おや、レンズの中に副編集長の姿が…?
4万円弱で買えて、ポケットに入る130インチディスプレイ。スマートグラス「Nreal Air(エンリアル エアー)」を簡単に説明すると、そうなります。スマートグラスの先輩にはBoseやファーウェイなどメーカーがいますが、「Nreal Air」はメガネサイズでありながらAR(拡張現実)を体験できるのが大きな特徴。
というのも、ARグラスといえば「Magic Leap」など、MR(複合現実)なら「HoloLens」などがありますが、サイズも価格もデカイんですよね。低価格&コンパクトな「Nreal Air」は、そこのところを一般人でも買いやすいラインに押さえてきました。その使い心地をお届けしましょう。
サングラスに高解像度ディスプレイを内蔵

「Nreal Air」は、USB Type-CケーブルでスマホやPCなどのデバイスと接続して使います。「え、有線なの?」と思ったそこのアナタ、気持ちはわかります…。Nrealも現在ワイヤレス化に向けて頑張ってるみたいですが、まだ課題は多いみたい。いつかワイヤレス化すると良いですねぇ。

俯瞰図。レンズ部分にはソニー製のマイクロ有機ELが左右1基ずつ内蔵されています。解像度は片目につき1,920×1,080pxと非常に高解像度。フレーム部分にはスピーカーも内蔵。

装着者から見るとこんな感じ。サングラスのレンズ手前に配置されてる光学素子が、有機ELの映像を投影して、レンズ越しにコンテンツが見えるようになるって仕組みです。

フレームの端にはUSBのポートが。付属のケーブルは微妙に曲がっていて、ケーブルの取り回しやすさに配慮しています。地味だけどこういうのが快適さにつながるんだよねぇ。

ディスプレイの表示方法は、ひとつは接続したデバイスの映像のキャスト。いわゆるモバイルディスプレイ的な運用です。もう1つはAndroid向けの専用アプリ「Nebula」を使ったコンテンツで、ブラウザのマルチティスプレイや専用アプリが揃ってます。主な使い方は前者のキャストでしょう。
どんな風に見えるの?

気になる映像の表示方法はこんな感じ。レンズ上部の小さなディスプレイに画面が映ってるのが見えますか? 装着者の視点からは…。

こう見えてます。実際に見てみると「おお、明るい!」という印象。輝度は充分で、現実の背景の明るさに負けていません。映像の輝度はフレームのボタンから調整が可能で、輝度を下げると現実と重ね合わせるAR的な見え方にも。

これも、レンズにテレビ画面が反射しているとかではなく…。

実際にレンズ内に映像が出てるんですねぇ。明るい場所だとここまでハッキリとは見えませんが、屋内であれば「あの人のサングラス、なんか光ってる?」とわかる感じです。解像度は極めて高く、ブラウザで表示した記事の文字も読めます。
また、動画などの音は「Nreal Air」から出ていて、外に漏れています。つまりワイヤレスイヤホンと一緒に使えば音量を気にせずに動画を楽しめるし、接続しているデバイスの操作(音量や曲送りなど)もイヤホン経由でできてしまう。「Nreal Air」を屋外で使うなら、ぜひともワイヤレスイヤホンを一緒に使うのがオススメ。電車でもスマホをポケットに突っ込んだまま、動画が見れちゃいますよ(ただし、近くの人に見てる映像がバレる)。

USB Type-Cで映像出力ができるデバイスであれば、スマホ以外にも接続可能。Macbookと繋げばMacの画面を130インチの大画面で閲覧できます。え、そうすると手元が見えないから操作しにくいだろうって?
ブラインドタッチ上級者であれば無問題。画面を真っ黒にして映像だけを「Nreal Air」に出力すれば、セキュリティ性も高まるってなもんです。見た目は謎の人感ありますが、けっこう見やすかったです。下を向かなくて良いから姿勢的にもラクでした。

本体とUSBケーブルは専用のケースに収納可能。

ハードケースなので堅牢性もバッチリ。サングラスとしてはレンズ部分が分厚いので、普通のメガネケースに入れるのは難しそう。
念願のiPhoneとの接続に対応!

「Nreal Air」はUSB Type-Cでの接続が必要ゆえ、iPhoneとは接続できませんでした。が、Lightning端子を持つAppleデバイスとも接続を可能にする専用アダプターがついに登場! その名も「Nreal Adapter」。

写真右側にあるのは、Apple公式が取り扱ってる「Lightning - Digital AVアダプタ」。これを「Nreal Adapter」に…。

合体! これでiPhone→アダプター→「Nreal Air」と接続ができるようになります。

iPhoneからはミラーリングデバイスと認識されてるので、モバイルディスプレイ的な感覚で扱えます。モバイルディスプレイよりも圧倒的にコンパクトなのに、画面サイズは体感130インチというシンギュラリティ。

スマホゲーム『Tower of Fantasy』のプレイも、遅延レス&大画面に楽しめました。とはいえ手元は見えなくなるので、本気で楽しむならゲームパッドが欲しいところ。また「Nreal Adapter」にHDMIのメスtoメス端子を合体させると、Nintendo SwitchやPS5などのコンシューマーハード機を「Nreal Air」に表示することも可能です。もうテレビいらないじゃん…。
Apple繋がりでもう1つ。今までAndroid向けに提供されていたアプリ「Nebula」が、M1チップ以上を搭載したMacにも提供されるそうです。対応しているMacと「Nreal Air」を繋げば、最大3画面のアプリ同時起動が可能に。提供時期は2022年9月中を予定。
大画面&コンパクトの両立に対するアンサー

「有線かぁ…でも解像度良いなぁ。もっと色んなコンテンツをNreal Airで見てみたいぞ」と、そんな気持ちになりました。解像度の良さが効いているのか、見ていてシンプルに心地良い。そして大画面も心地良い。視界いっぱいに映像が広がるわけではありませんが、どこを向いても常に映像が見えるのはめちゃラクです。僕は欲しいぞ、「Nreal Air」!
Nreal副社長兼日本Nreal代表取締役のJoshua Yeo氏は、「AR時代は皆が思っているよりも早く来る」と述べていました。と同時に、そのためにはAppleやGoogleなどの世界を牽引する企業がARに本格参入してくることが重要とも見ており、業界の活性化がメガネ型デバイスのワイヤレス化といったアップグレードにも繋がると見ています。パーツが安くなったりチップが新しくなったり、全面的な技術革新が重要ということですね。
スマートグラスはまだ飛び道具な感じがあるものの、着々と普及していってるのも事実。スマホやPCで動画を見ると姿勢がツラいけど、スマートグラスならどんな姿勢でも見れちゃいますからね(ケーブルには縛れるけど)。この新たな視聴スタイルが、人類にとっての次のディスプレイになるかもしれませんよ。
Source: Nreal Japan 新製品発表会