カヌーに埋葬された900年前の女性、アルゼンチンで発見される

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  • author Isaac Schultz - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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カヌーに埋葬された900年前の女性、アルゼンチンで発見される
Illustration: Pérez et al., PLOS ONE 2022

地位の高い女性だったのでしょうか?

南米アルゼンチンの遺跡で発見された若い女性3名。埋葬された女性のうち1人だけ、他の2人とはちょっと違ったことがありました。カヌーの中に埋葬されていたのです。

大昔からカヌー葬儀は行なわれていた

大昔、南アメリカ大陸の南部でカヌーでの埋葬儀式が行なわれていたことは以前から知られていました。考古学チームはカヌーを使うことはあの世への旅路を円滑にするという意味が込められていたのではないかと考えているようです。この研究結果は学術誌PLOS ONEに発表されています。

「最初見た時はよく意味がわかりませんでした。アルゼンチンのパタゴニア地方では認知されていなかった埋葬方法だったからです。とにかくうれしい驚きでいっぱいでしたね」と語るのはチリのカトリカ・デ・テムコ大学の考古学者Alberto Enrique Pérez氏。

カヌーに埋葬された女性が見つかったのは2012年〜2015年にパタゴニアの山麓にある遺跡の発掘調査の際。遺跡があるのは湖から1.5キロほどのところ。Pérez氏は水に近かったこともカヌー埋葬儀式を行なっていたことにつながると考えているそうです。

カヌーの遺体は1142年ごろに埋葬

3名の女性のうち2名はおそらく1482年ごろに埋葬されたと推測されています。頭蓋骨と手足に外傷があり、当時のスペイン人に殺害されたと見られています。2人はカヌーには埋葬されていません。しかしもう1体のカヌーの中で発見された女性だけは1142年ごろ、約900年前に埋葬されていることがわかりました。スペイン人が南アメリカに上陸するずっと前のことです。彼女はおそらく死亡時の年齢は17歳〜25歳。遺体の調査から死因は判明できなかったそうです。頭の横に大きな壺が置いてあり、女性の入っていたカヌーは腐ってボロボロになってしまっていましたが、およそ600ほどの木の破片が残っていたことからカヌーだと判明したとのこと。

顕微鏡で木の破片を分析したところ、木はチリ杉で焦げていた部分もあったそうです。この焦げた部分ができた理由ですが、南アメリカ大陸ではカヌーを作る時に木の真ん中をくり抜くために焼いていたため、その焦げだろうということです。チリでは木の中を焼いてくり抜くことは知られていましたが、アルゼンチンでこの方法で作られたカヌーが発見されたのは初めてなんだそうです。また今回のカヌー埋葬の発見は、これまで南アメリカ大陸で見つかった最南のケースだったとのこと。

水に関係のある女性だからカヌー埋葬されたらしい

Pérez氏は「カヌー埋葬は男性に使われることがほとんどでしたが、今回の発見でこの地方では男女両方にカヌー埋葬が行なわれていたことがわかりました」と解説しています。この女性がカヌーに入れられて埋葬されたのは、生前おそらく彼女にとって水がなにか大きな役割をしていた、水に関係のある女性だったからだろうと考えられているそうです。3名の女性たちは同じ場所で発見されていますが、200年も埋葬された時期が離れているためそのような関係性があるのかは不明ですが、この先もう少し研究と分析をすすめて当時の文化や人についてさらに何かわかってくるかもしれないと研究チームは話しているそうです。