今年だけで170回…プライベートジェット使いすぎのテイラー・スウィフトを擁護する声に潜む罠

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今年だけで170回…プライベートジェット使いすぎのテイラー・スウィフトを擁護する声に潜む罠
Image: ako photography / Shutterstock.com

"二酸化炭素排出のクイーン"という不名誉…。

Rolling Stone誌は先週、サステナビリティマーケティング会社Yardのデータに基づき、プライベートジェット機を多用している有名人発表

スティーヴン・スピルバーグ、司会者のオプラ・ウィンフリー、そしてこれまでにも"環境犯罪人"と非難されたことのあるカイリー・ジェナーを抑えてトップに躍り出たのは、全米の人気者テイラー・スウィフトでした。

「テイラーは悪くない」のか?

今年上半期だけで170回もプライベートジェット機を使い、8,293.54トンの二酸化炭素排出に加担したと報じられています。ちなみにこれは平均的なアメリカの家庭が毎年排出する量の165倍以上…。これに対しテイラー・スウィフトの広報チームは、ジェット機を貸し出しているため、すべてが彼女によるものではないと主張しています。

浪費家の象徴ともいえるカーダシアン家のカイリー・ジェナーとは対照的に、米国民から親しみ深い有名人として、ファンとの交流を大切にしたり、元カレ(同じく有名)のことを歌にしたりしてきたテイラー。今年発売された最新アルバムでは、流行のいわゆる"コテージコア"な雰囲気で、アウトドアや自然になじんだ姿を見せていました。それが、二酸化炭素排出のクイーンという称号を得ることに。

擁護派からは「有名すぎて普通の飛行機に乗れるわけがない」、「気候変動に対する怒りの矛先は、テイラーではなく社会のシステムに向けるべき」などの意見も。私はSwiftie(テイラーのファン)ではありませんが、こうした見解は、気候変動と資本主義が深く結びつくなかで、私たちが陥りやすい罠の“終着点”だと思っています。

責めるべきは個人じゃない?

先日、友人がこの夏は米西部へ旅行すると言っていたので、現地で起きている干ばつについて話してみることに。すると彼女は「ガソリン会社がいまだに儲かって政治献金しているというのに、二酸化炭素の排出とか、飛行機に乗ることとか、今はあまり気にすることができない」と言っていました。

「私たちのライフスタイルを変えることで現状は変えられる」という考え方に疑問を呈するのは、彼女だけではないはず。正直、気候変動に関する記事を毎日書いている自分にとっても、この問題について話すのは難しく、無気力に感じることすらあります。

たとえば、もしテイラー・スウィフトがプライベートジェットでの移動を今すぐやめれば、私が1年間肉を食べないと決めるよりもずっと大きなインパクトを与えることができるはず。世界人口の1%が航空会社の排出量の50%を担っていることを考えると、いっそのこと富裕層のプライベートジェットを全面禁止にしてしまえば良いように思えます。

でも、深刻な気候変動危機に直進している現状、それは本当に小さな一歩でもあります。カーボンフットプリントは結局のところ、石油・ガス会社が自分たちの責任を逃れるために作り出した考え方です。それでいて、環境汚染に貢献する企業の利益は記録的に伸び続け、抜本的な対策をせずにいる現状を踏まえると、資本主義における個人の責任はあまりに小さいものだといえます。

二酸化炭素を大量に排出する億万長者も、結局は個人。組織が大きく変わろうとしない限り、個々人の行動が起こせる変化は非常に限られたものとなります。

「意味がない」の終着点

ただ、ここで「悪いのは資本主義であって、個人が自分の行動に責任を持つことはない」と、すべてを社会システムのせいにするのであれば、億万長者がプライベートジェットで10分の距離を移動することを許すことになるという論理的なジレンマに陥ることになります。

個人の努力はちっぽけでも、意味がないわけではありません。消費者として、できるだけベジバーガーや電気自動車など環境に配慮したものを選ぶにしたり、飛行機の利用を避けたりすることのインパクトは、より多くの人たちが同じような変化を起こすことで高まるはずです。そして何より、私たちにはできるだけ環境を守るための選択肢があること、その行動が未来につながっていくんだということを周りにもリマインドし続け、波及させることができれば、社会としての本当の価値を発揮できると私は思っています。

だからこそ、一部の富裕層が地球を破壊するのを阻止するために非難の声をあげるのも、企業や政府の説明責任を追求し続けることも、とても有益な炎上(社会への気候変動危機リマインダー)だといえるのではないでしょうか。

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