「グリーンウォッシュ」がメリアム=ウェブスター辞書に新語として追加

  • author Kenji P. Miyajima
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「グリーンウォッシュ」がメリアム=ウェブスター辞書に新語として追加
Image: shutterstock

辞書の次は、実務的な定義付けもしたほうがいいかも。

「グリーンウォッシュ」の定義と歴史

近年よく耳にする言葉、「グリーンウォッシュ」。なんとなく「環境によいと消費者に思い込ませることで利益を得る行為」みたいなザックリしたイメージがあります。今回、老舗の辞書、メリアム=ウェブスターに「グリーンウォッシュ」が新語として追加されました。

動詞と名詞の両方で追加されていますね。進行形と名詞として「グリーンウォッシング」も掲載されています。

「グリーンウォッシュ」の定義は以下のとおりです。

【動詞】 1. 製品、政策、実務などを、実態以上に環境に優しい、あるいは環境破壊が少ないように見せかけること。2. グリーンウォッシュによって相手を欺くこと

【名詞】 製品、政策、活動などが実際よりも環境に優しい、あるいは環境破壊が少ないように見せかけるための主張、行為など

メリアム=ウェブスターは新語を追加する基準を「ある単語を多くの人が十分な期間同じような意味合いで使用した場合に、追加対象になる」としています。

「グリーンウォッシュ」という言葉自体は、1986年にJay Westerveld氏がホテルのエコな取り組みについて書いたエッセーで、造語として「グリーンウォッシング」を使用したのが最初のようです。Westerveld氏は36年後に自身の造語がメリアム=ウェブスターに載るほど、企業や政府などがグリーンウォッシュしまくると想像していたでしょうか。

グリーンウォッシュの具体例

グリーンウォッシュといえば、気候変動対策をなんとかして遅らせたい化石燃料産業のあからさまな企業活動がパッと頭に浮かんできます。

9月に非営利団体InfluenceMapが発表したレポートによると、石油大手5社(BP、シェル、シェブロン、エクソンモービル、トタルエナジーズ)の広報関連資料の60%に、再生可能エネルギー導入や温室効果ガス排出量削減など、最低ひとつの「グリーンな主張が含まれていた一方で、実際に再生可能エネルギーや低炭素技術などに費やされる予定額は、5社平均で設備投資全体の12%に過ぎないとのこと。典型的なグリーンウォッシュですね、これ。

つい最近では、11月にエジプトで開催される国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)のスポンサーに、過去4年間プラスチック汚染で世界トップをひた走っているコカ・コーラが名を連ねていることを、グリーンウォッシュと批判されています。コカ・コーラといえば、プラスチック製品を作り続ける理由としてサステイナビリティ部門のトップが「消費者がプラスチック大好きだから」と発言したこともありました。同社はガーナで、プラスチックのリサイクルをやってるフリだけしています。

法的根拠を持った定義付けと規制が必要

言葉が壊され続けている感が大きい近年。グリーンウォッシュをなくしていくためにも、言葉そのものに定義がつけられるのはとても大事なことです。

米非営利組織であるFossil Free Mediaでディレクターを務めるジェイミー・ヘン氏は、メリアム=ウェブスターが「グリーンウォッシュ」の定義を成文化したことは、とても重要な一歩だとし、次のように述べています

辞書の定義付けは、その言葉の意味を明確にし、認識と理解をわかりやすくするために重要です。グリーンウォッシングは曖昧な概念ではなく、検証可能な事実です。私たちはグリーンウォッシュを見抜き、正しく検証し、可能な限り厳しく追及しなければいけません。

EUは今年3月、グリーンウォッシュを防ぐために、「環境にやさしい」「エコ」「グリーン」など検証不可能な消費者へのアピールをブラックリストの対象にしました。また、商品の一部にしか環境に配慮した取り組みを行なっていないのに、商品そのものを環境によいとアピールしたり、第三者機関や規制当局の検証による認定を得ていない商品に独自のサステナブルラベルを付ける行為もブラックリストに入っています。

日本でも、「グリーン」「ナチュラル」「クリーン」「エシカル」などのふわふわした環境バズワードが飛び交っていますが、こういう言葉にも、ハッキリした定義ってないんですよね。言ったもん勝ちみたいになっています。何を信じればいいのかわからずに振り回される消費者はたまったもんじゃありません。

辞書で定義付けられたとはいえ、「グリーンウォッシュにも法的な定義はありません。消費者をマーケティングワードのハリケーンから守り、本当に環境に配慮した活動を続けている優良企業がグリーンウォッシュの洪水に飲み込まれないようにするため、そして気候や環境を守るために、「グリーンウォッシュ」や環境バズワードに法的根拠を持った定義を付けたほうがいいんじゃないでしょうか。

Reference: Merriam-Webster (1, 2, 3), Texas State University, InfluenceMap, The Guardian, The Boston Globe, EU

多国籍大企業はプラスチックのリサイクルをサボりながらイメージアップしている

製品に大量のプラスチックを使用しているコカ・コーラに代表される大企業の「プラスチック問題の解決に尽力している」という主張はいったいどこまで実行されているのでしょ...

https://www.gizmodo.jp/2022/08/how-coca-cola-unilever-and-others-delay-action-on-plastic.html