2023年、広告が表示されそうな最新(最悪)の場所10選

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  • author Thomas Germain - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
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2023年、広告が表示されそうな最新(最悪)の場所10選
Image:Shoshana Wodinsky

ますます多くの場で、タゲられます。

先週、僕は1日にいくつ広告を見ているのか数えてみました。24時間きっちりじゃないですが、朝のニュースを読むところから、朝食のラジオから、ソーシャルメディアのフィード、コーヒーショップに行く途中の看板まで、認識できる広告はすべて数えあげました。が、午前10時にはその数は800件を超え、もう数えきれなくなりました

あらゆる場所に広告がある現代

2022年が終わりに近づく今、僕らは広告に圧倒されてます。デジタル広告に関するブログMobile Dev Memoを運営するEric Seufert氏は、現状は「何もかもがアドネットワーク」だと表現しました。っていうのは今、たとえばホテルチェーンが広告枠を売り出したりして、今まで想像つかなかったような場所が枠になりつつあるんです。

米国では、免許更新とかで行く陸運局までもが広告枠を売り出してます。

スーパーやホテルといった企業は、彼らが消費者データという宝の山を持ってることに気づいて、GoogleやFacebookみたいなデジタル広告システムを立ち上げつつあります。エレベーターや病院やガソリンスタンドやタクシーの後部座席といったありとあらゆる場所にスクリーンが設置されていて、そこに企業が広告を載せてます。そして世界中のエンジニアが、そんな無数のスクリーンの広告をより精緻なターゲティングの場に変えようとしています。

てなわけで、2023年に我々が広告を目にするであろう最新そして最悪の場所10選をまとめます。皆様、どうか素晴らしい新年を。

1.見慣れた映画やドラマの背景にターゲティング広告

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Image: Amazon

映画やドラマの中にスポンサーの商品をさりげなく配置する、プロダクト・プレイスメントそのものは別に新しくありません。でもテクノロジーのおかげで、それがさらに(良くも悪くも)進化しています。

AmazonとNBC Universalは、広告主が既存のTV番組や映画の背景にコンテンツを挿入できる広告サービスを立ち上げました。上の画像左側の青い枠、ちょっと浮いてますけど、これが広告枠なんです。でもこんなのは始まりにすぎません。ストリーミングサービスも、既存の番組内にターゲティング/パーソナライズされた広告を入れられる広告メニューを開発中です。

つまり、ユーザーごとに違う広告が、番組映像の中に入ってくるわけです。

この手の「バーチャル」な広告やプロダクト・プレイスメントは今までもあって、Amazon Primeでは、たとえば『ジャック・ライアン』、『ボッシュ:受け継がれるもの』、『ジャック・リーチャー-正義のアウトロー-』『Leverage:Redemption』などなどで見られます。これからもし何らかの映画の背景に看板があったら、そこにある広告には、前の日のAmazonの買い物が反映されてるかもしれませんね…。

2.買いたいものの前に

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Image: Amazon

広告業界で最近一番の変化は、「リテールアドネットワーク」なるものです。AppleやGoogleといったプラットフォームも各国政府も、広告業者のデータ収集への規制を強めているので、サードパーティのデータ入手が難しくなってますよね。顧客から膨大なデータを収集している小売業者にとっては、それがビジネスチャンスになってるのです。

過去数年で、消費者との接点を持つ大企業はほとんどすべてが広告ネットワークを立ち上げました。米国7-ElevenもBest Buyも、ChewyもCVSもDollartreeもDoordashもeBayもHome DepotもInstacartもKroger(最近Albertsonsと合併)もLowe’sもMacy’sもMarriottもTargetもWalgreensもWallmartもWayfairもUltaも…リストは延々と続きます。

Amazonに至っては去年だけで広告収入が360億ドル(約4.9兆円)に上り、Amazon Primeなどのサブスクリプション全部合計した売上よりも多いんです。

Amazonで広告なんて見たっけ?と思う方、何か買いたいものをAmazonで検索してみてください。欲しいものの上に、スポンサーされた商品がいっぱい出てきます。VoxがAmazonの検索結果を調べたところ、1ページ目にはスポンサー商品しか入ってないことも多かったそうです。ネット全体がそうなっていくのか、てかリアルな世界もそっちに行ってしまうのか…と思うとどんよりしてきます。

3.TVでポップアップ

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Image: Vizio

ネット上の嫌われ者・ポップアップ広告が、TVでも見られるようになるかもしれません。Vizioが発表したJump Adsという新たな広告フォーマットは、リアルタイムに流れるTV番組の上にバナー広告を表示させます。そう、オンラインにあるようなバナー広告を、TV番組画面の下のほうに差し込むんです。多分ストリーミングサービスの広告になるんでしょうね。

Vizioいわくこの広告は、番組を邪魔するようなものにはならない…そうです。またJump Adsという名前も変える予定とのこと。

4.仕事用アプリの中で

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Image: LinkedIn

オフィス仕事の人はとくに、毎日長時間画面に向き合ってますよね。今までもWebで調べものするときとか、広告でつい気が散ってしまうことはありましたが、それはせいぜいブラウザを開いてるときくらいでした。でも今、仕事で使うアプリの開発会社が、アプリ上のスペースの価値に気づき始めたんです。

Microsoftは今年、 iOS版とAndroid版のOutlookをアップデートし、広告を入れられる受信箱の範囲を大幅増量しました。さらにMicrosoftは、広告を貼ることで低価格化するPCの開発プロジェクトへの人材を募集しています。Microsoft傘下のLinkedInにも、新広告フォーマット「Document Ads」が追加され、ユーザーのフィードの中に長文文書を貼り付け可能になりました。

Zoomも実験的に広告を入れてましたが、それは今年4月に終了したので、とりあえずオンライン会議は広告なしのままになりそうです。でもSlackチャンネルをコカ・コーラあたりがスポンサーし始めるのは、時間の問題でしょうね…。

5.Appleデバイスで

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Image: Anton_Ivanov (Shutterstock)

Appleはその美しいプロダクトとすっきりしたインターフェースを自賛してきました。でもAppleも人類も、広告からは逃れられない運命なんでしょうね。今年AppleはひっそりとApp Store上の広告を増量し始めていて、Apple TV+に広告を入れることも議論してるそうです。

でもこんなの多分、始まりにすぎません。Appleはプライバシー保護の一貫としてiOSのプライバシー設定を増強することでMetaの広告ビジネスをメタメタにしただけじゃなく、Metaの穴を自身のアドネットワークで埋めようとしてるんです。広告業界に詳しい人は、Appleの狙いは最初からそこだったんだろうと言ってます。Appleはまた、小規模な広告主をFacebookやInstagramから刈り取るためのチームを構築してるようです。

広告っていってもAppleだからプライバシーに配慮してるんじゃない?と思う人もいるかもしれませんが、どうなんでしょうね。Apple自身が、ユーザーが思ってる以上たくさんのデータを収集してるくらいなので…。

6.お金払って買った商品のパッケージに

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Image: Patrick McGee

何か買ったら、もう広告なんて必要ないじゃんと思われるかもしれません。でも広告のプロは「過小評価されたアテンション」って話をよくしてます。つまり、消費者のアテンション(注意)が得られるのにみんなが使わないから安く使える場所、それを発掘していこうってことです。商品パッケージは、そんな過小評価されたアテンションを得られる場所のひとつです。

Amazonの箱にも広告が入り始めたし、シリアルの箱の裏ってこともあるし、フォーチュンクッキーの裏に(よりによってFTXの)広告が入ってたこともあります。これからはさらに増えていきそうです。

7.もちろんメタバースにも

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Image: skipper_sr (Shutterstock)

現状、メタバースには広告はありません。でもだからって、メタバースにマーケティングの機会がないわけじゃありません。

というかMetaはすでにメタバースの良さを広告主に対してアピールしていて、企業もたくさん参加してます。JP Morgan Chaseは今年2月、メタバース初の銀行を開設しました。でも、ここに貯金はできなくて、メタバース上のJP Morgan Chaseは「ラウンジ」でしかないんです。でもリアルの銀行のラウンジにはずっとはいられないけれど、バーチャルなJP Morgan Chaseのラウンジには好きなだけ居座って大丈夫です。

すでにメタバースは広告やマーケティングで形成されつつあって、もっとわかりやすい形の広告が出現するのも時間の問題です。そもそもFacebookもInstagramも広告モデルで動いてるんだから、まあそうなりますよね。

Metaの最新ヘッドセットのプライバシーポリシーでは、顔と目の動きをトラッキングしてターゲティングに使うの?と思われる内容に同意させられます。メタバースはMetaにとって、我々の感情や感覚までもデータ化してお金にする千載一遇のチャンスなんでしょうね。

8.Webサイト上で、ずーっと付いてくる

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Image:LightField Studios (Shutterstock)

これは2023年まで待つ必要はなく、もうすぐ始まります。GoogleがSide Rail Adsという広告フォーマットを発表したんですが、これはパソコンみたいな横長画面でページを見たときにWebページの両サイドに張りついて、スクロールしてもずっと付いてきます。ひとつの広告が友だちになって、自分と一緒にページを見てるような感じ、かなあ。

9.Uber、Lyft、というかあらゆるアプリの中

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Image: Michelle Grant (Fair Use)

人生において確実なものは3つしかありません。死、税金、そして広告です。だから広告は、赤字垂れ流しのテック企業にとって命綱にもなりうるんです。みんな知ってて使ってるのにもうかってない会社といえばUber、そしてLyftですが、彼らもご多分に漏れず広告に頼り始めました

さらにUberは一歩進んで、プッシュ通知で他社の広告を表示しています。ユーザーから見たらもう何のためのアプリだかわからなくなってきますね…。

でも、ライドシェアアプリだけじゃありません。上に書いた大規模小売事業者がだいたいそうであるように、今まで広告のなかったいろんなアプリが広告を入れるようになってます。

10.ゲームの中で

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Image: icemanphotos (Shutterstock)

ゲームをプレイするってことは、何時間も画面を見続けるってことで。つまり広告主にとっては、何かを売り込む絶好の機会でしかありません。ゲーム開発会社も、このチャンスにしっかり気づいてます。

ゲーム内広告そのものは、だいぶ前から存在してました。米国のバラク・オバマ大統領は、2008年の大統領選挙キャンペーンを『Guitar Hero III』や『Madden NFL 09』といったゲームの中で展開しました。2012年の選挙キャンペーンでも『Madden NFL 11』や『NBA 2k11』の場を利用し、無事再選を果たしましたよね。

でも当時のゲーム内広告はまだ初歩的で、ゲーム自体の中にプロモーションがあらかじめ埋め込まれてただけです。今広告主が求めてるのは個人個人に合わせたターゲティング広告で、それが今実現されつつあります

MicrosoftはXboxの中で広告主がプレイヤーにリーチできる広告システムを開発してるし、SonyもPlayStationを使って同様のことをやっています。PCゲームでもモバイルゲームでも、似たような例が増えてくることでしょう。広告業界ウォッチャーは、ゲーム業界ではもうすぐ広告が爆発するだろうと予言してます。