これでアナタも粘菌生活者。
言葉や態度で返してくれない植木でも、毎日のように世話をしたら愛着が湧いてきますよね。花が咲けばうれしいですし、葉っぱが落ちたり枯れたりすると、悲しく思ってしまいます。
同じく水やりをして世話をする粘菌に対しても、人は愛着を持ってしまう…という面白い研究が行なわれました。
粘菌に愛着が湧く不思議なスマートウォッチ
シカゴ大学にあるコンピューターサイエンス科のヒューマンコンピューター統合研究所では、心拍数を表示するスマートウォッチが作られました。
中には水やりで生き長らえさせる「モジホコリ」、もしくは「スライムモールド」とも呼ばれる変形菌が入っています。粘菌は導電性なので、湿り気があって生命活動を続けている限り心拍計が稼働します。逆に乾いてしまうと機能が停止するので、ユーザーは数時間おきに水をあげなければいけません。
水やりは1日2回、スポイト1~2滴程度でOK。また2日に1度、麦を与えるという簡単なものでした。難しい世話や操作はありませんが、9~14日間ほど身に着けた女性被験者たちは、粘菌に責任と相互的な関係性を感じるようになり、自分に影響を与える存在だと思うようになったのだそうです。
自分が熱を出しても粘菌が気がかりになった人も
感覚としては「たまごっち」に似たものなのかもしれません。被験者たちは水や麦を与えたときに好奇心に駆られ、イースト菌のような匂いに興味を示し、友人や同僚らに見せたりし、自分が科学的研究に関わっていることを話したりしたそうです。
被験の終盤、世話を止めるように指示されると、面倒からの解放感に喜んだ人もいれば、悲しみや罪悪感を憶え、科学的には休眠状態になった粘菌のことを「死んだ」と受け止めた人もいたのだそうです。
命あるものに愛が芽生える
私たちは「たまごっち」の生死で一喜一憂したものですが、粘菌は実際に生きているのでそれ以上に感じたのでしょうね。現代人にはスマートフォンもスマートウォッチも手放せないガジェットですが、さすがにペットや我が子のような愛情は芽生えません。でもホントに生きていて世話が必要になると、機械を単なる物とは見られなくなるんでしょうね。ガジェットにこうした要素があると、私たちはもっと物を大切に扱うようになるかもしれません。
Source: YouTube, Human Computer Integration Lab (1, 2) via Futurism