NASAがマイナス170度になる月の夜でも作業可能なロボットアームを開発中

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NASAがマイナス170度になる月の夜でも作業可能なロボットアームを開発中
Image: NASA/JPL-Caltech|月の模擬砂を敷き詰めたテストベッドで実験中のCOLDArmを観察するNASAのジェット推進研究所のエンジニア

月の夜の冷え込みは、現在NASAが持つ技術の機能を低下させてしまうほど過酷です。そこでNASAは、月面の凍えるような気温に耐えられる新たなメカニカルアームを設計し、そのテストを実施しています。

凍える月面でも2週間の調査が可能

月面での研究・探査用の新たなツールとして長さ6.5フィート(約2m)のロボットアームが、南カリフォルニアにあるNASAジェット推進研究所で開発及びテストされています。このアームはCold Operable Lunar Arm(冷寒で操作可能な月面展開可能アーム、COLDArm)と呼ばれており、NASAいわく将来のミッションでは14日間も続く月の夜にあたる時期を通して月面探査が可能になるそう。この期間、月面の気温は華氏マイナス280度(摂氏マイナス173度)に下がることも。もっとも、こんな凍える温度でもCOLDArmはへっちゃらなはずです。

「月に行くにあたって、寒い気温の中、とりわけ月の夜の間でもヒーターを使わずに操作を行える必要があります」と、このプロジェクトのRyan McCormick主任研究員は、NASAのプレスリリースにコメントしていました。

COLDArmによって、ミッションは非常に極低温な環境であっても作業と科学実験を続けられます。

COLDArmは頑丈で弾性のある素材を採用

COLDArmは、バルク金属ガラスで作られたギアを使用。この物質は、鋼の倍の強度とセラミック以上の頑丈さを持ちながらも、その両方より弾性を備えた原子構造を持っています。金属ガラス製のギアは操作を行なうにあたって潤滑、断熱、加熱を一切必要としないので、月の夜の厳しい環境に最適なんだそう。

アームの手首部分には、「人間が鍵を小刻みに動かして鍵穴へと入れ、錠を回すかのよう」とNASAが表現していた、全方向の動きを感じ取れる6軸トルクセンサーも組み込まれています。COLDArmは3Dマッピング用の市販カメラ2台も搭載しており、興味深いことに同カメラに内蔵されているセンサーは火星ヘリコプターインジェニュイティのものと同じだそうです。

COLDArmは、NASAジェット推進研究所にある月の模擬砂を敷き詰めたテストベッドで9月に行なわれた実験に成功しています。次のステップは宇宙空間を模した環境で、レゴリスを使った実験をもっとこなすこと。2020年代後半の打ち上げを目標にしています。

Source: Nuclear Energy Institute, NASA JPL, NASA,