みんなの憧れの青バッジ。
Twitter収益化を急ぐイーロン・マスクが「だれでも買えるようにする!」と宣言して1週間。開発チームに「7日までに用意できなければチームまるごとクビだ!」と言って実現したのはいいのですが、それまでセレブや要人についていた青バッジが灰色になって数時間で消え、本物となりすましの区別がつかなくなっています。
青バッジ取得手順
青バッジを買えるのは今のところ米英豪カナダ・ニュージーランドのiOSアプリだけですけど、次の手順を踏むだけで簡単に取得できます。
アプリのプロフィールから「Twitter Blue」をタップすると、一番上に「Blueサブスクライバーのみなさまには認証済みアカウントと青バッジが付与されます」と表示され、一番下の「Subscribe」ボタンを押すとチェックがつくしくみですね。あっけないほど簡単。
青バッジの取得に本人認証は要らない
ただこの青バッジ。上の動画を見ればわかるように、本人認証は一切ありません。
ふつう認証バッジといえば、身分証明書の提示、電話番号の確認、メールアドレスの確認、外部SNSの登録などなどと、二重、三重に本人確認を重ねて初めてつく「本人に間違いないことの証」のはずですが、お金を払えば本当にだれでもチェックがつくみたい。いままでの認証バッジとは似て非なるものと考えたほうがよさそうです。
これまでの青バッジは灰色のOfficialラベルに
公式マークと区別ができないとの非難を受け、Twitterはこれまで青バッジがついてた著名人や要人のアカウントには灰色の「Official(公式)」ラベルを無料でつけると発表しました。
A lot of folks have asked about how you'll be able to distinguish between @TwitterBlue subscribers with blue checkmarks and accounts that are verified as official, which is why we’re introducing the “Official" label to select accounts when we launch. pic.twitter.com/0p2Ae5nWpO
— Esther Crawford ✨ (@esthercrawford) November 8, 2022
すぐ消えたOfficialラベル
従来の青バッジが灰色のOfficialラベルになったというわけで、青いバッジでセレブ・要人と肩を並べられるかもとバッジを買った人たちは思ってもない肩透かしに遭います
いっぽう、これまで青バッジだったインフルエンサーからは「灰色のOfficialラベルが目立たなさすぎる」という声が沸き起こります。イーロン・マスクがフォローする数少ないユーザーのひとり、YouTuberのMKBHDからも「青バッジは返信、RTにも表示されるのに、Officialラベルはプロフィールとタイムラインにしか表示されない」と言われ、イーロンは「I just killed it(今Officialラベル無くしたよ)」と、すぐ返信。
こうしてOfficialラベルは登場から数時間で消滅してしまい、タイムライン上では認証バッジ(お金で買える)もOfficialラベル(審査が必要)も、見た目は同じ青いバッジで表示されるようになったのです。
Update: It's now gone https://t.co/5C0t7txi14
— Marques Brownlee (@MKBHD) November 9, 2022
で、課金バッジとOfficialラベルはどう見分けるの?
当面は青バッジ1本になるとイーロンは言っていますが、その言葉が何時間持つかはまったく予見できません。このテキストを書いてる間にも言ってることが変わりそう。
とりあえず、原稿執筆段階ではバッジは1種類になっていて、プロフィールでもライムラインでも青く(ダークモードなら灰色)に表示されます。色で区別はできません。
唯一見分ける方法はバッジを押すことです。
Officialラベルは「アカウント情報:政府・報道機関・芸能など所定のカテゴリにおける影響力をもとに認証されたアカウントです」と表示されます。

いっぽうTwitter Blueにお金を払ってバッジを取得したみなさまには「認証済みアカウント:Twitter Blueを購読することにより認証されたアカウントです」と表示されます。

ただクリックしないとわからないので、混乱は必至です。青バッジが購入可能になったことを知らない人が多いので。
なりすましの偽情報が氾濫
購読可能な青バッジはアメリカの中間選挙が終わるまで待って水曜解禁になったわけですが、登場するなりTwitterには有名人のなりすましアカウントが溢れかえっています。NBAのレブロン・ジェイムズ、 MLBのアロルディス・チャップマン、NHLのコナー・マクデイビッドのパロディアカウントにまで青バッジが入って、嘘のトレード情報などがまことしやかに拡散。3つとも即日アカウント凍結になりましたが、混乱の収拾までにはまだ時間がかかりそうです。
ニンテンドーオブアメリカを名乗る偽アカウント(@nlntendoofus)にも青バッジが入り、中指立てた(ファ〇クユーのジェスチャー)マリオの画像が延々何時間も公式と見分けのつかない状態で掲載されちゃってます。これ、任天堂としても、黙っていられませんよね…。
Can't imagine why all the advertisers are pulling out of Twitter lmao pic.twitter.com/pg55WXkxhS
— Jason Schreier (@jasonschreier) November 9, 2022
「広告主が逃げるわけだよ」
プライバシー、セキュリティ、コンプライアンスのトップが辞任
混乱のなか、Twitterでは情報セキュリティ最高責任者のLea Kissner氏、プライバシー成功責任者、コンプライアンス最高責任者が3人まとめて辞任。
Twitterの法的運営に責任をもつ重要ポストがすべて空席になる事態となっています。これでは米連邦取引委員会(SEC)が求める合法的な運営がままならないということで、一連の流れについてはSECも注視しており、介入も辞さない構えです。
SECとの契約違反の可能性も
Twitterはセキュリティ目的で収集したメアドと電話番号を広告目的で利用していたことで、SECから春に1億5000万ドル(約213億円)の罰金を受け、新機能リリース前にプライバシーの問題がないか十分評価を行なうよう命じられています。ところが今回のTwitter Blueのローンチではプライバシーの事前評価は一切行なわれていませんでした。2回目の違反とみなされた場合、罰金は1回目の10倍になるとも言われています。単純計算で2130億円!
Twitterは収益の9割が広告収入です。5割をサブスクリプションからの収入に転じたいイーロン・マスク。意気揚々と青チェックを有料化した途端、罰金で全部パーになる…なんてことになりそうでハラハラドキドキです。