アルゼンチンの海岸で見つかった船の残骸、1859年に行方不明になった米国捕鯨船である可能性が濃厚に

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アルゼンチンの海岸で見つかった船の残骸、1859年に行方不明になった米国捕鯨船である可能性が濃厚に
アルゼンチンのプエルト・マドリン近くの海岸にあった、「ドルフィン号」と思われる船の残骸
Image: Lamont-Doherty Earth Observatory

2000年代初めにアルゼンチンの海岸で発見された19世紀の船は、以前から米ロード・アイランド州から出港して150年以上前に消息を絶った捕鯨船ドルフィン号なのではないかと言われていました。その船に使われていた木材の年輪データを調べたという研究が、ジャーナル「Dendrochronologia」に発表され、ドルフィン号である可能性が高いことが明らかになりました。

この研究の筆頭著者でアルゼンチンの研究所IANIGLA-CONICETの年輪年代学者Ignacio Mundo氏は、コロンビア大学地球研究所によるリリースの中で「100%の確信を持って言えるわけではないが、年輪の分析結果はこれがその船である可能性が非常に高いと示している」とコメントしています。

使われている木材は合衆国の樹種

この船はもともと2004年にブエノスアイレスから700マイルほど南下した街、プエルト・マドリン近郊の海岸で発見されており、その数年後に船の肋材と船体といったほんのわずかな残骸がまず発掘されました。この船がドルフィン号ではないかという憶測は10年前から流れていましたが、今回の研究のチームは木の年輪がそれを証明すると考えています。

木の年輪は、火山噴火や北米での植民地化政策といった出来事の時期を示す非常に有用なツールです。干ばつなどの気候学的な傾向を符号化しており、樹木は1年ごとに年輪を形成していくので、もちろん年代も教えてくれます。

難破船から採取(ストレートに言うと、チェンソーで切除)された幾らかの材木サンプルは、North American Drought Atlasと相互参照されました。このデータベースには、2,000年以上前からの約3万本に及ぶ樹木の年輪サンプルが掲載されています。

比較を行なったことで、沈没船の肋材はホワイトオーク、船体と木釘はそれぞれイエローパイン、ニセアカシア(ハリエンジュとも言う)で作られていたと確認できました。この3種はすべて合衆国東部で育つ樹種です。材木の年代を測定したところ、早いもので1679年に育ち始めた樹木や、ドルフィン号の建造前年の1849年に伐採されたオーク材があるとわかりました。

年輪年代学による分析結果が出ても、考古学者的な見解からするとドルフィン号だと断定するにはまだ証拠に欠けるようですが、前述のリリースの中でコロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測所年輪ラボ所属の年輪年代学者Mukund Rao氏は、「考古学者たちはもっと保守的で、もう少し高い基準を好みますし、彼らを咎めはしません」とコメント。「船鐘のようなものがないのは本当です。でも、私にとっては、物語は樹木の年輪にあるのです」と述べていました。

細かい点はそろってきましたが、船の正体を示す決定的な証拠はありません。今年発見されたシャクルトンの探検隊を乗せていた難破船とは別の話です。「エンデュアランス号」の場合、ウェッデル海の底に沈んでから1世紀以上経ても船名がハッキリと船尾に刻まれていましたからね。

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Source: Dendrochronologia, Lamont-Doherty Earth Observatory, The ocean update, Atlas Obscura, The Earth Institute at Columbia University