FIFAもカタールも、W杯は「カーボンニュートラル」って言うけれど、本当はちがうのかも

  • author Jessie Blaeser, Grist - Gizmodo US
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  • Rina Fukazu
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FIFAもカタールも、W杯は「カーボンニュートラル」って言うけれど、本当はちがうのかも
Image: Gettyimages

実態はいかに。

今年のワールドカップに向けて、2010年から準備を進めてきたカタール。新たに7つのスタジアムや30の練習施設、ホテル建設のほかドーハ国際空港の増築と、建設ラッシュが10年続いていたなかで、労働者の搾取人権侵害といった問題に批判が集まっていました。その一方で、じつはカーボンニュートラルを掲げていたのですが、本当に環境に配慮していたのでしょうか?

建設されたスタジアムの総排出量は試算の8倍…

カタールは、地球上でもっとも暑い国のひとつ。気候変動により、熱波や水不足の深刻化が問題視されています。FIFAは、ワールドカップに関連する活動によって360万トン(約46万世帯の1年間のエネルギー使用量に相当)の二酸化炭素排出を予測。特に、世界中から集まる120万人以上の来場者の航空機や宿泊施設の利用が大きいのではと考えられています。

一方で、「スタジアムの建設に問題があった」と指摘するのは、Carbon Market WatchのGilles Dufrasne氏。スタジアムの配置や将来的な利用方法について十分に考慮していなかったと懸念を示しています。

二酸化炭素排出量に関する試算のうち、約18%を占めるのがスタジアムの建設。新たに建設される7つのスタジアムのうち、主催者は1つを完全に解体して他のスタジアムの収容人数をほぼ半分に減らす計画をしましたが、6つの常設スタジアムの総排出量は少なくとも試算の8倍に達するであろうという予測がレポートで公開されています。

さらに立地の問題もあります。8つのスタジアムはいずれもドーハの中心部から約50km圏内にあります。この距離感により、たしかに来場者の移動にかかる排出量は抑えられるかもしれませんが、より長期的に捉えた際に、240万人のドーハ市民が活用しきれるのかという課題が残ります。

加味されていない排出量もある

ワールドカップやオリンピックのような国際的なスポーツイベントの開催都市では、こうした問題はツキモノ。一時は世界級の建物であってもやがて荒廃し、地域にとって対処が難しい問題となることもあります。

将来的には宿泊施設、教育施設、コミュニティハブとして利用することが想定されているようですが、その実用性はあまり明らかではないようです。たとえば、新スタジアムのAl Janoubは、4万人収容。ワールドカップ終了後には、地元サッカーチームの本拠地となる予定で、2万人収容まで抑えられることにはなりますが、それでも現在使用しているスタジアムと比べたらかなりの規模。「地元チームが新しいスタジアムを満員にし、維持するのに十分な観客を集められるかどうかは明らかではなく、以前使用していた1万2千席のスタジアムはどうなるのか」と。こうした問題は、地元住民の需要や、インフラ維持のための投資に対する企業の関心に強く依存することになりそうです。

カタールの国際電話番号にちなんで名づけられた仮設スタジアム「974」においては、再利用に関する具体的な計画がまだ発表されていません。解体して別の場所に再建できるようにと輸送用コンテナで建設されてはいるものの移転先はまだ決まっていません。また、こうした資材の輸送や再建に伴う炭素排出量は加味されていません。

スタジアムの再利用というアイデアこそ興味深いものの、仮設スタジアムを遠くへ運び、一度だけ再利用するのであれば、2つの異なる場所に常設スタジアムを持つよりも悪となり得ます。

「カーボンニュートラルと掲げるべきでない」という意見も

主催者側(FIFAとカタール)は、避けられない排出を炭素クレジットや植樹などの他の手段で相殺する計画をしているようです。が、長期的な影響を含めて環境への影響を把握するまでは、今年のワールドカップをカーボンニュートラルと主張すべきでないという見方も。カーボンニュートラルを謳いつつ適切に実現している企業はかなり少ないのが現状ですが、Carbon Market WatchはFIFAに対し、直接・間接排出を含む新たな炭素計算を行なうよう要請しています。

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https://www.gizmodo.jp/2022/11/a-carbon-capture-company-wants-to-sell-credits-on-tech.html