アメリカ政府が初めてEVや太陽光パネルのサプライチェーンにおける児童労働と強制労働を認める

  • author Molly Taft - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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アメリカ政府が初めてEVや太陽光パネルのサプライチェーンにおける児童労働と強制労働を認める
Image: shutterstock

ダーティーなクリーンエネルギーってなんだかなぁ…。

化石燃料からクリーンエネルギーへの移行に欠かせない、コバルトなどのレアメタル。その供給ルートに児童労働や強制労働が存在することを、アメリカ政府がはじめて認めました。

クリーンエネルギーに児童労働や強制労働が

E&Eニュースによると、主に太陽光パネルに使用されるポリシリコンや、リチウムイオン電池の主原料であるコバルトなどを含む『児童労働または強制労働によって生産された品目リスト(List of Goods Produced by Child Labor or Forced Labor)』をバイデン政権が更新しました。この報告書は、労働省国際労働局が2006年から毎年更新しています。

国際担当財務次官のThea Mei Lee氏は報告書について、「クリーンエネルギーにとって重要なサプライチェーンへの注意喚起」を目的とし、「企業や消費者が搾取的な労働実態を推進・助長する体制に対抗するための情報を提供する」と序文で述べています。アメリカ政府は「搾取的な労働実態を推進・助長する体制」に対抗するつもりがないから企業や消費者に丸投げってことですかね…?

クリーンエネルギーへの移行が加速するにつれて、今後数年間で太陽光パネルやバッテリーの原材料の需要は急増すると思われます。電気自動車市場の拡大によって、特にコバルトの市場はすでに著しい成長を遂げています。2021年に22%増加したコバルトの需要は、2025年には30%増に達するという試算もあるくらいです。

コバルトには児童労働、太陽光パネルには強制労働が

しかしながら、これらの原材料をめぐる労働環境は深刻な問題を抱えています。世界で生産されるコバルトの70%を占めるコンゴ民主共和国では、25万5000人の採掘労働者の15%にあたる約4万人が児童で、中には6歳児までいるそうです。子どもたちは1日数百円という低賃金で、12時間働かされることもあります。中には、24時間の労働シフトまであるようです。

一方、太陽光パネルに使用できる品質のポリシリコンは、世界の45%が中国の新疆ウイグル自治区で生産されています。中国政府によって拘束されているウイグル族を含む100万人の少数民族のうち、数万人がポリシリコンなどの生産に従事させられていることが調査で明らかになっています。

進まない規制

アメリカは昨年、中国のサプライチェーンにおける劣悪な労働慣行を根絶させるために、中国の特定企業からのポリシリコン輸入を禁止しました。その一方で、コンゴからは引き続きコバルトなどを輸入しています。専門家は、アメリカがコバルトの規制を行なうとは考えていないそうです。鉱物採取労働の収入に依存しているコンゴの地域社会にとって、規制が大きな打撃につながることや、中国の強制労働ほどひどい状況ではないと分析する人権団体もあるそうですが、どっちがひどいかを比べてもなんにもよくならないですよね。

バイデン政権はというと、クリーンエネルギー革命を加速させるためにバッテリーの生産拡大をもくろんではいるものの、原材料のサプライチェーンに存在する児童労働や強制労働にどう対処するつもりなのかについては、黙して語らず状態です。輸入規制を行なう計画もありません。今回、このリストになんの計画もないままコバルトを載せたことも、やってる感を出しているだけに見えるかもしれないと専門家は指摘しています。いわゆるウォッシュですよね。


コンゴにおける中国とのコバルト争奪戦で劣勢にあるアメリカには、児童労働があるとわかっていても厳しい規制を実施できない事情があるんですよね。クリーンエネルギー革命に必要な資源が不足している状況も、歯切れの悪さにつながっているのでしょう。サプライチェーンに注目が集まることで、消費者が規制を後押しするよう動きが出てくるといいのですが、最後はやっぱり政治ですものね…。