日本時間の午前2時40分、NASAの無人宇宙船オリオンが太平洋への着水に成功しました。月探査ミッションのアルテミス計画は、幸先の良いスタートを切ったことになります。
オリオン、帰還後は検査へ
NASAの探査地上システム率いる回収チームは、およそ5時間がかりの慎重なプロセスでオリオンを回収しました。オリオンは予定通り東部時間の12月11日午後12時40分(日本時間12日午前2時40分)に、バハ・カリフォルニア州に近いグアダルーペ島の西およそ100マイル(160km)地点に着水。
ドック型輸送揚陸艦ポートランドでサンディエゴの海軍基地へと運ばれ、その後はトラックでフロリダ州のケネディ宇宙センターに輸送されて徹底的に検査されるという計画です。ヘリコプターから見たところ、宇宙船は無傷のようでした。
2種類のパラシュートを使って減速、スキップ再突入へ


オリオンはパラシュートを使った降下の際、時速2万マイル(3万2100km)から時速20マイル(32km)へと減速。控えめに言っても、急速かつ劇的な速度の低下と言えるでしょう。NASAはオリオンとそのヒートシールドの状態を評価し、有人用として適格か確かめることになります。

アルテミス2号計画に向けて幸先のいいスタート
スキップ再突入の間に想定されていた2度のブラックアウトを経て、管制チームはオリオンとの交信を再開。
スキップ再突入とは、水切り遊びの石のように、大気圏に突入した後、一旦宇宙空間まで高度を上げてから2度目の突入を行なう手順です。この2段階の再突入は有人向けの宇宙船では初の試みで、再突入時に耐えなくてはならない大変な熱を放散してくれます。
NASAは今回のミッションを4名の宇宙飛行士を乗せて繰り返すアルテミス2号の計画を立てているので、アルテミス1ミッション全体が精査されます。NASAはアルテミス計画で、持続可能な人類の駐留拠点を月の環境に開発することを目指しています。

そんな訳で、最初のアルテミスミッションは驚くほど順調に進んだ模様。
巨大なスペース・ローンチ・システム(SLS)ロケットのデビューパフォーマンスにNASAはご満悦ですし、オリオンもきちんと任務をこなしました。月へと赴いて遠方逆行軌道に突入、月への最接近、離脱マヌーバの実施を経て、無事に地球への帰還を果たしたのです。
Source: NASA,