無傷の熱々ボディでタッチダウン。
NASA有人月面探査再開に向けた無人探査アルテミス1号のオリオン宇宙船が月周回25日半の旅を終え、米東部標準時間の12月11日(日本時間12日未明)、無事帰還しましたね!
ミッションのハイライトの映像も先ほど公開になりました。
打ち上げから帰還まで快挙の連続で、想像以上の安定感。50年の時を超えて月面が一気に身近になりましたね。日曜の再突入、着水、回収のもようも写真で振り返ってみましょう。
闇の向こうに浮かぶ地球

これはアルテミス1号ミッション25日目の12月10日(東部時間)、オリオンのソーラーパネル搭載カメラで捉えた写真。遠くに見えるのが目的地の地球です。11日正午には、周回中ずっと電力と推進力を提供してくれたサービスモジュール(ESM:European Service Module、 ソーラーパネルを含めた部位) にお別れを告げました。
ゴム気球を放つ

オリオン再突入・着水まであと24時間のところでUSSポートランド艦上から気象観測用バルーンが放たれました。手に持つのは宇宙飛行士のShannon Walkerさん。現場には米宇宙軍第45気象部隊、NASA着陸回収班、国防省のメンバーも立ち合いました。
いざ再突入

再突入直後に2回ブラックアウト発生。これは、大気の摩擦熱が華氏5000度(2760℃)を超える高温になって荷電プラズマが生じることにより起こる想定内の現象です。1回目は5分、2回目はその半分で終わり、さっそくこんな写真のフィードが再開しました。
ドローグ放出

高度6,700mに接近したところで、オリオンからドローグパラシュートが放たれました。このとき、オリオンの移動速度は時速450km。
メインパラシュートが開く

高度1,520mでメインパラシュートが開き、時速32kmまで減速しました。ほんの数分前に再突入するまでは音速の32倍のスピードで移動していたことを思うと、驚異の減速率。
もうすぐおうち

ちなみに、アルテミス1号に続く第2弾のアルテミス2号探査では、NASA宇宙飛行士3人、カナダ人宇宙飛行士1人が乗りこんで、有人状態で1号の足跡をたどる予定になっています。「オリオンが無事帰還したことで、初の有人月面探査となる2号計画の実現が見えてきた」「科学研究目的の月面常駐・探査の道筋を整え、火星探査に備える第一歩となるだろう」とNASA探査システム開発ミッション総局Jim Free副責任者は抱負を語っていますよ。
海面まであとわずか

バハ・カリフォルニア半島から241km西にある、グアダルーペ島の沖合めがけて落ちてくるオリオン。
着水!

アメリカ太平洋時間11日9:40AM(東部時間12:40PM)無事帰還です。発射から25日半で回った距離はのべ210万km以上。
まずは空からチェック

ヘリコプターがすぐさま現場に向かい、損傷がないか確認します。後ろに見えるのは米海軍重巡洋艦USSポートランド。
アポロ17号月面着陸から50年ぶりの快挙

「宇宙船オリオンの着水はアポロ17号月面着陸(1972年12月19日、NASA最後の有人探査)から50年の節目にあたり、アルテミス1号の成功を画するものだ」「世界でもっともパワフルなロケットの打ち上げにはじまり、月周回、地球帰還まで見事なものだった。今回の試験飛行でアルテミス時代の月探査は大きな一歩を踏み出したことになる」とNASAのビル・ネルソン(Bill Nelson)長官は声明でその意義を語っています。
回収に向かう船

回収チームは、 エンジニアのデータ確認(内部や断熱材の温度など)が終わるまで1時間あまり待機しました。アンモニアやヒドラジンの漏れがないかダイバーがチェックしてから、ようやくカプセルの土台の周りにスタビライザー用のカラーを取り付けます。
けん引

ウインチの縄などをぐるぐる巻きにして、いざドック船へ!
ラストスパート

あとちょっと!
ゴール!

「クレードル(ゆりかご)」にちょこんと乗って旅は終了です。オリオンを乗せたUSSポートランドはこのあと、サンディエゴの米海軍基地へと向かい、そこからトラックでフロリダのケネディー宇宙センターに移送されて精密検査となりました。
着水後の記者会見でビル・ネルソンNASA長官は「ミッション成功」を宣言し、「新たなはじまり、のはじまり」だと述べました。アルテミスのミッションには日本も参加することが決定しています。