28%の小型化と50%の高速化を実現、ですって。
私達のデジタルライフを支えるテクノロジーは、常に進化を続けています。メモリやストレージ製品でおなじみMicron(マイクロン)は世界初の232層NANDの生産と出荷を、シンガポールにて開始しました。200層超えのNANDの製造も世界初ですし、これにより世界初の200TBのSSDの製造も可能になるはずです。
以前まで、NANDはチップ上の密度を高めることで記憶性能をあげていましたが、より大きな向上のために2006年から垂直に重ねた層数で記憶密度を増やす3次元構造を採用。そのため、層が増えれば増えるほど記憶性能がよくなる、んです。
ちなみにSSDに関して、200TBがどれくらいすごいのかというと、現在のハイエンドPCに搭載されているSSDですら2TBですし、世界でもっとも容量の大きなSSD(Nimbus Dataの100TB ExaDrive)でもようやく100TBです。
なお、以前にマイクロンが達成していたNANDの記録は176層でした。今回の232層NANDはこれにくらべて50%高速で、最高速度は毎秒2.4GBとなり、書き込み帯域幅は100%/読み込み帯域幅は75%拡張されています。232層NANDはダイあたり1テラビットという業界最高の密度で、容量とエネルギー効率も従来より高められています。
マイクロンで技術&製品担当副社長を務めるスコット・デボア(Scott DeBoer)氏はプレスリリースにて、「マイクロンの232層NANDは三次元NANDを200層以上にも拡張できるという点で、ストレージ産業の重要な転換点だ」としています。
また、Nimbus DataにてCEOを務めるトーマス・イサコビッチ(Thomas Isakovich)氏は2020年にTechradar Proのインタビューで、「NAND密度の増加具合にもよりますが、2021年には200TB、2023年にはおそらく400TBに到達するはずです」と述べていました。新型コロナウイルスのパンデミックにより、遅れが生じたとは思われますが、この発言がいま実現されようとしています。
マイクロンによると、新しいNANDは同社のシンガポール工場にて生産中で、生産が終わりしだい順次「コンポーネント(部品)」として顧客に出荷されるとのこと。ただし、一般向けののPCなどに使われることにはならなそうです。100TBのSSDですら現在4万ドル(約540万円)、今回の新しいNANDはそれ以上に高価なはずなので…。
むしろ、アプリやコンピュータのクラウド、人工知能(AI)などを処理するデータセンターに使用される可能性が高いでしょう。
現在の世界的にチップ不足ではあるものの、こういった革新的なニュースはかなり嬉しいですね。