイヤーピースよりオーバーイヤーのほうが優れているのであります。
となると俄然気になってくるのが、そう、マイクの数!
WH-1000XM4が4つだったのに対し、WH-1000XM5ではAirPods Maxに負けじと計8つを搭載していて、うちANC処理用マイクは1つじゃなくて2つなので効果絶大です。実際に機内持ち込みテストはできなかったので、家のホームシアターでさまざまな航空会社の機内のノイズを再現した音源などのノイズを流して試してみたのですが、WH-1000XM5は旧型のみならずAppleのAirPods Maxよりも一段上でした。
バッテリー駆動時間は妥協なし
ANCは通常、低周波数の遮断で効果を発揮します。AirPods MaxのANCではボーイング777の機内ノイズがどうしても入ってしまうけど、SOONY WH-1000XM5ではほぼ完ぺきにシャットアウト。椅子の振動でノイズが出てるのはわかるのだけど、耳からは振動のもとになる音は聞こえないという現象が起こりました。これだけエクセレントな処理をこなしていながら、SONYはバッテリー駆動時間最大30時間を実現したと言っています(WH-1000XM4と同じ)。充電たったの10分で5時間の再生が楽しめますよ。
サウンドは最高。ライバルはAppleのみ
デザインは変わったけど、WH-1000XM5の操作感については、「いいものは変えない」というSONYのアプローチが生かされています。 右ハウジングを手で覆った時だけ音楽の音量を絞って周囲の音を取り込む 「クイックアテンション」モードも残ってます。複数のデバイスを同時待ち受けできる「マルチポイント」 、通話時に再生が自動一時停止になる「スピーク・トゥ・チャット」はヘッドフォンを外さなくても話せるので便利この上なし♬
サウンドはSONYのフラグシップの名に恥じないクオリティを今回もキープしています。付属のモバイルアプリを使えば、プリセットのイコライザーを切り替えたり、好みのイコライザー設定にカスタマイズも可能です。
MX5では新たに30mm径のドライバも開発していますし、ほぼ文句のつけようがないヘッドフォンなのですが、音に関しては、40mm径ドライバ搭載のApple AirPods Maxのほうがやや上と感じました。高音と低音をうまく分けていて、ボリュームを上げてもすべてがとてもクリア&クリスプに響きます。まあ、AppleのほうがSONYのより150ドル高いから比べるのは酷ですが。
一歩前進?後退?
SONYとAppleの一騎打ちになって、WH-1000XMシリーズ最新作ではSONYもかなりアグレッシブに攻めてきたなーという印象です。Appleから消費者を奪うヘッドフォンの実現には成功したと断言できるでしょう。
WH-1000XM5はAirPods Maxより単に150ドル安いだけじゃありません。ANC性能も一枚上手なら、ずっと軽くて、長時間使っても疲れない装着感も上。ケースは着脱が簡単で、かばんの中でぶつかってもがっちり保護してくれます。AppleのH1チップ目的でAirPods Maxを選ぶiPhoneユーザーはまだいるとは思いますが、SONYはAndroidでもiPhoneでもPCでもマルチペアリング可能で、複数デバイス同時接続もものすごくよくできています。それやこれや考えると、総合点では、WH-1000XM5のほうがベターな選択なのではないかと正直思います。

WH-1000XM4で大満足な人はわざわざ買い替える必要もないですけどね。SONYのWH-1000XM5は定価50ドル高めだし(MX4は突然の7,400円値下げも話題になりました)、XM5のデザインは心がぐらッとくるけど、XM4のコンパクトなケースも捨てがたいし、来年のWH-1000XM6まで待ってもいいかな?