再び月を目指す今、振り返る。
NASAの宇宙飛行士ニール・アームストロングとバズ・オルドリンが月に着陸したのは、53年前の7月20日のことでした。人類史上初の月面着陸のあらゆる瞬間を収めながらも、その歴史的な日を代表するような有名な写真にはならず、見過ごされてきた写真も数多く存在します。
アポロ11号は1969年7月16日、月面に着陸して探査するという前例のない9日間のミッションへと、米フロリダ州ケープ・ケネディ(現ケープ・カナベラル)から飛び立ちました。人類が月をじかに研究する初の機会となったため、NASAは乗組員たちを送り出す際にカメラやアクセサリ類一式を持たせることに。このミッションで撮影された何百もの写真や動画は見応えがあったので、NASAはサイト『Apollo 11 Image Library』にて公開するに至ったのでした。
人類の月面着陸53周年となる今年、米Gizmodoは同サイトを隈なく調べて新聞に掲載されなかったり忘れ去られてしまったりした写真をピックアップ。ここで取り上げた写真はアポロ11号のベストショットではないかもしれませんが、ワクワクするものばかりです。
発射塔を離れる

1969年7月16日ケネディ宇宙センターで、アポロ11号サターンV型ロケットが発射塔を離れるところ。
不安げな地上管制官たち

左から右の順で、アポロ11号ミッション時のCAPCOM(宇宙船通信担当官)チャールズ(チャーリー)・デューク、予備船長ジム・ラヴェル、そして予備月着陸船操縦士フレッド・ヘイズ。
TVカメラを持っているマイケル・コリンズ

アポロ11号司令船(コマンド・モジュール、CM)内でTVカメラを持つマイケル・コリンズ司令船操縦士。
トンネルの中のニール

月着陸船(ルナ・モジュール、LM)と司令船をつなぐトンネル内にいるニールの写真。Apollo JournalのコントリビューターMarkus Mehring氏によると、「ここに写っているのは、どこにでもある灰色のテープでカメラに取り付けられた余ったTVモニター」なんだとか。「初期のクルーにはそのようなモニターやイメージ・コントロールの他のツールがなく、宇宙船の窮屈な空間ではカメラを簡単/適切に向けられないことに不満をこぼしたので、これが与えられたんだ」とのこと。
故郷から遠く離れて

月に向かう道中、イーグル月着陸船と地球とが印象的な一枚。ひるんでしまうほど、故郷の星からは離れています。
着きました!

数ある月面ショットから1枚。
歴史に残る降下

月着陸船が月面へと降りるなかで、司令船からの光景。画像の真ん中がアポロ11号の着陸地点です。
“静かの基地“到着時のスナップ写真

月に着陸するや否や、ニールが窓から撮影した風景。月に留まらないと判断された場合に備えて、月のクローズアップを少なくとも数枚は確保しようと慌ただしく撮った写真の1枚。
チェックリストからの1ページ

68ページに及ぶ『LM Lunar Surface Checklist』の中の1ページで、ニールが月面への歴史的な第一歩を踏み出す前に求められる手順が細かく記載されていました。
宇宙飛行士が月で撮影した最初の写真

ミッション開始から109時間30分53秒ごろ、アームストロングは地上管制官たちに「外に出て、ここでの最初の写真を撮る」と伝えます。地上管制官のブルース・マッカンドレスが「了解。ニール、はっきりと聞こえるよ。写真撮影とコンティンジェンシー・サンプル採取をするんだね」と応答。この月面に白い袋が置かれた写真こそが、人類が初めて月で撮った写真なのです。アームストロングが梯子を下る歴史的なショットは、月着陸船の下降段に搭載されたカメラで撮影されました。
小さな一歩を踏み出す寸前のバズ

初めて月面に降り立つ直前、月着陸船のフットパッドに両脚を載せたバズの写真。
足跡を残す

この1枚を含め、バズは土質力学の専門家のために靴跡の写真をたくさん撮りました。
カラー写真のニール

ニールが開いた岩石用のケースに大量のサンプルを詰めているところ。NASAいわく、これは「Hasselblad(ハッセルブラッド)で撮った、月面でのニールの唯一まともな写真」なんだそう。カラー撮影に使用されたHasselblad 500 ELカメラの改良版は、真空空間でも機能でしたのです。
星条旗を立てるのにぴったりな場所

アポロ11号のクルーは、この画像の真ん中よりも下あたりにアメリカの国旗を立てました。月着陸船のオルドリン側から撮影。クルーたちはこの時初めて、ウエスト・クレーターを作った衝撃から形成されたと思われる岩塊が転がる領域(右上)を見たのでした。
作業中のバズ

地震計を展開中のバズ。デバイスを水平にする必要があったので、展開するには少し時間がかかりました。
月着陸船のフットパッド

月着陸船のフットパッドを接写で。月の砂が吹き荒れた様相なのは、イーグルの降下エンジンのせいです。
靴跡だらけ

こちらはアームストロングの窓から撮った光景。月着陸船の黒い影と、宇宙飛行士たちが歴史的な遠足、またの名を船外活動(EVA)の最中に残した無数の靴跡が写っています。
バクバクする心臓よ、落ち着いてくれ

ニール(上)とバズ(下)の、月面での遠足中の心拍数。ニールにとってはサンプル物質の記録と輸送を伴ったEVAの終盤が、最もハードだった(あるいはストレスが多かった)のでした。
やあ、バズ

EVA直後に撮影された、まだスヌーピーキャップを被っているバズの写真です。月面から反射していた眩しい光のせいで、ニールは仲間の鮮明なポートレートを撮るのに苦労した模様。一方バズは、ニールの印象的なポートレート(下の写真)を捉えることに成功しています。

ぼやけた景色

カメラを近距離に設定して、バズが撮ったのは姿勢制御システム「R-4D」はくっきりと、星条旗とTVカメラ(中央上)を含む月面はボケて写る写真。バズが狙っていた画(最終的には撮影できた下の写真)とは異なりましたが、これもなかなか味わい深いかと。

地球の出

月面から昇る地球を捉えた写真数枚の1枚目。この写真は、クルーが地球に戻る旅を始めた頃に撮影されました。
帰路へ

アポロ11号乗員が帰途で撮影した、見惚れるような地球の姿。
司令船の回収

1969年7月24日、航空母艦ホーネットの甲板に降ろされているところのアポロ11号司令船。海軍のダイバーたちが取り付けた浮揚環管が外されたばかりです。
貴重な貨物

アポロ11号の月面採取標本格納器は2つあって、月面の試料でいっぱいになったそのうちの1つが太平洋回収海域からエリントン空軍基地に到着しました。
検疫期間を終えて

隔離を解かれ、友人たちとあいさつを交わすアームストロング。帰還したアポロ11号の乗組員たちは予防措置として、家族や友人から21日間隔離されたのでした。
Source: The Apollo Lunar Surface Journal(1, 2, 3, 4,), Wikipedia,