NASAのメガロケット、何とか4度目のリハーサル終了

  • author George Dvorsky - Gizmodo US
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NASAのメガロケット、何とか4度目のリハーサル終了
ケネディ宇宙センターの発射台に設置された、NASAのSLS

次の一手はどうなる?

NASAは現地時間の月曜夜、次世代ロケットSLS(スペース・ローンチ・システム)の4度目のリハーサルを終えました。地上チームは多くのテストを成し遂げましたが、水素の漏洩があったため全工程を通しで完了できたわけではありません。アルテミス1ミッションのスケジュールに影響は出るのでしょうか。

いままででいちばんうまくいったリハーサル

ウェットドレスリハーサル(WDR:ロケットに過冷却した推進剤を充填してカウントダウンを行うテスト)は現地時間の20日午後7時37分に終了し、地上チームはロケットの両ステージへの極低温の液体酸素(LOX)と液体水素(LH2)の充填に成功。これまでの3度のリハーサルでは達成できなかったことです

ターミナル・カウントダウンも実施されましたが、予定されていた10秒前ではなく29秒前でストップされたのでした。ロケットからは既に推進剤が排出され、フロリダ州ケネディ宇宙センター内の39B発射台に鎮座したまま、今後の展開が決まるのを待っています。

リハーサルはまだ完了していない

現地時間の火曜日、NASAは記者会見を開き、カウントダウンを早めに切り上げた理由は水素漏れであって、月曜の早い段階で決めたことだったと報道陣に明かしました。

カウントできなかった19秒間は大したことではないように思えますが、打ち上げ直前の一刻には、膨大な数のパーツが動きます。それゆえNASAは巨大な月ロケットの完全なWDRを実施したとは言えないのです。

NASAの高官らは、5度目のリハーサルが必要なのか、それともアルテミス1として知られる初の打ち上げに向けてSLSがついに準備万全なのかをまだ言える段階ではありません。アルテミス計画は2025年以降の女性と男性の月面着陸、初の月拠点の建設、そして月での持続的な駐留を見据えていますが、すべてはSLSがあってこそです。

それでも、ロケットのタンクが完全に充填されてカウントダウンがゴール目前まで実現されたのはすごいことです。記者会見でNASA探査システム開発のTom Whitmeyer副次長補は、「これらは我々が見たかった本当に重要な事柄」だとコメント。メガロケットを複雑なジグソーパズルと表現し、終わったばかりのWDRで「どんなパズルなのかよく理解できた」が、解決されていない項目を分析する必要があると述べていました。また、地上チームは「漏洩の原因を特定しなくては」とも語っていました。

リハーサル中止の原因

水素漏れがなければ、打ち上げリハーサルは順調でした。この漏洩は推進剤がロケットに注がれる際に発生し、クルーはロケットと発射台をつなぐコネクタから漏れていると特定。WDRの最中に、地上チームはコネクタの再調整を行うことで問題を解決しようと試みるも、うまくいかなかったのです。

通常の打ち上げなら、そのような漏洩があれば間違いなく中止となりますが、管制官たちはリハーサルを続行したかった模様。彼らは、「カウントダウンを可能な限り進めるため、実際の打ち上げ日のシナリオであれば、地上打ち上げシーケンサーによって停止の引き金となってしまう漏洩に関連するデータを隠す計画を立てました」とNASAのプレスリリースには書かれていました。これによって、地上打ち上げシーケンサーからSLSのフライト・ソフトウェアが制御する自動打ち上げシーケンサーへの切り替えという重要なステップを含む、ターミナル・カウント(カウントダウンの最後の10分間)のリハーサルを実行できたのです。しかし安全上の理由から、カウントダウンは33秒前になった直後に止める必要があったと記者会見で説明されました。

半分くらいは成功

記者会見では“成功”といった表現が飛び交っていましたが、4度目のWDRは(ほんのわずかにですが)不完全だったから、非リハーサルの状況ならロケットは打ち上げられなかったはずで、未解決の水素漏れは明らかに対処が必要な問題だと言えます。こういった懸念を除けば、最初の3度のWDRを悩ませた数多の問題は完全に解決されたようですし、宇宙船「オリオン」は“正常に”動いているとのこと。

アルテミス打ち上げディレクターCharlie Blackwell-Thompson氏は、チームが多くのテスト項目を成し遂げたものの、いくつかの項目は達成できなかったと述べていました。今後の進め方を提案するためには同僚らとデータを評価する必要があって、もう1回リハーサルが必要なのかについては何も決定していないとコメント。アルテミス・ミッションのマネジャーMike Sarafin氏も、チームは「さらに1回テストを実施しないリスク」を検討すると言っていました。

SLSは今後10~20年間の主力ロケットと位置付けられているのですから、もう1度リハーサルを行ってもいいんじゃないかという意見もありますが、どうなることやら…。

アルテミス1の打ち上げ可能期間は8月以降の分も発表されていますし、今ならロケットはまだ発射台にありますしね。NASAの次の発表を待ちましょう。

Source: NASA,