犬の行動特性には遺伝子的な要因がある

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犬の行動特性には遺伝子的な要因がある
Photo: Shutterstock

何十頭という羊の群れをうまく誘導できる犬もいれば、自分より小さなものを追いかけるのに好奇心旺盛になる犬もいます。こうした行動特性の違いは、犬と人間の長い歴史のなかで培われた遺伝的な要素がなにか関係しているのでしょうか?

体型から病気のリスクまで、約20年にわたって犬の遺伝子に関する研究を続けているドッグゲノムプロジェクト。最新の研究では、世界中の純血種、雑種、半野良、ペット犬の親戚の野良の遺伝子など4,000頭以上のゲノムを分析。この結果から、遺伝的に異なる特徴を持つ系統が10種類特定できたといいます。行動特性が似ている犬種(視覚で狩りをする犬と、嗅覚で狩りをする犬など)は、同じ系統に属することがわかりました。

犬と人間の長い歴史のなかで

このデータを4万6000頭以上の純血種の犬を調査した結果と照らし合わせると、それぞれの系統には飼育されていた理由と関係のある独自の行動特性が見られました。例えばテリアは、獲物を追いかけることに夢中になる傾向がありますが、これは歴史的に害獣対策として飼育されていたことから合理的といえるようです。

さらに遺伝的変異についても調査したところ、例えば牧羊犬は、長い間家畜の放牧に役立ってきた行動学的にもユニークな存在ですが、研究によると軸索誘導(複雑な行動特性を調節する脳の結合の基礎となるプロセス)を制御する遺伝子に関連する変異が確認されました。このことは、牧羊犬が放牧を手伝う際の集中力についても説明できるかもしれません。またこの変異体のなかには、人間のADHD(注意欠如・多動症)との関連が指摘されているものもあります。

長い人類の歴史のなかで、多くの動物が人間により家畜化されてきましたが、なかでも犬は最初の家畜だったと考えられています。特にここ数百年は、犬の交配がさかんに行なわれるようになったこともあり、最も多様な生き物になりつつあります。ところが今回の研究では、現代の犬の遺伝的な行動に見られる違いの多くは、現代の人間による意図的な交配によって培われたものではないと示唆しています。

今後の研究では…

研究者たちは、遺伝子変異の研究を継続する意向を示しています。また今回使用された独自のアプローチから、今後は病気のリスクと犬の遺伝子がどう関係するのか研究することも可能になるようです。「犬も人間も同じ病気にかかり、発症の仕方も似ています。犬の遺伝的な健康について学ぶことは、人間の罹病性を理解することにもつながります」と、論文著者でアメリカ国立ヒトゲノム研究所のElaine Ostrander氏はコメントを残しています。

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