ロジクールのゲーミングイヤホン「G Fits」レビュー:頑張ってる…んだけど

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ロジクールのゲーミングイヤホン「G Fits」レビュー:頑張ってる…んだけど
Image: Mark Knapp - Gizmodo US
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これなら半額くらいのゲーミングヘッドホンでも…と。

ゲーミングに特化したワイヤレスイヤホン、Logitech(日本ではロジクール) G Fitsが登場しました。それもUltimate EarsのUE Fitsライクな、自分の耳の形にフィットさせるタイプです。米GizmodoのMark Knapp記者がレビューしてますので、以下どうぞ!


ゲームに特化したヘッドホンは雨後のタケノコのように発生してますが、ゲーミングイヤホンとなると意外なほど層が薄いんです。もちろんゲーム用をターゲットにした無線/有線イヤホンも存在はしてるんですが、本気のゲーミングに使えるような低遅延の無線接続(つまりBluetoothじゃない)ができるイヤホンといったら、今までEPOS GTW 270 Hybridか、HyperX Cloud MIXしかありませんでした。

Logitech G Fitsは、そんなきわめてニッチな市場に参入してきました。既存の2つのイヤホンと違うのは、使い始めにイヤーチップをユーザーの耳にはめてから、内耳の形に合わせて固めてカスタムフィットさせることです。お値段229ドル(約3万2000円)とお高めなんですが、Logitech G Fitsの提供する価値は、ゲーミングヘッドホンの中でも普通のイヤホン市場の中でも、その価格には見合わなさそうです。

Logitech G Fits

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これは何?:LogitechのLightspeed接続と、耳に合わせたカスタムフィットができるイヤホン。

価格:229ドル(約3万2000円)

好きなところ:安定してラグなしの接続、ワイヤレスモードが2種類、カスタムフィットで着け心地が良い

好きじゃないところ:残念なマイク、許容範囲ぎりぎりの音質、中身に対して価格が高すぎる

ニュータイプのイヤホン(少なくともブランディング的には)

Logitech G Fitsにはこのバージョンひとつしかなく、色は黒と白の2種類。でもLogitech G Fitsは形も機能もUltimate Earsが2020年に出したUE Fitsにそっくりで、違いはLogitechのLightspeed接続の対応有無くらいです。

なのでLogitech G FitsはUE Fitsをゲーミングバージョンにしたものといってもいいんですが、価格は50ドル(約7000円)上がってます。ちなみにLogitechは、2008年にUltimate Earsを買収してました。

見た目はいわゆるイヤホン(ちょっと変わってるけど)

Logitech G Fitsは、ワイヤレスイヤホンによくある、小石みたいなケースに入ってます。というかむしろ何の変哲もなさすぎるくらいなんですが、特徴といったら周りの色が移りやすいことで、触るものの色をなんでも拾ってしまうようです。ケースのフタもやや頼りなくて、開け閉めするときグラグラします。ケースの充電はUSB-Cのみで、あ、この価格帯でワイヤレス充電ないんだ…って思います。あと、充電中とか充電完了とかを表示するライトもないのもけっこうびっくりします。

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Image: Mark Knapp - Gizmodo US

イヤホンとケースを合計すると、バッテリー持ちはLightspeed接続で使う場合は15時間(イヤホンが7時間、ケースが8時間)、Bluetoothで使う場合は20時間(イヤホン9時間、ケース11時間)です。これはイヤホンというカテゴリでは悪くないですが、Bluetoothイヤホンとかワイヤレスゲーミングヘッドホンの中では少ないほうになってしまいます。

ケースの中にはマグネット式の溝が付いたスロットがひとつあって、それでイヤホンをホールドしつつ、充電端子を接触させる形になります。イヤホンの形がわりと変わってて、丸い部分から下に向かって棒が伸びてるんじゃなく、丸い部分に棒が付いてはいるんだけど、棒が上と下にちょっとずつ出っ張ってます。その棒の部分をタッチしてコントロールができ、それぞれのイヤホンでデュアルビームフォーミングが可能です。

最初の耳の型取りは一発勝負

Logitech G Fitsを箱から取り出すと、イヤホン部分にはシリコンっぽい素材の柔らかなイヤチップが付いてます。まずこのイヤホンを耳の中に入れてから、内蔵のUVライトを点けることで柔らかいイヤチップ部分を固めるんです。これがちょっと熱くて不安になるし、固めた後は元に戻せないからチャンスは一度きりです。Ultimate Earsの場合、このプロセスで失敗したらやり直し用のイヤチップ素材をだいたい送ってくれるんですが、Logitechはそんなオファーをしてないみたいです。

このセットアップをする目的は、イヤチップをユーザーの耳の形にぴったりフィットさせて、外部の音を完全にシャットアウトする、パッシブノイズキャンセリングを完成させることです。アクティブノイズキャンセリングだと、マイクで周りの音を拾ってそれを処理して…ってことにバッテリーを消費しちゃうからです。あとはフィットを高めることで、耳から落ちにくくするってこともあります。

接続方法は2種類

Logitech G FitsはBluetoothのほかに独自のLightspeed通信をサポートしてるので、いろんな方法でゲームデバイスとつながれます。Bluetoothはほぼどんなものでもつなげられるし、LightspeedドングルはWindows、macOS、PlayStation 5、PlayStation 4、Android、Nintendo Switchで使えます。

Bluetooth接続は、Androidスマホとタブレットで長時間音楽や映画を見聞きして試したところ、だいたい安定してました。1回だけ音を拾わなくなって、でもデバイスから切断もしてないっていう謎の状態になりましたが、そのときはいったん手動で切断して再接続したら直ったし、その後同じことが起きたりはしませんでした。

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Image: Mark Knapp - Gizmodo US

Lightspeed接続は、すごく優秀です。ドングルから30〜40フィート(9〜12メートル)離れていても、その間に壁をはさんでいても、信号を拾ってくれました。30フィート以上離れるとさすがに接続が悪くなりましたが。つながってる間は音のレイテンシーはまったく感じず、Bluetoothみたいな帯域制限もないので、マイクを使うときに音質がガクッと下がることもありません。

ただ、LightspeedとBluetoothの切り替えは、左右どっちかのイヤホンを3回タップするだけ…なんですが、検知されるまでに何回かやり直しすることがたびたびありました。ちゃんとできたとしても、接続が切り替わるまでに数秒かかって、シームレスと言うにはほど遠いです。また操作するといちいちよけいなビープ音が入るので、どの操作が検知されてどのモードに切り替わったのかがわからなくなります。

Lightspeed接続には、長さ1インチ(約2.5cm)ほどのUSB-Aドングルを使っていて、USB-C-to-Aアダプターも付属してきます。ってことは、PS5の前面とかNintendo Switchの下とかAndroidスマホの下とかのUSB-Cポートに、取り扱い注意感あふれる突起ができることになります。これはスマートじゃないし、EPOSとかHyperXのゲーミングイヤホンはUSB-Cネイティブで、もっと合理的です。

あとはLogitech G Fitsは、Lightspeed接続してるとちょっと意外なくらい暖かくなります。ヘッドホンとかイヤホンが暖かくなるってあんまり見ません。熱くて着けれないほどじゃないんですが、あんまり良い気持ちはしないです。

音は良いけど、すごいってほどじゃない

音質に関していうと、まず最初に、つねにかすかな音が入ってることに気づきます。でも本来の音が出てるときはそれで紛れてしまうんですが、最高にクリアな音質を目指してはいないんだな、と感じました。

といっても、音のバランスはすごく良いです。Of Montrealの『False Priest』(幅広い音と複雑なミックス、ビジーさでオーディオのテストにはもってこいのアルバム)を聞くと、高音域でベルやシンバルを鳴らしつつ、低音はスムースなベースを響かせながらも、ミッドレンジをしっかりと打ち出せているのがわかります。低音はイヤホンのわりにはちゃんと重量感がありますが、質の良い大きなオーバーイヤーヘッドホンほどの豊かさは感じません。でも一番良かったのは、Lightspeed接続だとBluetoothがかけてる圧縮がないので、リッチでいろんな楽器満載の音をそのまま聞けることです。

この音質は、Logitech G Fitsのユニークなイヤチップによる部分もあります。このイヤチップは、型がきちんと取れていれば、外音をブロックして聞きたい音を耳の奥に届けてくれます。とはいえ、普通のカナル型イヤホン(たとえば僕が普段使ってるAnker Soundcore Liberty Air 2 Pro)に比べてパッシブノイズキャンセリングがすごく効いてるとも思いませんでした。

それでも、音質の良さはLogitechによるものです。フィットは良く、耳の各部分にかかる圧力のバランスが取れて、驚くほど快適でした。密封というのではなく、左のイヤチップは右ほどはフィットしなかったんですが、とにかく安定してて、Alabama Shakesの『Sound & Color』に合わせて激しく動いても外れることは1回もありませんでした。

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Image: Mark Knapp - Gizmodo US

そんなわけで音楽に関しては良かったんですが、ゲーミングに関しては低レイテンシーであること以上の良さはありませんでした。Logitech G Fitsはどんなゲームでもクリアに聞けはしたんですが、神経質な人とかゲーマーにとっては致命的な欠点があるんです。

まず大きいのは、タテの方向感覚を正確に捉えられなかったことです。『Overwatch 2』の新しいゲームモードでロボットを押してたとき、ハンゾーがすぐ近くの上の方に潜んでる声をはっきり聞こえたと思ったんです。でも実際は、ハンゾーは僕がそのときハンゾーの声を聞いたその場所にいたのであって、上の方ではありませんでした。SteelSeriesのヘッドホン・Arctis 9 Wirelessでプレイしてるときには、こんな音のポジショニングが問題になることはありませんでしたが、それだとまた全然違うゲーミングヘッドホンになってしまいます(とくにイヤホンじゃなくていいって人にはこっちのほうがはるかに良かったりもします)。

ダイナミクスの問題もあって、ある種の音と音を聞き分けるのが難しいことがありました。とくに、『Overwatch 2』の敵の足音と仲間の足音の聞き分けです。それが大して重要じゃないものもありますが、この種のゲームだと、文字通り生きるか死ぬかの問題になってしまいます。

イヤホンのマイクは、やっぱりイヤホンのマイク

良質なゲーミングヘッドホンで重要なのはマイクです。ゲームにおけるコミュニケーションとかマイクの質を重視する人には、Logitech G Fitsはお勧めできません。でも一応ちゃんと機能はしてて、『Overwatch 2』で仲間と会話してても、かけ声とかマイクの音質について苦情を言われたりはしませんでした。

録音して声をチェックしたときは、マイクが自分の声をしっかりと分離しているのがわかりました。空気清浄機の音とかキーボードの打鍵音といった環境音はだいたい消えていました。でも声の質はBluetoothイヤホンにありがちな、リッチさを欠いた音です。ヘッドホンみたいに口の真ん前にマイクがあるわけじゃないので、出てくる声をそのまま捉えられてないんです。なのでこの手のイヤホンは、言いたいことを友だちなり仲間に伝えることはできるんですが、ライブストリーミングとかDiscordでの長時間チャットとかには不向きです。

必要なアプリ、少なくとも最初は

Logitech G Fitsには専用モバイルアプリがあり、少なくとも最初は必須の存在です。最初のセットアップと型取りのプロセスはこのアプリで進めます。個人的には、イヤホンが僕のスマホとうまくつながらなくて、ちょっと手間取ってしまいました。アプリの中では、開封してからUVライトで固めるところまでを素早くやるようにって口酸っぱめに言われてるんですけど、そのわりにこのセットアップ自体がスムースにいかないので、ちょっと心配にもなりました。

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Image: Mark Knapp - Gizmodo US

アプリではEQのカスタマイズができ、5つのプリセットもあります。また左右イヤホンのバッテリー状況とかタッチ操作の割り当てもできます。あとはUVライトを光らせながらのセルフィー撮影もできますが、Logitech G Fitsを使うときの99.99%はUVライトオフなんですけどね。

Logitech G Fits、買うべき?

同じ価格ですごく良いオーバーイヤーヘッドホンが買えるので、正直Logitech G Fitsを勧めるのは難しいです。

いま存在するワイヤレスゲーミングイヤホンの中では多分ベストに違いないんですが、それは元々他の選択肢が少なすぎるせいです。EPOSのイヤホンにはマイクがなくて、ゲーム内のコミュニケーションができません。HyperX Cloud MIXは、Tom's Hardwareのレビューによると、つねに接続の問題があったようです。

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Image: Mark Knapp - Gizmodo US

Logitech G Fitsは何をさせても一応機能はするんですが、230ドルのイヤホンとしても、230ドルのヘッドホンとしても、出来が悪いんです。Bluetoothイヤホン、ゲーミングヘッドホンというカテゴリでは、どちらも100ドルでもっと良いものが見つかってしまうからです。でもひとつのプロダクトに全部を求めるとしたら、Logitech G Fitsでも大丈夫、そんな感じです。

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