組み立てPC好きにはたまらないコンセプト。
Dell(デル)が「修理できるノートPC」に本気で取り組んでいます。Dellは昨年、少ないネジとより多くの持続可能な素材によって構成されるコンセプトノートPC「Concept Luna」の初期バージョンを発表しました。あれから1年。Concept Lunaは完全モジュール化を目指して進化しています。
モジュール化で修理とリサイクルが簡単に
Lunaの最新バージョンは、完全分解までにかかる所要時間がたった1分。バラした後に残るのは、ディスプレイと筐体だけ。美しい。数カ月前にChromebookバージョンを出したFrameworkとは異なり、Concept Lunaはドライバー要らず。ロックを解除するための工具(下の動画で5秒あたりに登場)は必要ですけどね。また、Dellは大規模なノートPCの分解と修理を可能にするために、ロボットによって作業をオートメーション化しました。ごみゼロを重要視してのことだそうです。
少なくとも、Concept Lunaはより多くのデバイスがモジュラー式になる未来が近づいていることを示してくれています。たとえば、Lunaの各モジュールにはすべてQRコードが割り当てられているため、理論的には必要なモジュールを新しいものと簡単に交換できるようになるはずです。また、交換したモジュールのリサイクルも簡単になります。
モジュール化は環境と気候への負担も軽減
Dellのような大企業がモジュール化に踏み切れば、他の企業も後に続くしかなくなると思われます。特に、少ないスペースを有効に使いたい人や、ノートPC好き、環境破壊や気候変動に加担する罪悪感から逃れたい消費者にとってはグッドニュースです。気候変動を遅らせるため、環境への負担を減らすためにできることをなんにもしないよりはよっぽどマシです。それがその人にとってどうしても必要なものならなおさらです。
お願い自分で修理させてと思わせる現システム
あと、過去にDell製品を修理したときのことも考えちゃうんですよね。昨年XPS 15を購入したんですけど、届いてみるとヘッドホンジャックが機能しなかったんです。Dellの修理担当がきてくれたのはいいけど、そこで今度はBluetoothの欠陥がみつかって、結局XPS 15をDellに送って修理してもらうことに。へこむ経験でした。Frameworkのように、パーツに付いているQRコードからヘルプガイドを表示させて、自分でなんとかできるような仕組みがあればいいのにって思いましたもん。
Frameworkに比べると、DellはXPS 15みたいな一体型で簡単にバラせないノートPCをつくっていて、まだノートPCモジュール化革命の波には乗っていないんですよね。ノートPCを修理に出さなくてもいい時代に向けて、Concept Lunaを加速させてほしいものです。
Lunaのようなコンセプトを加速させるのは企業努力よりも法律のほうが有効なので、バイデン政権が「修理の権利」の法制化を急いでくれればと思います。僕の夢は、修理ができるだけでなく原材料調達チェーンの人権侵害などにも配慮したFairphoneをデスクに置いて、Concept Lunaのもとにモジュール化された修理可能バージョンXPSで作業することです。