アートの力で電子ゴミのスラムをクリーンに。アーティストNAGASAKA MAGOの挑戦

  • author 巽英俊
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アートの力で電子ゴミのスラムをクリーンに。アーティストNAGASAKA MAGOの挑戦
Image: MAGO GALLERY

ガーナの首都・アクラの近郊に「アグボグブロシー」という世界最大の電子機器廃棄物処理場があります。ここには今世紀に入るころから、先進国で捨てられた電子ゴミが運び込まれるようになり、東京ドーム30個以上といわれる広い土地に莫大な量のゴミが集積されています。8万人が暮らしていて、その多くは廃棄物処理や回収で生計を立てていますが、環境汚染は非常に深刻で、電子ゴミに含まれる水銀、ヒ素、カドミウムなどの有害物質が住民に健康被害を及ぼしています。

特に有毒ガスを吸い込むことから呼吸器系のガンや心臓病の発生率が高く、子どもたちへの影響も甚大です。これは国際機関の調査でもたびたび問題になっているのですが、状況の改善にはなかなか至りません。

現地の電子ゴミがゼロになる日まで

この地の現状を世界に伝えるべく活動している、NAGASAKA MAGO(長坂真護)というアーティストがいます。彼は自ら経営するアパレルの会社が倒産したことで、路上の画家に転身したという異色の経歴の持ち主。2017年6月に初めてアグボグブロシーを訪れ、1日わずか500円の日当で電子ゴミを処理しながら生きる現地の人々と出会いました。

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Image: MAGO GALLERY

彼はこの現実を世界に伝えるべく、電子ゴミで作品を制作し、その売り上げでアグボグブロシーを再訪問してガスマスク850個を届けました。その後もガスマスクの寄贈は継続的に続けられているほか、無料の学校「MAGO ART AND STUDY」や美術館「MAGO E-Waste Museum」を現地に設立するなど、その支援は多岐に渡っています。2020年にはエミー賞受賞監督カーン・コンウィザーが、彼が美術館を作るまでを追ったドキュメンタリー映画『Still A Black Star』を撮影・公開しています。

MAGOは「文化」「経済」「社会貢献」の3つの歯車が持続的に回る形態、「サスティナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)」を掲げて活動しており、彼の作品の価値が上がるほどメッセージが広まり、現地の経済も発展して環境問題も改善すると考えています。そして最終的には、現地に最先端のリサイクル工場を建設することを目指しています。工場が完成したときには現地の公害はゼロになり、よって廃材もなくなり、MAGOは作品が作れなくなりますが、それによってプロジェクトの目的は完遂するのだそうです。

彼の作品は1点1500万円で取り引きされたこともあり、昨年は伊勢丹新宿店で近年の美術催事でも最高額の売り上げを記録しました。油彩に電子パーツを組み合わせたその作品は独特で、アート界からの注目も高いようです。一部の作品は公式ウェブサイトで購入可能ですが、このようにアートによって環境を再生させようという動きは今後もより加速していくといいですね。9月10日〜11月6日には東京・上野の森美術館で個展も開催されますので、こちらもチェックを。

Source: MAGO GALLERY

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