PERIMETRON・神戸雄平の“アタマの中”を具現化するPCとは

  • Sponsored By インテル株式会社
  • author 照沼健太
  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • はてな
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …
PERIMETRON・神戸雄平の“アタマの中”を具現化するPCとは
Photo:橋本越百

インテルが今年スタートさせた、新たな挑戦を続けるクリエイターを支援するプログラム「インテル® Blue Carpet Project」。その一環として発足したコミュニティー「インテル® Blue Carpet Club」では、クリエイターの創作をサポートできる「理想のPC」を共に作り上げるサポートを行なっています。

今回、「インテル® Blue Carpet Club」に新たに参加することになったのは、常田大希率いるクリエイティブ集団PERIMETRON所属の3DCGアーティスト・神戸雄平(かんべ ゆうへい)さん。King Gnuやmillennium paradeなど、数々のミュージックビデオを手がけてきた神戸さんに、現在の制作環境から理想のPC像、そしてクリエイターとしてのキャリアについて伺いました。

神戸雄平(かんべ ゆうへい)

名称未設定

PERIMETRON所属。メンバーのOSRINと意気投合し、2017年Studio CoastでのDaiki Tsuneta Millennium Parade(DTMP)のライヴ演出から関わり、2018年春に正式加入。独学で3DCGを取得し、King Gnuの「Flash!!!」MV(2019年)で初めて映像制作者に。現在、3DCGクリエイター・ビジュアルエディターとしてチームのクリエイティブを支えている。

公式Twitter: @mesoism_ 公式Instagram:@mesoism

遠回りにも見える、神戸さんの異色キャリア

──神戸さんはそもそもCGアーティストを目指していたわけではなく、大学の教育学部を卒業後、広告関係の会社に就職していたそうですね。

神戸雄平さん(以下、神戸): もともと高校生の頃からクリエイターという仕事に興味はあったんですけど、どこかで「どうせ自分には無理だろう」と思う部分があって諦めていました。

大学も親が教育関係の仕事をしていたことから、なんとなく教育学部に進んだという感じでしたね。それでも「クリエイティブなことに関われたらいいな」という思いは持ち続けていて、新卒で新聞の折り込みチラシとかカタログを作っている広告制作会社に就職しました。もっとも自分はクリエイターでもなく、企画営業職としてスーツを着て働いていたんですけど。

──そこからクリエイターへ向かった経緯とは?

神戸:最初の会社を一年足らずで辞めてしまって、未経験でも採用してくれるテレビのバラエティー番組の編集をしているポストプロダクションの会社に入社したんです。社内にはCGをやっている人もいれば、映像編集をやっている人、グラフィックを作っている人もいて、そこから「CGアーティスト」という職業を意識し始めました。

──編集やグラフィックではなくCGに惹かれた理由はどこにあったのでしょうか?

神戸:バラエティー番組の編集で、「After Effects」を触ってモーショングラフィックを作っているときに、「Element 3D」というプラグインを触り始めたら「これはおもしろい」とPERIMETRONのサイトで最初に出てくるピンク色の頭もそのプラグインで作ったものなんですけど、もっと本格的に作ろうと、2018年に「Cinema 4D」を買ってCGを始めました。

──「CGなら自分でもできそうだ」と思えたのでしょうか?

神戸: 僕はイラストレーター、アニメーター、彫刻家など、アナログでものを作れる人に憧れがあって、そういうのって練習しないと上手くならない分野だし、自分には向いていないと最初から諦めたままで、「カッコいいな」と指をくわえているだけでした。でも、CGの場合、パソコンは昔から好きで触ることに抵抗がなかったから「こうしたら、こうなるだろうな」というのがなんとなくわかるので、すんなり没入することができましたね。

正直なところ、CGって、ある程度勉強すればそこそこのものはすぐに作れるんじゃないかと思うんですよ。そうした小さな達成感の積み重ねがしやすいという点も、僕とは相性が良かったのかもしれません。

──とはいえ、やはりテクニックの向上というものはありますよね。実際、過去のインタビューでは、常田さんが「ここ2年くらいでCGのクオリティーが飛躍的に上がった」と評価されていました。神戸さんとしては、どのように技術を伸ばしていったのでしょうか?

神戸:「ひたすら作る」じゃないですかね。当初、PERIMETRONの周辺には僕しかCGをやる人がいなかったので、どんなに下手でも、とにかく作って発表するしかない状況に置かれていました。「PERIMETRONが作るものはすごいけど、CGだけは下手だよね」っていう意見も多々あって、もちろんそこに自覚はあるし、それがなおさらクリエイティブに向き合うきっかけになったりもして。

神戸さんが制作を担当したmillennium parade「Veil」(2019年)ミュージックビデオ

──現場で鍛えられた、と。

神戸: 自分の頭の中にある好きなものを作るのと、仕事として作るのとではプレッシャーが別次元です。技術的にも、YouTubeのチュートリアルだけやっていても、そこでやった以外のことはできるようにならないじゃないですか。

でもPERIMETRONではそうじゃない。やるしかない。他のPERIMETRONのメンバーも、担当している作業は全然違うけど、同じ事務所でひたすら徹夜でハードワークしているわけですよ。その姿には背筋が伸びたし、大きな影響を受けました。「こいつが寝るまで俺は寝ない」みたいな(笑)。

──(笑)。

神戸:だから、最近でいうとKing Gnuの「カメレオン」は悔しかったですね。僕もよく一緒に仕事をしているCGアーティストの方が担当しているんですけど、クオリティーがすごくて……やっぱり悔しいじゃないですか。「昔は俺しかおらんかったやんけ」って。だから「すぐには観てやんないぞ」みたいな感じで、しばらくチェックしませんでした(笑)。

──仲間でありライバルなわけですね。

神戸:他の誰よりも、PERIMETRONの仲間にいちばん褒められたいですからね

グラフィック性能を最重要視する、神戸さんのPC環境

──現在制作で使われているアプリケーションを教えてください。

神戸: CG制作のメインソフトは「Cinema 4D」を、キャラクターのモデリングには「ZBrush」を使っています。あとは「Adobe Substance 3D」をはじめ、アドビ系のアプリをたくさん使ってますね。他にも、キャラクターの衣装周りでは「Marvelous Designer」、地形や風景では「World Creator」、案件によっては「Unreal Engine」「TouchDesigner」「Blender」なんかも使います。

神戸さんが制作を担当したmillennium parade「BON DANCE」(2021年)ミュージックビデオ

──たくさんのCG/グラフィック系アプリを使っているようですが、複数同時に立ち上げて作業するのでしょうか?

神戸:基本的には2〜3個同時に立ち上げた状態で仕事をしていますが、レンダリング中だけは別ですね。レンダリングしながらグラフィックソフトを触ると落ちてしまうことが多いので、他のアプリは立ち上げず、別のPCで作業をするようにしています

──PCのスペックで重視している点は?

神戸やっぱりGPUとCPU、そしてメモリーですね。一つのプロジェクトで400GBくらいの容量を平気で使うのでストレージも重要ではありますが、その辺は外付けすれば対応できます。なので、そこは重視したいところです。

神戸雄平を加速させる、新PCが完成

──今回、インテルにリクエストしたPCスペックを教えてください。

神戸:実は「こういうスペックにして欲しい」という具体的なリクエストはしませんでした。一旦、普段使っているソフトウェアや、現在のPC環境を型番まで含めて詳細にお伝えしたんですが、インテルさんからご提案いただいたスペックがものすごくて、「いいんですか!?」と、涙がちょちょぎれるレベルでした(笑)

神戸雄平さんのカスタマイズPC

221129_gizmodo_060_re

CPU:Intel Core i9-13900K

GPU:ASUS-TUF-RTX3090-O24G-GAMING

Motherboard:ASUS ROG STRIX Z690-F GAMING WIFI

CPUクーラー: iCUE H150i ELITE CAPELLIX 水冷式 CPU クーラー

Storage:SSD 8TB

RAM:DDR5 128GB

モニター: JOLED 「Eyecio ™」(アイシオ)


緻密な3D CGの作品を作り出す神戸雄平さんのモニターは、ソニー株式会社とパナソニック株式会社の有機EL事業を統合し、2015年に誕生したJOLED社による27インチ有機ELディスプレイ「Eyecio ™」(アイシオ)

【JOLED社からのコメント】

製品の特徴は、世界初の27インチ 4K OLEDパネル搭載の「先進」モデルであることです。暗部の黒階調も完璧に再現する高コントラストとなっています。また、sRGB比138%でより豊かな色再現性、左右上下どこから見ても綺麗な広視野角特性、目への刺激を低減するブルーライトレス、スポーツやゲーム等のスピーディーな動きもブレなく再生する高速応答性など、さまざまな性能を兼ね備えています。

──CPUに13世代の最上位となるIntel Core i9-13900K。そしてメモリはDDR5で最大128GBなど、たしかにかなりのハイスペックです。

神戸:GPUについても、3年ぐらい前に初めてWindows PCを買ったときはそこまで良いものを積むことができなかったなあ……。自分の作品や仕事を見ていただき、ここまでしてくれたんだなと感じられてとてもうれしいですね。

──ちなみにCPUは、レンダリング中のバックグラウンド作業時にフリーズする問題が大幅に緩和され、マルチタスクも可能になっています。13世代は12世代と比べCinebechを使ったベンチマークで40%性能が向上しているようです。

神戸もう「レンダリング時間かかるんでちょっと待って下さい」なんて言い訳もできないですね(笑)。先ほどお話ししたように、これまでレンダリング中は別PCを使っていたので、後々メインPCにデータ移行する手間があったんですよ。そうした時間節約にもなるし、PCをたくさん持たなくていいので助かりますね。

221129_gizmodo_147_re
担当者からスペック説明を聞き、興味津々の神戸さん

──使用するにあたり、神戸さんはこのPCにどんな期待をしていますか?

神戸やっぱりスピードです。というのも、長い時間をかけてCGを作って、いよいよ書き出しという段階まで持っていくじゃないですか。そこからレンダリングを始めると、普通に「書き出し完了まであと1日」とか表示されて、納期に間に合うかめちゃくちゃ不安になるんですよ。

──その場合、どう対処していたんですか?

神戸: 自分が考えていた画質、サンプル数から数値を落として書き出して、後処理でノイズを減らしたりして整えていました。PCのスピードが速くなればレンダリングにかける時間も減らせるし、作業自体もギリギリまで粘れるようになるのは、クオリティー向上につながると思います。

どうしても間に合わない時は、海外サーバーにプロジェクトをアップしてお金を払って書き出ししてもらうレンダーファームを使うこともあります。でも、レンダーファームに使ったお金を経費として請求しづらい案件も多くて、やればやるほど貧乏になるという状況があったんですよ。それを減らせるというのは、本当に大きなメリットだと思います

クリエイターがスポーツ選手やミュージシャンのようになれる世界へ

──CGの世界は日進月歩だと思いますが、神戸さんはどのようにトレンドをキャッチアップしていますか?

神戸:全てはカバーできていませんね。以前「Fly With Me」を一緒に作ったTHIS MANというCGチームと話していた時「若い人たちほど、レンダリングは待つものじゃなくリアルタイムでやるものに向かっていってる」って聞いたときは「自分は終わった」って思いましたよ(笑)。情報感度高く、色んな最新ツールを取り入れていかないと、どんどんと置いていかれてしまうので、マジで「意識しないとな」とは思っています。ただ「あんな事が出来たらいいな」と想像していた事が現実化していく昨今なので、ワクワクは大きいですね

神戸さんが制作を担当したmillennium parade「Fly with me」(2021年)ミュージックビデオ

──まさに新しいPCでレンダリングは待つものじゃなくなりますよね。

神戸: そうですね。納得のいかない解像度で出てきて、後からシャープネスをかけることで高解像度っぽく見せるようなことが普通にありましたが、本来の意図により近づけたアウトプットができるようになるだろうし、表現の幅も広がると思います。

それと、これはスペックの話じゃないんですけど、新しいPCを見せてもらってすごく「綺麗」だと思いました。家に届いたらちょっと良いウイスキー買って眺めながら飲もうかな、なんて思うぐらい(笑)。光ってるランプも性能的には意味がないけど、「テンションが上がる」っていう意味は間違いなくある。本当にF1マシンみたいな、無駄のない技術の結晶という感じがしました。

221129_gizmodo_130_re

──今回一緒にPCを作ってみて、「インテル® Blue Carpet Club」についてどのように思いましたか?

神戸:例えばスポーツ選手だと、シューズメーカーにスパイクを作ってもらったり、練習環境を整えてもらったりするみたいな話ってよく聞くじゃないですか。ミュージシャンも専用モデルのギターを作ったり。そういうのが本当にうらやましかったので、まさか自分にそんなチャンスが巡ってくるとは、と驚きました。

もう一つ、いいなと思ったのは、クリエイターが「インテル® Blue Carpet Club」に参加しているというのを打ち出せること。クリエイターを目指す若者にとって、プロクリエイターってギターヒーローみたいなものじゃないですか。だからミュージシャンが使っているギターを真似したり参考にしたりするみたいに、クリエイターが使っているPCやソフトなんかの情報を得られるようになるのは、カルチャーとして大きいなと思いました

──「インテル® Blue Carpet Club」のもつ、クリエイター同士のコミュニティー的側面についてはどのように感じていますか?

神戸:ある程度カテゴリが近い有名クリエイターの方が参加されているのはもちろんですが、まったく自分とは違う他業種のクリエイターも含めたコミュニティーという点に非常に可能性を感じます。新しいことが生まれそうな予感がしますね

221129_gizmodo_156_re

──インテルに対して、今後「こんなサポートがあったら良いな」という希望はありますか?

神戸:ある程度PCを自分で組み立てる知識はありますが、それでもどうしても分からない分野もあるので、そういったことを相談できるパートナーになってくれたらすごくいいなと思いますね。今回のPCを作る際、僕は新しいOSに不安を感じて「Windows 10がいい」と伝えていたんですけど、「最新CPUの性能が十分に発揮されるのは絶対にWindows 11」と何度も力説してくれて、それだけ熱弁してくれるのは本当に安心だし、信頼できるなと思ったんです。そういう方々に今後も相談させてもらえたら嬉しいなと思います。

──神戸さんは高校生の頃にクリエイターへの道を一度諦めましたが、結果としてクリエイターとなり「インテル® Blue Carpet Project」にも参加するまでになりました。最後に、何がターニングポイントだったと思うか教えていただけますか?

神戸月並みですけど「自分を変えたい」という思いだと思います。僕のこれまでの道のりを振り返ると、決して何か大きな決断をしたわけではなく、徐々に今の場所にたどり着いたという感じがします。大学の教育学部から広告代理店の営業職へ。転職してテレビのポスプロ会社へと、順を追って今の仕事に近づいていった。だから、少しずつ「これならできるかもしれない」を積み重ねていった結果なんじゃないでしょうか。

「やってみたいけど、何をしたらいいのかわからない」ってよくあることだと思います。僕も同じくそうで、何をしたらいいのか分からないまま「自分には無理だな」と諦めていた様に思います。でも、そのやり方を知ることができれば、一歩踏み出せる。だから、好きなクリエイターが使っている道具やソフトを知って「もしかしたらできるかも」と思い、同じソフトの体験版なんかをインストールして一歩踏み出してくれたら最高だと思いますね。


221129_gizmodo_060_re

神戸さんがメイン領域としている3DCGは、その技術を応用した映像作品やゲームのリリースは増え続け、クオリティーも高まり続けている、今最も熱いクリエイティブ分野の一つ。そんな激戦区の中でも、インテルが挑戦を続けるクリエイターをサポートする「インテル® Blue Carpet Club」とともに作り上げたPCについて、神戸さんはF1マシンのように力強い存在であり味方だと語ります。

神戸さんがこれからどんな作品を世に放つのか、また「インテル® Blue Carpet Project」からどんな動きが生まれるのか。期待は高まるばかりです。

Source: Intel