マスク生活をするようになって、全メガネユーザーが困ること。それは曇ること。マスクにこもった呼気でめちゃくちゃ曇ります。ひどいときはまったく前が見えません。危ない! マスクをつけてもメガネが曇らないという警視庁のライフハックがSNSで話題になりましたが、そもそも曇らないメガネって作れないの? スイスはチューリッヒ工科大学による最新研究によれば、YES、作れます。
マスクをしているときにメガネが曇る原因
なぜメガネは曇るのか? これは、湿気の中の水蒸気(マスク問題だと呼気)が冷たいガラスに当たり、冷えることで目に見える状態にまで液化するから。メガネ曇りは特に冬に起こりやすく、外から暖かい室内に入ったときや、最近だとマスク装着時に発生します。曇るのはメガネだけではありません。身近なところだと車のガラスも曇ります。困りますよ、下手したら事故ります。
解決策:ガラス(レンズ)を温めよう
そこで、チューリッヒ工科大学の研究チームが考えた対応策は、ガラス(メガネならレンズ)そのものを温めてしまうというもの。
車の問題といえば、フロントガラスが曇るのもですが、直射日光にさらされると金属パーツがめっちゃくちゃアツくなるのもあるあるです。金属は効率的にエネルギーを伝導するので、つまり熱を吸収しやすい。曇ると金属アツいという車のあるある問題を掛け合わせたのが、チューリッヒ工科大学の作戦です。
研究チームのアイディアは、ガラスの表面に金の層をコーティングするというもの。ガラスの透明性を維持し、コストも最低限に抑えるよう薄いうすーい金粉の幕のようなものをコーティングします。金の層を電気絶縁体である酸化チタンの層で挟むのですが、3層あわせてもコーディングはたったの10ナノメートルほど。金箔と比べると1/12の厚さです。
金の層でピンときた人、正解! 金の層が太陽からの紫外線を吸収し、その熱でガラスを最大8度まで温めることで曇りを防止します。コーティングはほぼすべての光を通すので、見え方に変化はありません。また、コーティングが薄いので柔軟性があるのもよし。

問題点:冬に弱いところとコスト
いいね、さいこー! すぐ曇らないメガネ&車のフロントガラス作ってください! とはやる気持ちをぐっと抑えて、この方法マイナス点もあるんです。太陽光から熱を発生させるので、日照時間の短い冬は使えないときも多いということ。ただ、研究チームは楽観的(?)で、エネルギー伝導力に優れた金ならばメガネのツルに小さなバッテリーを仕込むなど、(太陽がでていない間は)ほんのわずかな電気で曇りを防止すればいいといいます。
残る問題はやはりコスト。金をほんのちょっとしか使わないとしても金は金ですからね。チームは、金の代替となりそうな金属を現在模索中。
ちなみに、車のフロントガラスに金レイヤーを入れたら車内はどれだけ灼熱に…と恐ろしくなりますが、実際は逆に涼しくなるそう。これは、金の層が赤外線を吸収するからなんですって。
冬は曇らず、夏は涼しく。実用化されたらいいですね。
Source: ETH Zurich