地味だけどめちゃイイやん。Asus Zenbook S 13レビュー

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地味だけどめちゃイイやん。Asus Zenbook S 13レビュー

徒労感が…。

何年もノートPCをせっせとレビューしてるのにPC売り場に行くと、いまだにパッとしないWindowsや「迷ったら、MacBookとかSurface買っとけば間違いないですよ」という店員さんがいて、そういうの聞こえてくると、ドッと脱力します。

そもそも競争がないのが悪い。いや、競争はあるんだけど、みんな忙しくてマイナーブランドまで調べてる暇がないだけ、というほうが正しいかな。

「本当はちゃんと調べて、いいの買いたいんだけどね」というみなさまにはぜひ、Asusの13インチプレミアム有機ELノートの「Zenbook S 13 OLED」にも目を向けてやってくれ!とお願いしたいです。

日の当たらない存在ながらXPS、MacBook、Yogaに何ひとつ劣るところがなく、欠けているのはブランドネームだけ。競合よりずっと軽量&スリーク。AMDエンジン搭載で処理性能抜群。2.8Kの有機ELディスプレイでありながら、丸1日バッテリーがもつところもナカナカのものですよ。

Asus Zenbook S 13 OLED

20220726ZenbookS13OLED_sm

これは何?:超軽量なWindowsノートPC

価格:1,499ドル~(日本価格18万9,800円 (税込)~)

いいところ:薄くて超軽量なデザイン、爆速処理性能、バッテリー長持ち、ゴージャスな2.8K OLEDディスプレイ、おしゃれなカラバリ

残念なところ:顔認証がない、平均点なWebカメラ、少し熱くなる、USB-Cしかない

Asus Zenbook S 13 OLEDの価格と構成

まあ、探すのはひと苦労ですけどね(執筆段階)。いちおう米国では最安1,099ドルにて6月発売ってことでしたが。レビュー機はRyzen 7 6700U+RAM16GB+SSD1TBの構成で1,499ドルのモデルです。AsusからはほかにもIntel第12世代CPU搭載モデルも出ています。

美しく、羽のように軽い

近ごろはノートPCの出番もめっきり減って、メールチェックもスマホ、短い動画を見るのもスマホ。便利なスマホに流れて、ノートPC開けるのは仕事のときぐらいです。

でもZenbook S 13 OLEDはモバイル感すごいの。 ネットの調べものとかSlackの書き込みでもサッと手が伸びちゃって。改まってノートを開けるときにありがちな心理的な壁がありません。

20220726ZenbookS13OLED_a_onmylap
窮屈な機内で10時間。膝の上にすっぽり収まるサイズ感がうれしい
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

11.7 x 8.3 x 0.6インチ(30 x 21 x 1.5cm)、2.2ポンド(997g)の軽量コンパクトなのもその一因ですね。XPS 13は2.8ポンド(1270g)、MacBook Airは2.7ポンド(1225g)あるので、それに比べたら牛乳1カップぶん軽い計算です。

部屋から部屋への持ち運びもかんたんなら、Windowsの立ち上げも瞬時。ルフトハンザの機内でも、前の人が椅子をMAXで倒してる超狭い空間でだって快適に使えましたー。

紺はPonder Blue、パステルミントはAqua Celedon、白はRefined White、ローズゴールドはVestige Beigeというネーミング。名前が凝り過ぎてて何色かわからないですよね。AppleもAirではミッドナイトとスターナイトという2つの新色を加えましたが、Asusは常に洗練度の高いカラーオプションを用意していますし、今回のZenbook S 13 OLEDもずっと視線が引き寄せられるキレイな色という印象です。

20220726ZenbookS13OLED_b_holding
片手でも持てるよ
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

ノートPCは耐久性を優先すればポータビリティが犠牲になるし、ポータビリティを優先すれば耐久性が犠牲になって、両方兼ね備えたPCはなかなかありません。その点、Zenbook S 13では、軽量ながら比剛性・比強度に優れたマグネシウムとアルミの合金を採用することでこの二律背反を解決し、驚くほど軽いのに強いノートに仕上がっています。

これなら、長く棚上げだったドイツ旅行にも持っていけると思って荷物に入れたら、バックパックの「タブレット用ポケット」にスルッと入っちゃいました。持っても、あんまり重くなった気がしません。長い通勤のときも肩に負担がかからなかったので、旅行中試しに南チロルのドロミティ渓谷8マイル(約13km)の山歩きに担いでいったんですが、登山で体はヨレヨレでも肩に食い込むことはありませんでした。

細かい粗探しをすると

筐体は文句のつけようがないんですが、いちおう記者なので粗探しも少々書いてみます。

まずIRカメラ。これはありません。指紋センサは一瞬で正確に読み取れるので機能的にはなんの問題もないのですが、競合プレミアムノートみたいな顔認証のほうが便利です。

『スタートレック』や宇宙軍を思わせるロゴは好きなんだけど、ノートのカバーは指紋がつきやすく、角のペイントがこすれて剥げたりもしました(注:レビュー機なんで、かなり酷使した結果です。ふつうに使ってついたものではありません)。

20220726ZenbookS13OLED_c_back
Asus Zenbook S 13 OLED。後ろから見たとこ
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

あとポートですね。これはUSB 3.1 Type-Cが3つとヘッドホンジャックがついてます。 Bluetoothを強制する競合(Dell XPS 13)や、入力ポートが2つしかない競合(MacBook Air)に比べたら親切だけど、自分的には「可もなく不可もなし」なレベル。ちなみにThunderboltには対応していません(あれはIntel x Apple共同開発の技術なのでAMDは畑違い)。

羽のような軽さからは想像もできないほどパワフル

Zenbook S 13はコンパクトな割にはチップはハイクオリティです。CPUはRyzen 7 6800U、RAMは16GBのLPDDR5。8コア、16スレッドで、ブーストクロックは最大4.7GHz。Chromeのタブをたくさん開いて、Affinity Photoで写真を編集しながら、YouTube Musicで楽曲流して、YouTubeで動画を再生しても遅くなることもなく、Zenbookはがんがんタスクをこなしてくれます。これだけ負荷をかけるとさすがに底部が熱を帯びてきますが、音は静かそのものでした。

ベンチ結果は競合に届かなかったけど、Zenbook S 13の処理性能で自分は満足です。Geekbench 5の総合ベンチはZenbookが7,498で、Acer Swift 5(9,585)、Apple MacBook Air M2(8,975)、Lenovo Yoga 9i(9,516)の下。これだけみると非力に感じますが、M1のMacBook Airとは互角ですし、編集部がテストしたどの前世代の製品よりも上です。

20220726ZenbookS13OLED_d_front
Asus Zenbook S 13 OLED。フロントから見たとこ
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

4K動画を1080pにトランスコードするテストでもZenbook S 13は所要9分47秒で、MacBook Air(4分33秒)はもちろん、Swift 5(8分56秒)、Yoga 9i(9分02秒)にも水を空けられていますが、Blenderのテストでは3Dイメージのレンダリングを4分19秒でこなして意地を見せました。これはSwift 5(4分36秒)、M2搭載MacBook Pro 13(4分35秒)にも数秒の差をつける好成績で、Yoga 9i(6分00秒)には2分近く差をつけています。

まあ、Zenbookはそもそも最新のゲームプレイを想定したPCじゃないので、むやみに比べてもしょうがない面もありますよね。GPUは統合型のRadeonグラフィクス搭載で、『シヴィライゼーション VI 』(1080p、画質:高)とかは23FPSでプレイできます。負荷のかからないゲームは1080pの中画質の設定で遊べるけど、それ以上になるとどうかなってことで。

有機ELは一度使ったら後戻りできない

Asusはノート2022年モデルすべてに有機ELを積むと宣言していて、Zenbook S 13 OLEDもこの延長線上にあります。欧州行きの機内では『The Boys』の機内閲覧注意のエピソードと『ストレンジャーシングス シーズン4 』を視聴しましたが、13.3インチ、2.8KのOLEDディスプレイ(16:10)は本当に目に飛び込んでくるような美しさでした。

20220726ZenbookS13OLED_d_OLED
ディスプレイはOLED
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

HDRコンテンツで真価を発揮するmini-LEDと違って、有機ELはあらゆるものがキレイ。わざわざ『Planet Earth』なんかのHDR映像探さなくても違いがわかるんですね。それこそアイコンも、Webカメラの映像も、Windows 11の背景も。 家族(写真は素人です)がミラーレスカメラで撮った写真までもがZenbookで見ると妙にキレイで、これには撮った本人がうわーって声をあげてましたよ。

有機ELの難点は輝度不足とよく言われるわけですが、Zenbook S 13も例外ではありません。計測値は340ニトでした。僕自身が評価の分かれ目の基準にしてる「300ニト以上」ではあるものの、競合プレミアムノートのLCDやmini-LEDは最大500ニトもザラなので、それに比べると低い。ですが、この弱点はコントラスト比でうまくカバーしていて、白の背景とカラーがメリハリをつけてくれるのでテキストは鮮明に見えます。直射日光が当たっても、斜めから見ても、見えなくなったりはしませんでした。

考えずに打てるキーボード

キーボードとタッチパッドみたいな、もっと目立たないところでもAsusはがんばってて、打鍵はなんの問題もありません。今どきのポータブル系ノートはキーがものすごく浅いのが多いので正直ホッとしました。適度な跳ね返りもあるし、サイズと間隔もちょうどよく、たいていの人はこれでフィットすると思います。昔ながらのレイアウトなのもZenboookはいいですね。何も考えなくても打てるせいか、標準入力テストでは1分117ワードという平均以上のスコアが出ました。

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Asus Zenbook S 13 OLEDのキーボード
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

タッチパッドもスタンダードな造りになってて、表面はガラスで、枕のように滑らかです。行き当たりばったりなタッチにも正確についてくるし、ウィンドウ切り替えのジェスチャーも一発で認識できました。

Asusらしい隠れ機能は、タッチパッド右上のちっちゃなアイコンを押すと、タッチパッド上に光で数字のテンキーが浮かび上がること。数字をよく打ち込む人にはかなり便利なサプライズかと。

残念なのはスピーカーが並みなことです。底部に装備されたデュアルドライバは、YouTubeとかポッドキャストには十分なんですが、楽曲再生では、ジャンルによって限界を感じました。チューニングは割といいんだけど、サウンドステージの特定のパートの広がりが欲しいときにはもう1セット、ドライバがあったらな…と思っちゃいます。

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Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

Glockenbachの『Brooklyn』を聴いてみたら、パワフルなボーカルがメインになって、電子音のインスツルメントは背景に回る印象です。低音部は迫力あるのに、あまりにも脇役扱いで、複雑なパートに差し掛かると、音がくぐもるように感じました。逆にFrightened Rabbitの『400 Bones』みたいな単純なバラードは(中音スカスカで、最大音量に限度はありますが)耳にも心地よく響きます。

改善してもらいたいところ

これはずばり、Webカメラです。 Zenbookではまたしても中位に甘んじています。今年は1080pが標準!という業界全体の動きも、Zenbook S OLEDにだけ届いてなかったかのよう。上部のスリムなベゼルに実装された720pのWebカメラは、今のスタンダードでは合格でも、そのうち古びてしまう予感がします。

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Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

動画も撮ってみましたが、とっさのウェブ会議とかでは十分な画質だけど、就職面接やバーチャル会議の講演などの改まった席では、もっと信頼できるLogitech C920を使ってしまうと思います。

「OLEDでバッテリー死ぬ」という常識を覆す

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Asus Zenbook S 13 OLED
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

Zenbook S 13最大のメリットはおそらくこれ。バッテリー駆動時間でしょう。「有機ELは駆動時間の犠牲の上に成り立つ」と散々聞かされてきたので、バッテリーテストの結果には驚きました。200ニトに画面を設定して動画を再生するテストなんですが、Zenbook S 13 OLEDは11時間10分も持ったんです。MacBook Air の14時間には届かないものの、Swift 5(8時間39分)やYoga 9i(8時間41分)には楽勝です。

Asus Zenbook S 13 OLEDは買い?

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Asus Zenbook S 13 OLED
Photo: Phillip Tracy/Gizmodo

買いも買い。返却するときには信頼できる相棒をなくすような喪失感さえ覚えてしまいそうです。大げさな言い方だけど、レビュー機返すときこれほど未練感じることなんて普段滅多にありませんからね。

大革新と呼べる新味はないけど、Zenbook S 13 OLEDにはモダンかつカッティングエッジなマシンのオーラがあって、羽のように軽い筐体のなかに今あるベストなテクノロジー(有機ELとRyzen 6000 CPUシリーズ)も装備しています。仕事で丸1日使えますしね。米国発・欧州行きの長いフライトでもバッテリー切れの心配はありませんでしたよ。

追記[2022/08/04]日本展開の情報を更新しました。

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