人類には早すぎた、(いい意味で)変態なノートPC10選

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  • author たもり
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人類には早すぎた、(いい意味で)変態なノートPC10選

2022年1月10日の記事を編集して再掲載しています。

進化の過程で消えてしまった個性派たちよ…。

この数年でノートPCのデザインは進化して王道のクラムシェル型以外にもデュアルスクリーンや2in1、画面折りたたみ式が導入されてきましたが、特にユニークな特徴や機能は道半ばで頓挫してしまったノートPCに搭載されていたのです。90年代のCompaq(コンパック)とIBMや近年のLenovo(レノボ)やAsus(エイスース))と、PCメーカーは奇抜で素晴らしい製品を発表してきました。そのほとんどがメインストリームでの成功を得られませんでしたが、人々の記憶には強烈なインパクトを残していました。

こういった試みの多くはノートPCの未来を創ろうとするあまりに野心的か非実用的すぎましたが、価値を高め、その当時のハードウェアの限界に独創的な回避策をもたらしたものもありました。ではさっそく、成功を収めるには斬新すぎた(そして憧れられていた)ノートPCを見ていきましょう。

IBM「ThinkPad 701」

Video: 90s Commercials / YouTube

Apple(アップル)がその名のイメージを悪くする前、「バタフライキーボード」とは、スライドするキーボードを備えたサブコンパクトノートPCであるIBM「ThinkPad 701」の代名詞でした。カバーを開けると、対角線上に分割していたキーボードの右半分が下がってくっつき、フルサイズのメカニカルキーボードが現れます。上の動画を見ると、カバーの開閉はまるでジグソーパズルの最後の1ピースをはめるかのように、信じられないほど満足感を得られる機械的な動きだったと分かります。

今の時代であれば、スライドするキーボードは実用的ではないでしょう。昨今のノートPCは超薄型で、私たちは堅くて浅いキーを叩くことにすっかり慣れてしまいました。いまだに存在していたらと思うプロダクトですが、独創的なThinkPad 701はつかの間の商業的な成功ののち、1995年の末に製造が中止されたのでした。

HP「OmniBook 800CT」

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小型のノートPCを組み立てているのにキーボードの下にタッチパッドを置くスペースが余っていないとします。さてどうするか?

ユーザーに外付けマウスを買わせるというのも手ですが、HPのようにポップアウト式のマウスを開発するという手もありますよ。HP OmniBook 800CTの右側の小さなスペースに隠れていたのは、小さくてかわいいネズミマークのボタンを押すとボディから出てくる一風変わったくさび形のマウスでした。

90年代中頃にはワイヤレスという選択肢がなかったので、極小マウスが細いゴム製コードにぶら下がったわけです。実際、これはその当時のノートPCの多くを悩ませた問題の斬新な対処方法としてうまくいき、HPはいくつかの異なるモデルでもポップアウト式マウスを採用しています。 トラックパッドと言えば、ディスプレイの右側にトラックボールを搭載した昔のノートPC「Compaq LTE Elite 486」なんてものもありました。

Via「NanoBook」

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モジュール式のテクノロジーには山あり谷ありの歴史(参考例:Project AraLG G5Blocksなど)がありますが、別のパーツを交換するというアイデアのおかげでViaのNanoBookを含め素晴らしいガジェットが登場しました。NanoBookは一見したところ、かつて大勢が所有していたミニノートAsusのEee PCに似ているように見えます。

しかし蓋を開けると出てきたのは、ノートPCに搭載されたものの中でももっとも予想外なもの、電話機でした。いいですか、これは2007年のことなので、薄型なスマートフォンについて話しているわけではありません。電話を一日中持ち運ぶという負担をなくすために設計されたワイヤレスのVoIP電話機だったのです。この電話機が配置されていたのは7インチのディスプレイ(タブレットではなくノートPCの画面サイズですよ)の隣、交換可能な“MobilityPLUS”モジュール内で、他にもGPS受信機、3G/CDMA携帯電話モジュール、世界時計を取り付けることができました(VoIP電話機をセットしたNanoBookの画像はコチラ

Windows XPを搭載したNanoBookが登場したのは初代iPhoneと同じ年なので、とうの昔に終売しています。しかしながら、その数年後、英国のElonex社からWebsurferというよく似たデバイスが発売されました。ViaのNanoBookについてもっと知りたい方は、米Gizmodoの発売時の記事をどうぞ。

3D性能を備えたノートPC

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映画『アバター』を自宅で楽しめるようにすると謳った、今では廃れたフォーマットの3Dテレビを覚えていますか? ほんの一瞬ですが、3Dを性能を備えたノートPCも存在していたのです。Dell(デル)とAlienware(エイリアンウェア)はXPS 17 とAlienware m17 R3のオプションに3D映像テクノロジーを使っていたことで注目されていましたが、MSI、ソニー、HP、 Origin(オリジン)とAsusも挑戦していました。

ほとんどの3D性能付きのノートPCがNvidia(エヌビディア)の3D Visionプラットフォームを用いており、3Dテレビのものよりも良かったとみなしていた批評家もいました。しかし、不格好なメガネ問題は解決せず。さらに悪いことに、そういったノートPCの多くは100ドル以上する別売りのキットが必要だったのです。

当時の3Dテクノロジーはかなり制限があって、特定のゲームとブルーレイディスクでしか機能しなかったものの、誰もが3Dエフェクトを嫌っていたわけではありません。確かにゲーム中のfpsの低下を引き起こし、長時間のプレイでは眼精疲労の元になりますが、果敢にもこの新進のテクノロジーを利用した人たちは全体的に3Dを気に入っていたようです。結局のところ、3D性能を備えたノートPCが3Dテレビと同じ道を辿った理由は、チャンキーで高額なメガネとサポートが限定的だったことにありました。

Lenovo「ThinkPad W700ds」

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出先でセカンドモニターが必要になったとして、今の時代なら外付けモニターに接続するのがベストな選択肢でしょう。

しかし、かつて2000年代後半には、スライド式の10.6インチディスプレイを備えたLenovo ThinkPad W700dsを買うという手もありました。これはRazer「Project Valerie」やAsusの2画面ノートPCが登場するはるか前のことで、Lenovoはスライドして出てくる2つ目のディスプレイで、17インチのメインディスプレイを拡張できるノートPCを生み出したんです。

それはあくまで序の口で、このモデルはPantone色見本カラー・キャリブレーション機能や、内蔵のワコム製スタイラスペンを使って手書き入力できるタブレット(タッチパッドとは別に)を含め、当時存在していたあらゆるギミックやガジェットを全部載せしていました。これは出張中でもマルチディスプレイを必要としていたビジネスマン(やアーティスト)にとっては素晴らしい解決策になっていたことでしょう。ThinkPad W700dsがまったくポータブルではなかったという点を除けば…。重さは11ポンド(5kg弱)厚みは2.1インチ(約5.3cm)と失笑を誘うほどデカかったのです。

ASUS「Taichi」

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ASUSイチの変わり種2in1「Taichi」が発表された当初、「このディスプレイ、天板の逆側についてない?」というのはもっともなコメントでした。

ノートPCをタブレットへと変える方法を考え出す代わりに、ASUSは単純に2枚目のパネルを外側に足したのです。こうすれば、従来のクラムシェル型フォームファクタを保ちつつ、蓋を閉じればタブレットモードに切り替えられます。Lenovo Yogaほど洗練されてはいませんでしたが、Taichiはうまく機能していました。 少なくともある程度までは…。

Taichiにとって潜在的な問題でないかと思われたバッテリーの持ちは実のところ、最大の欠点だったのです。しかも、Windowsのタッチパッドが現代のソフトウェアドライバーによって使いやすくなる前に、このノートPC兼タブレットというガジェットは誕生しており、残念ながらTaichiのドライバーはひどいものでした。ASUSはZenBook Pro Duoでもって異なる形で復活させるまで、2画面デザインからは長いこと遠ざかっていました。

ASUS「ROG GX700」

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ASUSの斬新なアイデア、本当によいですよねぇ。この台湾のノートPCメーカーはほんの数年前、巨大な水冷ユニットを着脱できるモンスターゲーミングノート「ROG GX700」をリリースしました。 PCゲーマーなら、熱暴走がノートPCにとって命取りになることは知っています。PCの爆発(もしくは、サーマルスロットリング)を防ぐ一般的な対策と言えば薄型ファンの追加、賢いヒートシンクの置き方、エアフローの改善など。ASUSはそれじゃつまらん!ということで、4本のバーを使ってノートPCの背面にマウントするとんでもない水冷ユニットを開発しました。

この冷却システムは、カスタムの密閉バルブを用いて冷却液をノートPCへと送り出してユニット内へと戻し、92mmの大型ラジエーターで排熱します。500Wの放熱でGX700のパフォーマンスは20%向上し、CPUとGPUの熱は30%低下。素晴らしそうですが、ご覧のとおりとにかくデカいんです。ここまでくると、デスクトップか、eGPUと普通のノートを手に入れるほうがいいかもしれませんね。

この非実用的なモンスターの価値をさらに高めようと、ASUSは2基のGPU(NvidiaのGeForce GTX 1080)を搭載した別バージョンを1年後にリリースしましたが、それでも購入に値するほどにはならなかったのです。

Acer「Iconia 6120」

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IBMは打鍵感のよいメカニカルキーボード搭載のノートPCを製造しましたが、Acerはまったく逆のアプローチを取ることに。

キーボードドックを、タッチパッドとバーチャルキーボード搭載の14型スクリーンに置き換えたのです。この奇妙なセットアップにもメリットはあって、例えばタイピングから手書きへと簡単に切り替えられたり、URLに「https://」や「.com」をささっと付け足せたり、お気に入りのアプリやサイトを立ち上げるショートカットボタンをタップできたりしました。

しかし全体的にみると、悪いアイデアだったのです。画面を邪魔するギラつきやキーを打っても感触がないなど、いくつかの問題点は明白でした。入力時のタイムラグ、性能の低さ、そしてジェスチャーに対応していない小さなタッチパッドなど、デバイス自体の問題点もあったのです。

Dell「XPS 12」

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コンバーチブル式ノートPC、2-in-1 PCは数年前からメインストリームで人気を得ていますが、ヒンジのところでスクリーンを外してフリップさせるSurface Laptop Studioのように現在も進化し続けています。こういったハイブリッドデバイスを擁護した不運なOSである Windows 8から現在までの間に、ありとあらゆる形状のノートPCが誕生しましたが、Dell のXPS 12ほど野心的で、妥協のないノートPC兼タブレットのハイブリッドは開発されていません。

2-in-1 PCに対するDellのソリューションは、カバーを閉じた際にはパネルを外側に向けられるよう、フレームにスクリーンを取り付けて回転できるようにすることでした。このデバイスを使ってみて気づいたのは回転するスクリーンがうまく機能し、それによって完全なタブレットモードとノートPCモードが可能になると同時に使用していない時のキーボードが保護されるという点でした。しかし、DellはXPS 13でInfinity Edgeディスプレイを導入した際にベゼルを殺していますし、こういったタイプの2-in-1 PCに求められるディスプレイのフレームは現在の基準から言えば分厚すぎるのです。

ASUS「ROG Mothership GZ700」

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こういったプロダクトを開発することにおいて、ASUSの右に出る者はいないのでしょう。初めてMothershipの実機を見たときには、そのテクノロジーに圧倒されましたが、誰が買うのか見当もつきませんでした。このマシンは、そもそも膝に載せるには大きすぎるので実際にはノートPCとは言い難く、厳密にはモバイル機なので一体型PCとも言えません。というわけでMothershipは据え置くデスクトップと持ち運べるワークステーションの間なんです。

詳しく説明しましょう。ROG Mothershipを定義づけるのは容易ではありませんが、ワイヤレスな一体型PCだとみなすのが一番よい考え方です。巨大な17インチディスプレイの裏にすべてのコンポーネントが収納されていて、キーボードドック側にはマグネットで着脱できワイヤレスで使えるスリムなゲーミングキーボードが搭載されています。キーボードを外せば、背面のキックスタンドによってMothershipは直立する巨大なタブレットに変わります。

この製品はデカくて分厚くてとんでもなく高価(具体的に言うと6000ドル/日本では約80万円)ですが、デスクトップとノートPCを1つのデバイスに合体させてノートPCのデザインの限界を押し広げたのは、良くも悪くもASUSだという点は否定しようがありません。Mothershipが発売されたのほんの数年前、どんな運命をたどるのでしょう…。

Source: YouTube, reddit, wired, Amazon.co.uk,