人権団体、Twitterから広告を取り下げるよう企業に要請

  • author Dell Cameron - Gizmodo US
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  • 福田ミホ
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人権団体、Twitterから広告を取り下げるよう企業に要請
Image: Gizmodo US

大手広告主が続々と退散してます。

60以上の人権団体が結成したグループが、大手企業や広告代理店に対し、Twitterへの広告出稿を停止するように要請しています。同じグループは11月初旬から同様の呼びかけをしてきたのですが、Twitterのイーロン・マスクCEOが彼らへの約束を破ったとして、その声をますます強めています。

60以上の人権団体が要請

Accountable Tech、Free Press、Media Matters for Americaが代表を務めるそのグループは#StopToxic Twitter(有害なTwitterを止めろ)と銘打ち、広告主企業に対してTwitterへの広告出稿を停止するよう強く求めています。マスク氏がTwitter上でのヘイトスピーチを容認するような発言を繰り返しているからです。

#StopToxic Twitterに参加している団体は他に、NAACP(全米有色人種地位向上協議会)やCenter for Countering Digital Hate(直訳:デジタルヘイト対策センター)、National Center for Transgender Equality(トランスジェンダーの平等のための全国センター)、Center on Race and Digital Justice(民族とデジタル正義のためのセンター)、イスラム教系団体のMuslims Advocatesなどなどです。彼らは11月初旬にマスク氏と直接会って、ヘイトスピーチ対策としていろんな約束をされたのに、それらを早々に破られてるそうなんです。米国中間選挙前の重要なタイミングでマスク氏たTwitter社員の約半分を一斉解雇したことも「ブランドに対する安全策やコンテンツ監視を不可能にした」と非難しています。

3分の1以上の企業がすでに出稿停止

マスク氏は団体からの圧力に屈しない姿勢ですが、#StopToxic Twitterはすでに成果をあげつつあります。Washington Postによれば、Twitterの広告主上位100社のうち3分の1以上がTwitter上でのプロモーションを直近2週間で停止したんです。米GizmodoからTwitterに対しこの件でコメントを依頼したかったんですが、そもそも広報部門がないので依頼もできませんでした。

2021年に凍結されたドナルド・トランプ氏のTwitterアカウント復活は、#StopToxic Twitter側にとっても象徴的な事件となりました。彼らによれば、トランプ氏のアカウント復活の一因には、今まで虚偽情報やヘイト、過激主義対策に従事してきたエンジニアや社員が大量流出してしまったこともあります。

「マスク氏がTwitterの以前のコミュニティ規範を執行することが信用できるまで、Twitterはユーザーにも広告主にも安全なプラットフォームではありません」連合は11月21日発表の文書で言っています。「現在もTwitterに広告を出している企業は、彼らが変人億万長者によるTwitter社員の間引きや、Twitterの混沌への退化に直接貢献していることを自覚すべきです。」

イーロン・マスクの「フリーダム・フライデー」。停止されていたTwiiterアカウントがどんどん解放される。トランプ元大統領もTwitter復活へ

週明けたら、マスク氏の恩赦が連発してた。イーロン・マスク氏がトップに君臨してから、ニュースに事欠かないTwitter。いつ機能停止するかわからないとして、もし...

https://www.gizmodo.jp/2022/11/twitter-elon-musk-shadowbans-freedom-friday.html

Twitterの混乱でヘイトが増加

#StopToxic Twitterは、Twitterの「混乱」は「世界的な影響を持つ」と言ってます。そしてTwitterがヘイトの拡散を抑制できずにいる今の状態は、世界中で「主義主張を訴える人や反体制派にとっての脅威」となるだろうと付け加えました。

「インターネットが黒人への攻撃や社会・政治的権利の破壊の武器としてますます利用されているこの時代にマスク氏がTwitterを掌握したことは、バーチャルにも物理的にも、我々の安全を脅かしています」人権団体Color of Changeは、広告主に宛てた文書で書いています。

Color of Changeも#StopToxic Twitterに参加していて、有色人種やLGBTQ+コミュニティに対するヘイトやいじめからユーザーを守るような「頑健で透明」なコンテンツ監視プロセスを要求しています。また彼らは、マスク氏はTwitter買収のために多額の借金を背負っているので、広告主への呼びかけは強力な戦術だとも言いました。

折しも米国コロラド州ではLGBTQクラブで5人が射殺される銃乱射事件が起きていて、それがきっかけでTwitter上ではLGBTQ、とくにトランスジェンダーの人へのいやがらせが急増しました。とはいえLGBTQ+への攻撃は今に始まったことじゃなく、保守的な政治家や論客に触発されたいやがらせや暴力が世界中で行なわれています。

「リーチの自由はない」の詭弁

今のところTwitterのポリシーには、文言の変更はありません。たとえば、人に恐怖を与えることとか、人種やジェンダー、性的指向に基づいて不快なステレオタイプを拡散することとかは禁止されています。でもマスク氏は先週、問題発言したアカウントも停止はしないことを明言しました。代わりにマスク氏いわく、他人をヘイトや差別のターゲットにするようなツイートは「最大限サゲられ、収益化対象から外される(max deboosted & demonetized)」そうです。

「Twitterの新ポリシーは、言論の自由です」とマスク氏。「でも、リーチの自由ではありません。」

とはいえ、Twitterが本当にヘイトスピーチをちゃんとサゲられるのかはかなり疑問です。そのためにはヘイトスピーチを正確に特定する技術が必要なはずですが、今のところそんな技術は存在しないと思われます。Twitterよりもっとお金がある会社だって、ヘイトスピーチ検知アルゴリズムの開発に今まで10年以上かけてきて、まだ完成させてません。ヘイトスピーチを自動検知した、とプレスリリースを打つ企業があったとしても、オンラインヘイト動向の研究者にいわせれば、実際はまだまだヘイトスピーチがあふれていて、むしろ増えてるくらいなんです。

たとえばTwitterの10倍の社員を抱えるMetaだって、ヘイトスピーチ撲滅のために多額の資金をつぎ込んできて、マスク氏が作ると言ってるような技術を一応作ってはいます。でもFacebook元社員のFrances Haugenがリークした内部文書によれば、Facebookのモデレーターがアクションを起こせているのは「Facebook上のヘイトスピーチの約2%に過ぎない」のです。あるFacebook所属の研究者はその文書の中で、コンテンツの基準は「非常に複雑で、一貫性を持って適用するのは難しい」と言い、「ヘイトスピーチは非常に微妙なニュアンスを含む事が多く、見落としやすいし、誤検知もしやすい」としています。マスク氏はそんな課題に気づいてるんでしょうか。

さらに、マスク氏の言うようにヘイトスピーチが見えにくくなったとしても、ヘイトのターゲットになった人にその発言が届かないわけじゃありません。というか、ヘイトスピーチを行なった人にペナルティを与えることもなく、ただ発言を隠すだけでは、ヘイトが周りから見えなくなるだけです。つまりハラスメントや脅迫を受けているユーザーにとってはほとんどメリットがありません。

Twitter Blueでヘイトグループに認証バッジが

マスク氏はTwitter Blueの認証を収入源にしようとしていますが、これによって著名なヘイトグループいくつかが「認証」を得てしまいました。Twitter Blueは本来、有名人やブランド、政府関係者などへのなりすましを防ぐための仕組みですが、最近認証バッジを手に入れたのは、アンチトランスジェンダーのGays Against GroomersとかLibs of TikTokといったアカウントです。

白人至上主義者も認証バッジを手に入れています。たとえばオルト右翼のRichard Spencer氏、2017年の「Unite the Right」デモ(その中で、ネオナチに反対した男性が殺害された)を組織したJason Kessler氏などがいます。

LGBTQ+のナイトクラブでの銃乱射事件を受けて、一部の保守派政治家やコメンテーターはお悔やみを言うどころか、反トランスジェンダー発言を連発、それに同調する極右の波を広げています。マスク氏が反トランスジェンダーの旗頭とも言える人物たちにTwitterというメガフォンを取り戻させたことで、「トランスジェンダー側」と見なされる人を脅かす行為が勢いづいてしまってるのです。たとえば、トランスジェンダーの子ども向けに性自認を尊重するような医療を行なう病院の医師を脅迫するといったことが実際に起きています。

しかもアンチ発言は、根拠のないデタラメであることが多いのです。保守派コラムニスト・Kurt Schlichter氏は、コロラドの銃乱射を引き合いに出しながら、トランスジェンダーの人たちが小児性愛者であるかのようなツイートをしました。「我々は、どこかのバカがゲイバーで乱射したからって、小児性愛者を許容する必要はないと思います」Schlichter氏のフォロワーたちも「小児性愛者」という言葉を使って、トランスジェンダーは存在すべきでないという意見を繰り返しました。

極右YouTuberのTim Pool氏も、銃乱射事件の現場となったナイトクラブ「Club Q」に関する陰謀論をツイートしました。Club Qは、日曜日には地元のファミリーが訪れてドラァグクイーンのジョークを聞いたり、マドンナやシェールの物真似を見たりしながらブランチしていた場所なんです。でもPool氏は、マスク氏のものとなったTwitterからは何のおとがめも受けないと思っているせいか、Club Qでは「グルーミング(子供を手なづける)イベント」を行ない、性的虐待の準備をしていたと吹聴したのです。この有様について、「右派が反LGBTへの暴力から距離を置くのではなく、それをよしとするような反応は初めてだ」という声も上がっています。

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Appleの介入を期待する声も

「イーロン・マスク下のTwitterは、コンテンツ監視の大きな変更や停止アカウントの復活は、モデレーション協議会を作るまでは行なわないという約束を覆しました」ハーバード・ロースクールのサイバー法クリニックのクリニカル・インストラクター、Alejandra Caraballo氏は言います。そしてマスク氏は「非現実的か、ほぼ不可能」なコンテンツ監視手法を実装するという「空約束」をしたのだと非難しています。

「コロラド州でLGBTQの5人が殺害された、トランスにとっては追悼の日に、TwitterはアンチLGBTQアカウントのいくつかを復活させました。さらには『グルーミングしている』といったアンチLGBTQのレトリックも容認しています」とCaraballo氏。「広告主がTwitterから広告を引き上げるべきなのは明らかです。さらなる暴力事件が起こる前にAppleが介入し、TwitterをApp Storeから排除すべきです。」

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