「息子を誘拐した」と年老いた母に恐喝電話がかかってきた以来、私にとって詐欺師は特別な存在になりました(実際は誘拐もされなかったし、母もだまされませんでした)。詐欺師には永遠の天罰と、おなかが“下り”ますように。
いつの時代も横行する詐欺
アメリカ連邦取引委員会(FTC)によると、不幸にもアメリカでは毎年何百万もの人々が詐欺被害にあっているそうです。詐欺師は、ありとあらゆる手口を使って私たちが一生懸命働いて稼いだお金を奪っていきます。
FBIのフリをして金を払わなければ逮捕するぞと脅したり、長い間行方不明になっていた親戚の遺産を相続する手助けをするから報酬をくれ、とだましたりします。
FTCは公式サイトで、
「政府との間でトラブルが発生した、借金がある、家族に緊急事態が発生した、コンピューターウイルスに感染したなどと言ってくるかもしれません。また、宝くじや懸賞に当選したので手数料を払う必要があるとウソをつく人もいます。」
と詐欺の例を紹介しています。
詐欺防止に務めるFTCは、「Consumer Alerts(消費者に向けた警告)」を通じて、新しいものから定番になっているものまで、詐欺の手口について常に警戒を呼びかけています。
それでは、2023年はだまされたりヒヤッとしたりしなくてすむように、2022年に発生した、ニュースサイクルとも密接につながっている奇想天外でムカつく詐欺事件の数々を振り返ってみましょう。Let's get started!
1. オレから詐欺

自分の携帯番号からメールがきたら、それは魔法ではなく、オレから詐欺です。悪徳業者から身に覚えのない支払いに感謝されたり、リンクをクリックすれば賞品をゲットできると言われたりします。
そこでワーイってリンクをクリックすると、賞品の代わりにマルウェアをゲット(感染)したり、携帯番号を詐欺師ネットワークに売られたりするのです。
2. 家から詐欺

2022年は、リモートワークの求人情報が過去最高を記録したのだとか。LinkedInによると、今年2月に掲載されていた求人の5件に1件はリモートワーク。LinkedInを通した応募の半分がリモートワークだったそうです。
新型コロナウイルスの大流行がはじまってからリモートワークを希望する人が増えたのに乗じて、リモートワークの求人情報をエサに、メールや電話で社会保障番号などの個人情報を聞き出そうとする詐欺が横行。
中にはリモートワークに必要な機器を購入するための小切手を応募者に郵送して、残金を会社に送金させようとする詐欺師もいました。ひえー。小切手が不渡りになって、架空会社に送金した額をだまし取られるパターンですね…。
3. ニセ粉ミルクブランド詐欺

ありましたね、2月の粉ミルク不足。悪党の魔の手は赤ちゃんのためになんとかして粉ミルクを手に入れようとする親にまでおよびました。なんでもありです。
FTCによると、詐欺師は公式ロゴを用いたウェブサイトやSNSアカウントを開設して、届くことのない粉ミルクを買わせようとしました。これじゃオフィシャルサイトから買ったと思い込んじゃいますね。細かくチェックする心の余裕がない緊急事態を狙うとは卑劣な…。
4. ニセ国境警備隊

近年のよくないイメージを考えると、アメリカ関税・国境警備局(CBP)から連絡が来たら私もかなりビビると思います。
今年はCBPを名乗る者から多くの人に「あなた宛の違法な物品を押収した」と電話がかかってきたそうです。他にも、「外交文書用郵袋を預かっている」「逮捕状が出ている」と言われ、「問題解決のため、もしくは追加情報を入手するため」にお金を要求されるケースもあったそう。
すべて詐欺です。CBPは「電話でお金を要求しません」と述べています。
5. 安い家畜の飼料あるある詐欺

干ばつ、物価高、資料不足に見舞われ、ただでさえも大変だった2022年。疲弊するモンタナ州の農家が市場価格よりも安価な干し草や麦わらの広告にだまされてしまいました。
当局に寄せられた農家の話によると、悪質業者は低価格で牛の飼料を売りつけて前金を要求。その後はなしのつぶて。飼料が送られてくることはありませんでした。12万ドル(1600万円)の被害にあった農家もいたそうです。
6. 学生ローン免除詐欺

バイデン政権は8月、最大2万ドルまでの学生ローンを免除すると発表。安堵(あんど)する人がいる一方で、詐欺師はチャンスだと思ったようです。FTCによると、一部の悪質金融業者が「免除申請の承認を保証する」「優先的に承認されるようにできる」と言って金をだまし取ろうとしていたそうです。
また、別のケースではフレキシブル支出口座(FSA)のIDや銀行口座番号、クジットカード情報など、借り手の個人情報を聞き出そうとする業者もいました。FTCは必ず専用サイトから申請するよう、そして申請費用は無料なので手数料を要求されるケースはすべて詐欺と呼びかけています。
7. パソコン修理詐欺

幾度となくお世話になったGeek Squad(ギーク・スクワッド)。アメリカの家電量販大手Best Buy(ベスト・バイ)で修理などを担う技術サポートサービスを名乗る詐欺もあちこちで発生したようです。
ニセGeek Squadが会員に対し、会員資格更新のために数百ドルの支払いを要求するテキストメッセージや電子メールを送信しました。クレジットカードに請求済というメッセージまであったそうです。
通知には、請求への異議、会員資格の取り消しは24時間以内に明記された電話番号に連絡するよう書かれていますね。電話したら詐欺られるパターンですが、詐欺師は電話をかけてきた人たちをコンピューターにリモートアクセスさせるよう言いくるめて、スパイウェアをインストールしたり、銀行の情報を盗めるように細工したりしました。
その他にも、返金するために銀行口座情報を聞き出して取引を偽装、過剰に返金したからギフトカードを購入してカード番号と暗証番号を教えるように求められたそうです。怪しさ満開なのに、相手はだますプロなのでだまされちゃうんでしょうね…。
8. ニセFBI捜査官

「FBIだが」と電話がかかってきてビビらない人はいませんよね。僕は昔「FBIだが」とアパートをノックされてめっちゃビビりました。今年はFBI捜査官を名乗る詐欺が多かったそうです。ニセFBI捜査官は電話で、受益者に対する法的判断に基づいてお金を徴収していると主張するそうです。こわ…。
FTCのサイトにはこう書かれています。
「どんなに急を要するような深刻な電話でも、内容も捜査官もリアルではありません。他のなりすまし詐欺と同じく、ニセFBIは金銭や個人情報を狙っており、すぐに払わないと逮捕すると脅迫する場合もあります。」
FTCは、政府機関が電話で金銭や個人情報を要求することはないと言い切っています。気を確かに持ちましょう(万が一に備えて言い聞かせてる)。
9. 暗号通貨の損失補塡(ほてん)詐欺

暗号通貨を持っている人にとって、2022年はとてもつらい年になりました。TerraやLuna、FTX取引所などが崩壊したおかげで、大きな経済的打撃を受けた人も少なくないでしょう。
詐欺師たちはそんな暗号通貨で損をした人たちをターゲットにして、手数料を払えばお金を取り戻す手助けをすると持ちかけたんです。残念ですが、お金が返ってくることはありません。